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愛の証
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「ありがとう。ご飯食べるだけなのに……」
立ち上がり、全身を姿見に映すと、なるほど見違えるようだった。
「ベッキーって器用だね。私じゃないみたい」
「奥様が素材がいいので、つい気合が入ってしまいました」
ベッキーは鼻の頭を擦りながら微笑んだ。
シオンはグレージュのような、暗めのブルーを基調にしたイブニングドレスを身に纏っていた。
背中の開いたオフショルダーにロングスカートと、大人っぽい艶めいた装いになっている。
胸元とスカートの裾には銀糸の刺繍が施されており、光に当たると控えめに煌めいた。
「アクセサリーはばっちり、大公様の瞳のお色と合わせておきましたよ」
「この色、やっぱりそういう趣向で……?」
「はい! ちなみに大公様は奥様の瞳に合わせたコーディネートをなさっているはずです」
ニコニコと笑いながら頷くベッキーから、シオンは流れるように目を逸らして背を向けた。
こそばゆくって、居た堪れない。
まるで互いが互いのものだと、自ら主張しているようだ。
「では、お支度が整ったとお知らせしてきますね。きっと、首を長くしてお待ちですよ」
熱い顔を持て余しながら、シオンはベッキーを送り出す。
今日の晩餐中、リラはセシルが別室で見ていると事前に報告を受けていた。
実に準備の良いことだ。
(いったい今日、何があるの……? あの人、何を考えているのかな)
一人残った部屋で、シオンは深呼吸を繰り返した。
まだ2人が結婚する前なら、プロポーズでも受けるとかと想像もできたが、既に夫婦になっている身だ。
ドレスアップして、音楽を聴きながら食事って……!
想像するだけでムードたっぷりの展開に、ドキドキが止まらない。
(まるで、デートみたいで緊張する。ダンスとかするの? 何を話せばいい? どんな顔で待ってたらいいのよ……)
逸る鼓動は期待なのか不安なのか、シオンにはわからない。
ほどなくして、扉がノックされ、トラリオが顔を出した。
「奥様、晩餐の準備が整いましたので参りましょう。大公様がお待ちかねです」
逃げるわけにもいかず、シオンはトラリオに連れられて大広間へと向かった。
(普段の夕食は食堂なのに、大広間なんだ……)
広間に降りる階段の前には、ヴァイスが立っている。
先に呼ばれて待機していたようだ。
(ヤバイ、緊張する)
何と声をかけるべきか迷いつつ、トラリオの先導から離れて歩み寄る。
廊下は一本道なので、シオンの接近に気づいているだろうに、ヴァイスはこちらに顔を向け、直立したまま動かない。
「お、お待たせ……?」
どうしてうんともすんとも言わず、一つの反応も示してくれないのか。
訝しみながら接近すると、その理由をシオンも遅ればせながら理解した気がした。
電気などない、等間隔で置かれたランプの灯りに照らし出されるヴァイスは、昼間とは全く違う出で立ちだった。
前髪を上げて額を出し、オールバックに流している。
それだけでもグッと男性らしい色気が押し出されているのに、銀糸の刺繍が施された黒のジャケットは、ともすれば中性的に見えがちなヴァイスの身体の厚みを強調し、程よく逞しく見せている。
今までは美しさが一等際立っていたのに、そこへ男らしさが加わったら、目を奪われずにはいられない。
その場に立ち尽くし、ぼーっと互いを見つめる2人を、トラリオは交互に見やると満足そうに頷いた。
立ち上がり、全身を姿見に映すと、なるほど見違えるようだった。
「ベッキーって器用だね。私じゃないみたい」
「奥様が素材がいいので、つい気合が入ってしまいました」
ベッキーは鼻の頭を擦りながら微笑んだ。
シオンはグレージュのような、暗めのブルーを基調にしたイブニングドレスを身に纏っていた。
背中の開いたオフショルダーにロングスカートと、大人っぽい艶めいた装いになっている。
胸元とスカートの裾には銀糸の刺繍が施されており、光に当たると控えめに煌めいた。
「アクセサリーはばっちり、大公様の瞳のお色と合わせておきましたよ」
「この色、やっぱりそういう趣向で……?」
「はい! ちなみに大公様は奥様の瞳に合わせたコーディネートをなさっているはずです」
ニコニコと笑いながら頷くベッキーから、シオンは流れるように目を逸らして背を向けた。
こそばゆくって、居た堪れない。
まるで互いが互いのものだと、自ら主張しているようだ。
「では、お支度が整ったとお知らせしてきますね。きっと、首を長くしてお待ちですよ」
熱い顔を持て余しながら、シオンはベッキーを送り出す。
今日の晩餐中、リラはセシルが別室で見ていると事前に報告を受けていた。
実に準備の良いことだ。
(いったい今日、何があるの……? あの人、何を考えているのかな)
一人残った部屋で、シオンは深呼吸を繰り返した。
まだ2人が結婚する前なら、プロポーズでも受けるとかと想像もできたが、既に夫婦になっている身だ。
ドレスアップして、音楽を聴きながら食事って……!
想像するだけでムードたっぷりの展開に、ドキドキが止まらない。
(まるで、デートみたいで緊張する。ダンスとかするの? 何を話せばいい? どんな顔で待ってたらいいのよ……)
逸る鼓動は期待なのか不安なのか、シオンにはわからない。
ほどなくして、扉がノックされ、トラリオが顔を出した。
「奥様、晩餐の準備が整いましたので参りましょう。大公様がお待ちかねです」
逃げるわけにもいかず、シオンはトラリオに連れられて大広間へと向かった。
(普段の夕食は食堂なのに、大広間なんだ……)
広間に降りる階段の前には、ヴァイスが立っている。
先に呼ばれて待機していたようだ。
(ヤバイ、緊張する)
何と声をかけるべきか迷いつつ、トラリオの先導から離れて歩み寄る。
廊下は一本道なので、シオンの接近に気づいているだろうに、ヴァイスはこちらに顔を向け、直立したまま動かない。
「お、お待たせ……?」
どうしてうんともすんとも言わず、一つの反応も示してくれないのか。
訝しみながら接近すると、その理由をシオンも遅ればせながら理解した気がした。
電気などない、等間隔で置かれたランプの灯りに照らし出されるヴァイスは、昼間とは全く違う出で立ちだった。
前髪を上げて額を出し、オールバックに流している。
それだけでもグッと男性らしい色気が押し出されているのに、銀糸の刺繍が施された黒のジャケットは、ともすれば中性的に見えがちなヴァイスの身体の厚みを強調し、程よく逞しく見せている。
今までは美しさが一等際立っていたのに、そこへ男らしさが加わったら、目を奪われずにはいられない。
その場に立ち尽くし、ぼーっと互いを見つめる2人を、トラリオは交互に見やると満足そうに頷いた。
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