俺とダークサイドファミリア 〜仕組まれた転生と異世界事情〜

ケイソウ

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7話 王と老魔術師

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 さっそく王の自己紹介から始まった――

「私はフォルティス・ヴェルデ、この国の王である。ではジニアスくん、君のことを調べさせてもらった。君はシルビア・フェルモントの息子で間違いないね?」

 シルビア? ああ、きっと母さんが偽名を使ったんだな、クラブの手続きなんてレクス任せだったし、特に問題はないはずだ。

「はい、そうです」
「ではジニアスくん、再度聞こう。君は元聖剣士で死霊魔術師ネクロマンサー・フェルモントのだね?」

 いきなり何なんだこいつら、シルヴァ母さんの知り合いか? それに、俺が拾われた経緯を知るのはダークファミリーだけだ。いったいどこから情報を得たのか。
 
 俺は国王を見据えて口をつぐんだ――

「…………」
「おいおい、私たちは君や家族をしいたげたり、脅かすつもりも否定するつもりもない。ただ真実を知りたいのだ」
「王よ、彼が沈黙するのも無理はない。ここは我らとシルヴァの繋がりを先に話すのが礼儀であろう」

 そう言って老魔術師が王をなだめる。重い空気の中、老魔術師が話し始めた。

「気分を悪くさせてすまない。こう見えて儂とシルヴァは同期なのだ。昔、儂らは共に魔術を習い、良きライバルであった。しかし彼女は黒魔術へと転向し、儂らの前から姿を消した。おそらく昔の出来事をなげいているのだろう。彼女に責任はないというのに……」

 シルヴァ母さんからダンジョン消滅の内容を聞かされたってことか、レクスの話とも辻褄つじつまは合う。だからといって、俺は家族以外の話は信用しない、俺にどうしろっていうんだ。

「――なぜ俺を呼んだ」
「魔力保有者である君の力を借りたい」

 魔力保有者だって? こいつら憶測でものを言っているのか、確かにシルヴァ母さんは黒魔術ウォーロック使いだが死霊魔術師ネクロマンサーだし、魔力はクラビス父さんからだ。
 いったいどこから情報を得たのか――

 地上に降りて10年、何となくだが、この国は歯車が狂い始めている気がする。
 おそらく、賢者によるダンジョン消滅で、新しい国家に成らざるを得なかった。
 元々は冒険者を客として盛えていたのだろう、今では貴族がお得意様で、不労者は路上生活を強いられている現状。
 
 国民はどう思っているのだろうか――いつまでもスキルの上がらない魔力保持者、剣術には程遠い基本練習オンリーの毎日、治安維持とは名ばかりの大衆任せ主義の国家。
 俺の生きた現代社会の真似でもするつもりか?

 仮に、この国が何かしらの問題を抱えているとして、女神が俺をシルヴァ母さんのもとへ転生させた理由は、この国と関わり合わせたかったからではないのか。
 あのくじ引き、箱の中身がすべて"異端者"と書かれていたらどうだろう、まだ謎は多いが的外れではないと思う。
 
 もしかして、女神は誰かと繋がっている?
 上手い話には裏があるともいう。
 特典はそのためか――

 おっと、いつまでも沈黙を通す俺に困惑しきってるようだし、意地の悪い放置プレイも趣味ではないので、まずは話を聞こう。

「ハァ、言っておくが、母は関係ないんで巻き込まないで頂きたい。それで、力を借りたいとは?」
「おお! 話を聞いてくれるか! よ、よし、この魔術師はゾイレ・ルークスと言って、私の相談役なんだが、先日、ある夢を見たというんだ」

 夢? また随分と非現実的な話だ、夢物語を信じる歳でもないだろうに。
 
 その幼稚な老魔術師が興奮したように語り始めた。

「儂は王から不穏な動きがあると相談された翌日、ある女性が夢に出てきてこう告げた、『エルフのシルヴァに養子がいる、魔力保有者のその者に託せ』と。エルフでシルヴァといえば同期のシルヴァ・フェルモントしか思い付かなかった。しかし、養子がまだこんな若い青年だとは……」

 女性……おそらく、無愛想で俺を片手間扱いし、しかも俺を魔力保有者とか言っちゃう犯人、その名は迷惑女神。
 それはさておき――どうやら予想は的中したらしい。一難去らずにまた一難か……。

「随分と馬鹿げた話だが、俺のことを詮索するのはやめてもらいたい。その上で話を聞こう」

 あ、いつの間にかタメ口になっちゃってるけど、ツッコまれないからまあいいか。

 王は安堵したのか、身を乗り出して話す。

「承知した。ジニアスくんも貴族斬殺事件を知っていると思うが、実はもっと前から起こっているのだ。始まりはこの宮殿内の貴族兵士斬殺からだ」
「貴族の兵士?」
「あれは奇怪な出来事だった、古びた装具をまとった冒険者風の男女が、突然この城に現れ、まるで敵を討つかのように、魔術を放つ兵士だけを斬殺して消えたのだ」
「男女? そのふたりだけ?」
「そうなんだ、男はかなりの強者であった」

 俺の予想が正しければ、異空間に巻き込まれた冒険者ではないか。
 もし冒険者の仕業だとして、なぜ魔力保持者だけ狙ったのか、意図は? 巻き込まれた仕返しか?
 
 レクスの話だと、彼らは賢者と組んだパーティメンバーだったか、顔見知り、それとも即席で組んだパーティか、今となっては調べようがないが……。
 
 あ、いるじゃん、冒険者を知る奴が我家に!

 
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