お飾りドールのあぶない日常 〜神の力と仲間は最強です〜

ケイソウ

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29話 仕事仲間

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 私達はそれぞれの車に乗って、家路へと向かう。
 來斗は私の車に乗った。今、何を思うのだろう。
 
 家族のこと、アゲハのこと、未練はないとは言い切れないだろう、これまで作り上げてきた物もそれなりにあるはずだ。
 私は何番目になるんだろうか、順番を付けるのもおかしな話か、でも、私がファミリーを想う気持ちに変わりはない。

「俺さあ、いま凄い安堵感に浸ってる。わずらわしいものが無くなったって感じかなあ」

「……アゲハ?」

「うん。アイツには随分と悩まされたからな」

「うん、そうだね……」

「――なあ、お前への想いは発展途上中って言ったろ? 好きで好きでたまらないんだ。何でだろうな、俺にも分からん」

「何だよ突然、でもありがとう、私も來斗が大好きだよ。今日はお互い疲れたね、早く帰って寝よう」

「そうだな、仕事より疲れたよ」

 そんなやりとりの中、家に到着。車を隣の空き地に駐めた。
 そろそろ夜が明ける、來斗を抱き枕に眠りたい。
 
 部屋へ入ると、桜ちゃん達が居ない。もう帰ったのかと寝室を覗くと、直斗とふたりで寄り添って寝ている。ふたりも気が張っていたに違いない、今はそっと寝かせてやろう。

 とは言ったものの、私と來斗はどこで寝よう、やっぱりソファかな。

「來斗、ソファでいい? 」

「ああ、俺は構わないよ。そう言えば、下のミーティングルームにソファーベッドが置いてあったぞ」

「えっ、気が付かなかった、徹夜でもすんの?」

「アハハ、それなりに使い道があると思ったんだろ、今がその時じゃん、そっちで寝ようよ」

 來斗の言う通りに、寝具を持って下のミーティングルームに下りた。
 ソファーベッド、広げてみると意外と広い。でも私も來斗もデカいので多少のはみ出しは仕方ない。私は待ってましたと來斗を抱き枕に瞼を閉じた。
 
 遅い朝を迎えて來斗を起こし、私はソファーベッドを直して、寝具を持ち3階の部屋へ戻ると、桜ちゃんが朝ごはんの支度を始めていた。

「桜ちゃんおはよう。うーんいい匂いだ、何作ってるの? あんまり材料は無かったろ」

「あら、キーナさんおはよう。ごめんよう、ベッド占領しちまってさ、直斗につられてつい添い寝してしまって」

「フフッ、構わないよ、そのお礼?」

「ただの炒飯だよ、白飯は沢山あったからね。さあさあ、皆んなで食べようかね、下のふたりもさっき呼んだ、食事は大勢のが楽しい。フフッ」

 きっと息子夫婦が生きていたら、こんな感じで食卓を賑わせていたかもしれない。
 私が哀れんだところで、何も変わらないか。
 
 あの後どうなったのか尋ねてこないのは、私を信頼してくれているからなのか、桜ちゃんの中でケジメが着いたのか、私に知る術はない。

 來斗も下から上がって来た。桜ちゃんの料理を前に嬉しそうだ。
 リーフとルートも寝ぼけた顔で入ってきた。ではこれから本当のミーティングを始めよう。
 
「婆ちゃんの手料理か、久しぶりだ、美味そう!」

「あ、お邪魔します。おっと飯だ、有難い」

「キーナさん皆さん、おはようございます。ホントだ、いい匂い。では早速いただきます!」

「リーフにルート、おはよう。食べながらでいいから聞いてほしい、これからの事を話しておきたい。将来ポリスのトップは來斗だ」

 來斗が怪訝そうな顔で言う。

「やっぱりそうなるのか……」

「來斗、私はこの前も話した通り、請負人の仕事を辞めるつもりはない。それでなんだけど、リーフとルートに私のアシスタントを頼もうと思う。私はアンダーテイカー、ふたりはシークレットスルースだ。どう?」

