サレカノでしたが、異世界召喚されて愛され妻になります〜子連れ王子はチートな魔術士と契約結婚をお望みです〜

きぬがやあきら

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愛の証

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「ねえ、今日はシュニー城で夕食だよね? どうしてこんなに着飾るの?」

「本日の晩餐は大公様もご同席されます。特別な餐にせよとの仰せですので、装いもふさわしいものをご用意しました!」

 晩餐前に湯浴みを……と指示されて、シオンは只今絶賛着付の最中だった。

 腰を細く見せるためのコルセットを、きゅうきゅうと締め付けながら、自信満々に宣ったのは、ベッキーだ。

 サラはメイドたちを取り仕切る侍女頭で、シオンの身の回りの世話も焼いてくれていたが、お茶会の身支度などを直に手伝ってくれたのはこのベッキーだった。

 ベッキーは、シュニー城では中堅どころで、シオンとは年が近い。

 手先が器用で、ヘアメイクの特技を買われて、側仕えに抜擢された。

 シオンと気が合う点も相まって、その座が定着しつつあるらしい。

 ベッキーはシオンとほとんど変わらぬ背丈で、標準的な体型の持ち主だ。

 しかし、その割に力が強く、性格も竹を割ったようにサッパリしている。

 茶色い瞳も柔らかな色合いで、心を和ませてくれる。

 年上に囲まれているシュニー城内の中では、気安く会話のできる貴重な相手だ。

「とは言え、奥様の意見が全く反映されていないのは考えものですよね。……明日にでも、仕立て屋を手配するとトラリオさんが仰っていたので、お好みのものを揃えてくださいね」

「いや、私は衣装のマナーとかルールがわからないから、そこはお任せで構わないんだけど。そうじゃなくて、どうしてシュニー城じたくでの食事に、こんなに身支度が必要なの? ヴァイスが一緒なのもそう珍しいことじゃないでしょう?」

「大公様がご一緒なのはそうですが、楽団も招くくらいの気合の入りようですから、おめかしするのも当然です」

「楽団? てことはパーティかなんかするの? 晩餐に誰か招いているのかしら」

「嫌ですね。全部、奥様のためですよ。大公様は奥様をもてなしたくって、張り切ってるんですよ。私は何かの記念日とかだと思ってました」

「え? いや、そういうの……あったっけ?」

 鏡越しに合ったベッキーの目が、まん丸に見開かれて、シオンは目を泳がせた。

”大公様があんなに張り切っているのに、奥様は理由がお分かりにならないんですか!? 本当に!??”

 目は口ほどに物を言う、とはよく言ったものだ。

 ベッキーの視線はそう告げている。

「ええと……、あ、ひょっとしたら、アレかも」

「ああ、覚えてらして良かった! アレって? 何ですか?」

「ひ、秘密よ、秘密! 恥ずかしいから」

 シオンは慌てて誤魔化した。

 思い当たるものなんてない。

 けれど、ヴァイスを憐れむような眉の下がり具合に、薄情だと咎められているようで耐えられなかった。

「秘密ですか。それは残念」

 ベッキーはそれ以上追及せず、衣装の仕上げに移った。
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