王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら

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開戦

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 ザイード・リヴァーモアは、田舎領主の妾腹だった。

 本妻が産んだ兄弟たちと同じ屋根の下で暮らしたが、妾腹の子と本妻との間には明確な壁があった。

 同じ男の血を引く子でありながら、使用人も同然の扱い。

 斜に構え、達観した性格を形成するのに、そう時間はかからなかった。

 良くある話と割り切っていたものの、心地良さとは無縁だった。

 幸い何でもそつなくこなせる器用者だったので、15の頃、独断で家を出た。

 靴磨きに、市場の仲買人、露天商など、職を転々とし、いずれの商売もそれなりの成果を出した。

 しかし、どれも長く続けられない。

 そんな根無し草のような生活の中、王宮騎士団で入団試験の開催を耳にして、志願した。

 騎士になりたい、というよりは、華やかな舞台への憧れを捨てきれないせいだった。

 王宮騎士の門戸を一般市民にまで解放した例は今までにない大改革で、新しく騎士団長に就任したアルダシール殿下の英断だ。

 アルダシール・フェルドウス・アラウァリア。

 言わずと知れたアラウァリア国の第一王子だ。

 この大国アラウァリアの第一子として生まれ、次期国王の地位を約束された男。

 試験会場に現れたアルダシールを羨望の眼差しで見上げたザイードは、この世界一恵まれた男を踏み台にして成り上がってやる。

 そう固く決意し、めでたく入団を果たしたが、そう上手くことは運ばない。

 上には上がいるものだ。

 入団間もなくして実戦に駆り出された。

 その場で、目を見張る活躍を見せたのはマクシム・べリングバリだった。

 マクシムはそれこそ、成り上がり貴族と揶揄される商家の出身で、年齢もザイードと変わらない。

 だが、めきめきと腕を上げた。

 才能の差か、生まれ持った運の違いか。

 入団当時の立ち位置はさほど変わらなかったはずなのに。

 マクシムは一足飛びで駆けあがり、いつの間にか眩しい場所へ行ってしまった。

 自分はいくら足掻こうとも、一向に追いつけない。

 2年経ち、ザイードがようやく第1騎士団に配属された時には既に、マクシムは事実上、騎士団における第2の地位、アルダシールの侍従の地位にまで上り詰めていた。

 ――しかしある時、転機が訪れた。





「アルダシール殿下は騎士団長の任を解かれた。キュロス殿下が後任を務められる」





 きな臭い王令が降った。

 納得の行く説明も理由もなく、唐突に騎士団長の座は、アルダシールからキュロスへと移った。

 第1騎士団の隊長だったカルフォードがキュロスの補佐に任命され、マクシムはアルダシールに連座する形で騎士団を去った。

 他にもアルダシールを支持していた騎士の一部が左遷されるなど、不審な人事が横行し、多くの仲間が自ら騎士団を辞した。

 ――これはチャンスだ。

 不穏な空気が騎士団内に流れる中、ザイードは確信した。
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