 "シークレットスルース"秘密探偵だ。と言っても内部調査を主に任せようと思っている。

「スルースかあ、相手を把握してマークする、以前と似たような職業ですかね?」

「まあそうかな。でもリーフ達が表に出ることはないから心配しなくて良いよ、調査で動いてもらうことはあるだろうけどね」
 
「相手の依頼調査ですね? キーナさんの役に立てるなら是非お願いします!」

 リーフは頭の回転が速いしっかり者だ、ルートはちょっと危なっかしいけど、確実に任務を遂行する行動派、良いコンビだと思う。

「リーフ、シークレットスルースだって、カッコイイよな!」

「ルート、ちゃんと話し聞いてるか? もう……」

 リーフ、ルートの手綱たずなは任せた。

 さて、來斗は賛成してくれるだろうか、桜ちゃんは何と言うだろう、また勝手に決めてと呆れるだろうか、ちょっと不安だ。
 
「アタシはいいと思うよ、ポリスからも要請できそうだし、キーナさんとも繋がりができる、良い事ずくめだ。來斗よ、腹を括りな」

 來斗が言葉を詰まらせる、やはり反対なのだろうか――

「キーナの仕事に口を出すつもりはない。その代わり俺と同じ部屋で仕事をすること、これが条件だ」

「えっ? それってステーションでってこと?」
 
「そうだ。依頼を受けるならどこでも一緒だろ?」
 
「もう最高じゃないか! 來斗、お前もたまには良いこと言うね、アタシもそのほうが嬉しいし來斗の不安もなくなる。キーナさんが居れば安心だしね」
 
「私がステーションに行ってもいいの?」
 
「もちろんさね。アタシからもお願いします」

 これは予想外の展開になった。マザーが了承するなら問題はないのだろうが、ならお言葉に甘えて。

「來斗、桜ちゃん、よろしくお願いします」

 横でリーフとルートが何か言いたげにニヤニヤと笑う。

「キーナさん、事務所は僕達が守りますよ!」

「そうそう、今は來斗さんと仲むつまじく一緒がベストだ」

 それは有難いんだけど、言っておかなければならないことがある、こっちの方が難問かも……。
 さっき思ったことなんだけど、ふたりの愛の巣に夜通し誰か居るって、やっぱり落ち着かない。勝手過ぎるかもだけど、私達の家なもんで。

「それとあとひとつ、隣りの空き地に寮みたいな家を建てようと考えている。リーフとルートにもプライベートは必要だと思うんだ、私達もだけど……」

「……そうだよな、俺達の新居だしな」

 來斗も同じこと思ってくれるんだ、ちょっと嬉しい。話して良かった。

「キーナさん、口を挟んで悪いが、その建物はアタシに任せてもらえないだろうか。まだ結婚祝いもしてやれていない、全てアタシがまかなう、構わないよね?」

 リーフがスプーンを手に、横から茶々を入れる。
 
「そうでした、新婚さんでした。良いじゃないですか、この際マザーに任せましょ!」

 こいつ、他人事だと思って。まあ私よりは桜ちゃんのほうが金持ちだとは思うけどね。
 すると來斗が何か思い付いたのか、桜ちゃんと私み見て話す。

「どうせなら婆ちゃんもこっちに住めば良い、もういい歳なんだからさ。なあキーナ、いいだろ?」
 
「もちろんだよ、私もそばに居てくれたほうが安心する。桜ちゃん、考えてくれない?」

 近くに私のすべてを知る人物がいるのは有難い。相談もしやすいし、なにより、わざわざ車を出してタバコ屋へ行かなくても済む。

「桜ちゃん、返事は今すぐでなくて構わないよ、西鎌さんのこともあるだろうからね」
 
「そうかい、ちょっと考えてみるよ。ありがとう」
 
 後はまたデッド経由で不動産屋に相談だ――
 
 
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