俺とダークサイドファミリア 〜仕組まれた転生と異世界事情〜

ケイソウ

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5話 ハンターと加護の謎

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 レクスを館に残し、俺はドラゴンの様子を見にきた。どうやらだいぶ回復したようで、死霊ネクロたちと呑気にたわむれていた。

『よう火龍、だいぶ元気になったな』
『お主は……まだ名前を聞いておらんかったが、何と礼を言ったらよいか……』
『俺はジニアス、礼なんかいらないよ。それより、ちょっと聞きたいことがあるんだけど』
『吾輩は神龍のフォボス、して聞きたい事とは?』

 上位だとは思ったが神龍かよ、その神龍がなぜ手負いだったのか――

『フォボスか、で、その神龍がどうして傷だらけだったんだ? それと、どこから来た?』
『吾輩は洞窟に棲んでおった、そこへ人間たちが訪れるようになり、いつしか邪気によって魔物が棲みつき、ダンジョンと呼ばれるようになった』

 なるほど、洞窟がダンジョンになったってことか。大体の原因は人間が関わっている、冒険者という職業が大半の時代だったからだろう。
 だとすると、フォボスがラスボスってことになるが、レクスのいう賢者と戦ったドラゴンなのだろうか――

『ふ~ん、そうなんだ――あのさ、ちょっとした昔話があってね、ラスボスと戦った賢者が、ダンジョンごと消えたってことらしいんだけど、それってもしかして、フォボスが関係してたりする?』

 フォボスはしばし沈黙する――
 
『昔話か――あれは、冒険者がいきなり戦いを挑んできおってな、この傷はその時に負ったものだ。確かエルフォルクという賢者もいたと思うが……』

 レクスの予想は的中した。でも戦ったのは冒険者で賢者ではないらしい。しかし、どうも記憶が曖昧みたいだが、もう少し詳しい情報が欲しい。

『その賢者はその時どうなったか、覚えてる?』
『……あの時、吾輩より先に、賢者は杖をかざし、別の異空間を呼び出したように見えたが……』
『異空間?』
『ああ思い出したぞ、吾輩は咄嗟に転移魔法を使ったのだ。だがここまで時間の空白が生じるとは思わなんだ、これは異空間による影響やも知れんな』

 神龍が言うんだ、信憑性はある。なら賢者も冒険者も生きている可能性があるってことだ。
 でも、異世界事情なんて俺は知らないし、ましてや冒険者もダンジョンとかも、テレビやゲームで得た知識しかない、それも低レベルの初級編だ。
 今は話を聞くに留めたほうが良さそうだ。

 そうだ、女神の言っていた"イリーガルハンター"のことを聞いてみよう、神龍なら何か知っているかもしれない。

『それとさ、フォボスはイリーガルハンターって知ってる?』
『また随分とレアな職種だな。確か"非合法の狩人"だったか、死者を蘇らせ、魔力を持つものを狩る闇のハンターだ』
『へえ~』
 
 魔力を持つもの、まさに今の俺だ。だから女神は要注意と言ったのか――

『ただ、ハンターになるには条件がある。治癒士ヒーラーの魔力と、黒星石ブラックアストルムという、特殊な鉱石を持っていなければならない』
『なるほど、なんにせよ、俺たちには脅威だ』
『そうだが、特別な加護があれば対処可能だ』

 おっ?
 
『へー、特別なねえ……その加護ってどんな?』
冥王めいおうの加護だ。魂の管理人で、死に関係するあらゆる状態を無効化する力を持つ。つまり無敵状態になるということだ』

 ちょっと、何そのおいしい話――正に特典。これは相当レアな加護なのでは?

 ということで、俺は無謀にも、フォボスにこれまでの経緯と俺の正体を暴露した。
 するとフォボスはカッカと笑い、俺の転生話を興味津々に聞いていた。
 どうやら神龍でも、"異端者"という転生スキルは知らないようだった。
 それと、加護を授かったことは秘密にした、まだ俺の身に何も起こっていないからだ。

 フォボスは物知りだ、きっと必要な存在になる。
 
『どうだろう、俺と交友関係を結んでくれない? フォボスの知恵と力を借りたいんだ』
『――良かろう、吾輩もこの世を観てみたい。交友とは友ということで良いか? 吾輩はずっと友を望んでいたのだ』
『うん、友達としてよろしくな!』
 
 それから、俺の正体はフォボスにしか明かしていないとの言うと、フォボスは大層よろこんで、俺を友達から親友に昇格させた。
 それなりに信頼は得られたらしい。
 
 ついでに俺の家族構成も話しておいた。当然と魔王の存在は承知していたが、シルヴァ母さんについては、ダンジョンで見かけたくらいにしか覚えていないという。

『そうか、あのエルフは賢者の仲間か……』

 俺が思うに、賢者がダンジョンを消滅させた、そう考えれはダンジョンが忽然と消えた謎も筋が通る。しかしなぜ冒険者まで……。
 
 とにかくと、俺はフォボスには明日の朝また来ると言って樹海を離れた。

 さて、レクスにフォボスのことをどう話そうか、流石にノンフィクションはキツイだろうから、脚色を交えて話すとしよう。


 翌朝――

 俺は朝食の時に、レクスにフォボスのことを話すと、少し驚いた様子だったが、その後はただ黙って聞いていた。きっとシルヴァ母さんのことを考えていたのだろう。

 食事が済むと、俺とレクスは樹海へ向かった。見れば死霊ネクロに囲まれた人間の姿があった。

「……マジ?」

 おそらくフォボスと思われる、妖艶でピッカピカのイケメン野郎が俺に手を振る。
 異世界って……。

「もしもしフォボスくん、その姿はなんぞや……」
「やあ、吾輩の親友ジニアス、おはよう。人間に化けた方が良かろうと思ってな」

 レクスはあんぐりと口を開けて放心状態、まあそうなるよね。

「ほ、ほらレクス、神龍のフォボスに挨拶して」
「あ、はい、は、初めまして、執事のレクスでございます。この度はシルヴァ様にご協力くださるとのこと、誠にありがとうございます」

 そう、レクスには消えたダンジョンの真相を探りにフォボスはやって来た、という設定にして話た。
 フォボスには伝えていないけど察してくれたようで、上手く話を合わせてくれた。

「吾輩はジニアスに協力するのだ、間違えるでないぞ。其方そなたは魔人と聞いたが、もしやマギの世界の魔人か?」
「あ、はい、良くご存知で。マギの世界でも神龍の方々は神秘で有名でございました、そのお方に認知されていたとは、恐悦至極に存じます」

 あのさ、マギだかなんだか知らないが、名刺交換的な挨拶はやめろって、業界人かよ。

「ほらふたりとも、レクスはいつも通りで、フォボスはもっとフレンドリーに話すこと」
「了解した。ではレクスよ、暫し面倒になる、よろしく頼むな」
「お任せください」

 やれやれ、ようやく一歩前進だ。

「坊ちゃま、そろそろクラブのお時間です」

 半歩後退……。

 
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