サレカノでしたが、異世界召喚されて愛され妻になります〜子連れ王子はチートな魔術士と契約結婚をお望みです〜

きぬがやあきら

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サプライズ

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 そこでようやく腕から降ろされ、エスコートがネンゲルに引き継がれる。

 ヴァイスは先に礼拝堂へと入り、金で装飾された重厚な扉が閉じられた。

「扉が開いたら、入場するよ。祭壇まで歩いて行って、誓いの言葉を交わす。司祭様の指示に従えば大丈夫だ」

「はい……」

 複数人の前での儀式。わかっていたはずなのに、急に現実味を帯びて、ピリッと背筋が伸びる。

 抱っこされて連れられている場合ではなかった……。

「司祭はマグヌス猊下が引き受けてくださった」

(えっ、マグヌス猊下って、あの)

「猊下は我がヴォルクス教の最高指導者だ。猊下が祝福を授けることに、大きな意味がある。心配いらないよ、シオンに負い目を感じているようだった。引き受けることで、少しでも借りを返したいのではないかな」

 不安な心がそのまま顔に出ていたようだ。

 ネンゲルはシオンを安心させようと軽口を叩いて見せた。

「心配だなんて。身に余る光栄です」

 声にして口に出すと、緊張と強張りがふっと解ける。

 今日は有り難く、全面的に善意として受け止めさせていただこう。

 ネンゲルは気をよくしたように微笑むと、サッとヴェールを下ろし手を腕にかけさせる。

 流石というか、王太子ともなるとエスコートも随分と手慣れている。

 蝶番の擦れる音がして、扉が開かれた。

「さあ、行こうか」

 厳かに促されて、シオンは礼拝堂へと足を踏み出した。

 扉から祭壇まで、一本の道となる絨毯の上を一歩ずつ慎重に進む。

 礼拝堂はとても広く、天井が高く作られていて、長椅子が左右に整然と並んでいる。

 結婚の誓いの儀に集ってくれたのは、教会や王室の関係者のようだ。

 左方の一番奥に国王・皇后両陛下が、手前に高位の文官が並び座している。

 右側にはリラを抱いたセシルを始め、先日のサロンで知り合った夫人たちが着席していた。

 シャルロットもいる。

 隣にいる壮年の男女は両親だろうか。するとそちら側が母方の縁者かもしれない。

 シャルロットは嫉妬とも羨望とも取れる複雑な表情で一点をじっと見つめている。

 目線の先にいるのはヴァイスだ。

 祭壇の真上の天井には、立派なステンドグラスが嵌められ、陽光を煌めかせている。

 その光の下でヴァイスが待っていた。

 金糸の刺繍が施された白い衣装に身を包んで、いかにも王子然とした佇まいで。

 光景の美しさに、またじんわりと涙が浮かんできた。

(ダメよ、今はまだ、泣いちゃ……)

 シオンは眉間にギュッと力を込めて、涙を堪えた。

 泣いたら景色が朧になる。

 そんなのは嫌だ。

 この光景を、しっかりと目に焼き付けておきたい。

 何十年経っても、色鮮やかに思い出せるように。

 だから、シオンも精一杯の微笑みを浮かべる。

 ヴァイスの記憶にも、笑顔のシオンを残したい。

 この日この時が、これから始まる輝かしい日の門出なのだから。





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