俺とダークサイドファミリア 〜仕組まれた転生と異世界事情〜

ケイソウ

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6話 王宮の謁見室

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 俺はレクスにフォボスのことを任せて、仕方なくクラブへ向かった。
 教室のドアを開けると、何やら大勢の男たちがたむろっていた。さっそくモブAを捕まえて事情を訊く。

「なあ、これはいったいどういう状況?」
「あ、ジニアスくん。それがさあ、貴族の斬殺事件で王宮機動隊が動き出したんだって。ほら、メネスくんは貴族でしょ? 心配した彼の父親がなんか抗議したっぽいよ」
「えっ、まさかこのクラブに警護隊が?」
「うん、そのまさかだよ」

 まあ、顔見知りが殺されたら俺たちも夢見が悪い、メネスはいけすかない奴だけど、父親からすれば可愛い我が子だ。
 だからってクラブに警護隊はないだろ。

「ようジニアスくん、待ってたぞ」

 と、声を掛けてきたのはあの警護隊長だ。

「あ、どうも隊長……」
「俺はエルドだ、君の昇進が決定した」
「……はっ?」

 いきなりレクスの思うツボかよ。ここはやんわりと経緯の内容を聞き出そう――

「俺がですか? またなぜそんなことに……」
「貴族の斬殺事件は知ってるな? それにともなって少しでも戦力が欲しいんだよ」

 見張りの増員ってところか。貴族の殺害ともなれば、国も黙ってはいられないだろう。
 
「あのう、メネスくんは?」
「彼は魔力保持者だが、保護対象になったんだよ。それにここだけの話し、彼は弱っちいし生意気だし、こちらとしては戦力対象外にしたいのさ」

 ほう、まともな意見でなによりだ。でも隊長のように本音を言える人が果たして他にいるだろうか。
 どうせ王宮の連中なんて貴族の味方が大半で、口先だけのポンコツ集団に違いない。

「人手不足とはいえ、俺で良いんでしょうか?」
「うん、それがな、ふたりのことを王宮機動隊に話したら、特待生でも使えない奴はいらん、そいつを寄越せって即答だったよ、だから安心しろ」

 実力主義ってことか――レクスのにハマるのはしゃくだけど、やるしかないんだろう。
 
「はい、ありがとうございます、エルド隊長」
「おう、頑張れよ! じゃあ行こうか」

 さっそくか、拉致同然のお誘いは危険な予感しかしない。念のため身体に結界を張っておこう。
 用心用心、火の用心ってね。
 

 俺はエルド隊長と一緒に、機動隊専用の幌馬車に揺られ王宮の門をくぐった。
 途中、他の地区の昇級者も合流した。しかし、見渡せば真面目な優等生や、勇者気取りの勘違い野郎に、ピッカピカの真新しい装備を着けた貧弱貴族とかで、空気はどんより濁って酔いそうになった。

 気分最悪の中、エルド隊長の後に付いて、煌びやかな宮殿をツアー感覚で眺めていると、練習場と思われる広場に着いた。

「よし、皆んな整列!」

 エルド隊長の号令がとどろく。そこへ、もう絶対にヒーローだろって勇者オーラを漂わせた隊長格と、その後を兵士たちが連なる。
 
 アニメでよく見る光景とくれば、ヒーローの武勇伝から始まり、部隊の規則説明とかの長話しだ。
 なら先に貧血を装って倒れてやろうか、ウケること間違いなしだ。

「皆んな良く来てくれた、私は王宮公安機動隊の隊長でロサードだ。早々で悪いが、班分けをする。それとエルド隊長、ジニアスくんと一緒に私に付いてきてくれ。ナハト副隊長、後は任せたぞ」
「了解です、隊長」

 これは予想外の展開だ、しかも公安?
 あのテロとか過激派を扱う特殊部署の?
 
 そりゃ国なんだから公共の治安って意味では違いないが、異世界だよね?
 機動隊もそうだけど、まるで前世の警察さながらだな。その公安が俺に何の用があるんだろう、内部侵入は成功したが、俺はあくまで部外者のつもりなんだけど……。
 
 それにしても、俺の横でエルド隊長は質疑もなく黙って歩く。これから行く場所を知っているのだろうか、護衛隊や機動隊は俺の敵か、味方か――

 そこへ羽音と共に、アピスに持たせた蜂型ドローンが俺の肩に留まった。
 これは前世の画期的な遠隔飛行を、俺が魔力で自動認識追跡飛行にして作った便利アイテムだ。
 もちろん音声搭載付きである。

 スピーカーからアピスの声が流れる――

『ジニアス様、謁見室えっけんしつという部屋に魔力保持者がいる模様、おそらく国王とその配下ではないかと』
『国王……わかった。お前は相変わらず優秀だな、ありがとう、助かったよ』
『恐縮です』

 きっとレクスの命令だろう――流石ボス。

『それと、斬殺事件のことですが、貴族の中でも特に魔力保持の高い者に限られているようです。引き続き詳しく調べて参ります』
『斬殺事件……うん、よろしく』

 そういえば調べるって言ってたなあ……父さんやフォボスのことがあってすっかり忘れてた。

 暫く王宮内を歩いて、アピスの言っていた謁見室と書いてある部屋で止まった。
 いったい何を言われるのやら――

「公安のロサードです、入ります」
「ああ、どうぞ」

 落ち着いた声が応える。ロサード隊長、エルド隊長、そして俺の順で部屋へ入った。
 王が正面に座り、その横に年老いた男が座っていた。男は王の友人、もしくはお抱え魔術師といったところか。机の上の魔術書に手を置き、眼鏡の奥で品定めするように俺を見る。

「おお、ロサード隊長にエルド隊長、ご苦労様。ではさっそくだがジニアスくん、座ってくれ」
「あ、はい、失礼します」
「悪いが、君たちは外で待っていてくれるかな」

 国王が隊長たちに席を外すように言うと、

「ですが……」

 と、ロサード隊長は戸惑うが、エルド隊長は俺の肩をポンっと叩き、ロサード隊長の背中を押して退出した。残された俺は取調室の容疑者かよ、と思いながら席に着いた。
 
 まあ似た様なもんだが、俺はどうなる?

 
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