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01話
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「え~。 で、あるからして。ここの式の解はこうなるので…となります。」
と中年のおじさん先生がホワイトボードにつらつらと式を書きながら説明をする。時刻は午後4時少し前。この授業を乗り切れば家に帰れる、そんな時刻。
(ああ…眠…)
と僕…比那山秋葉はあくびを噛み殺して心の中で呟いた。ただでさえ難解になりつつある数学の授業の講師が一方的に喋るだけの先生。大外れもいいところだ。
僕は板書をノートに書き写し、辺りを見る。するとクラスの半分以上の男子が机に突っ伏していた。
余談になるがこの先生、やる気があるのか無いのか授業はやる気のない声でホワイトボードに式を並べ説明するだけで寝ている生徒を起こすどころか注意すらしないのでこの授業は、爆睡する同級生が多く試験週間になるとプラスαとして別教科の勉強…いわゆる内職をする生徒まで出てくる無法地帯と化している授業だ。
(今晩は何にしようかな…)
なんてよそ事を考えていた時、いきなり先生が
「はい、じゃあ今からテストするのでみなさん起きてくださ~い。」
と先生が満面の笑みでこっちを向くとそう言い放った。
「「「はぁぁああああ!?」」」
というクラスメイトの大絶叫の最中、トンっと何かが右足に当たったような感覚がした。
視界を下に向けると、消しゴムが転がっていた。周りのクラスメイトがブーブーとブーイングを飛ばしている中僕はそれを拾い上げる。
誰の落とし物だろうと周りをキョロキョロしていると、
「あの…秋葉くん。その消しゴム、私の。」
と隣から遠慮がちな声でそう聞こえた。隣の席の子はこの学校で一番の美人と謳われるほどの顔面偏差値を誇る秦琴葉さんだったっけと思い返しつつ声のした方を向くと記憶通りに可憐な少女がこちらを向いて手を出していた。
僕は消しゴムをコロンと彼女の差し出された手のひらに転がすと、
「ん、ありがとう。」
とお礼を述べられた。…ちなみにその後テストは行われることはなかったのだが、その代わりに僕らのクラスは下校時間がとてつもなく伸びた。
帰り道、僕はいつもの悪友の皆と一緒に帰路についていた。
「あ、あのクソ教師…コロス…いつか絶対にコロス…」
と勝手に1人殺意の波動に目覚めているこいつは八坂晴樹。中学時代からの仲でガタイが良く、背が高い。帰宅部のゲーム大好きマンなのだが、恵まれた身体能力のせいか度々バスケ部やラグビー部から助っ人を頼まれるようなちょっとすごい奴。
「激しく同意、奴の湯呑みに強力下剤でも仕込むか…」
…お前もか、…こいつは古谷大輝。大輝は春樹と違い、春樹が身長が178cmぐらいなのに対し、陽太は身長が168cm程と小柄だがその分身軽で手先が器用な為、料理や裁縫、機械いじりが得意。ちなみに寡黙な紳士である。
「あんたらは授業中寝てたでしょう!?ならそんな文句を言わないの!」
と殺意の波動に目覚めた2人組の頭をしばいた彼女は燎雛立。少し茶色っぽい黒色の髪をポニーテルにしている彼女は全てが引き締まった体つきをしており、わかりやすく言うとキュッキュッキュだ。
「あんた…今なんか失礼なこと言わなかった?」
「い、いいいいい嫌、な、何も!?」
「そ、ならいいけど。」
…女の子って恐ろしい。僕はつくづくそう思う今日この頃だった。
と中年のおじさん先生がホワイトボードにつらつらと式を書きながら説明をする。時刻は午後4時少し前。この授業を乗り切れば家に帰れる、そんな時刻。
(ああ…眠…)
と僕…比那山秋葉はあくびを噛み殺して心の中で呟いた。ただでさえ難解になりつつある数学の授業の講師が一方的に喋るだけの先生。大外れもいいところだ。
僕は板書をノートに書き写し、辺りを見る。するとクラスの半分以上の男子が机に突っ伏していた。
余談になるがこの先生、やる気があるのか無いのか授業はやる気のない声でホワイトボードに式を並べ説明するだけで寝ている生徒を起こすどころか注意すらしないのでこの授業は、爆睡する同級生が多く試験週間になるとプラスαとして別教科の勉強…いわゆる内職をする生徒まで出てくる無法地帯と化している授業だ。
(今晩は何にしようかな…)
なんてよそ事を考えていた時、いきなり先生が
「はい、じゃあ今からテストするのでみなさん起きてくださ~い。」
と先生が満面の笑みでこっちを向くとそう言い放った。
「「「はぁぁああああ!?」」」
というクラスメイトの大絶叫の最中、トンっと何かが右足に当たったような感覚がした。
視界を下に向けると、消しゴムが転がっていた。周りのクラスメイトがブーブーとブーイングを飛ばしている中僕はそれを拾い上げる。
誰の落とし物だろうと周りをキョロキョロしていると、
「あの…秋葉くん。その消しゴム、私の。」
と隣から遠慮がちな声でそう聞こえた。隣の席の子はこの学校で一番の美人と謳われるほどの顔面偏差値を誇る秦琴葉さんだったっけと思い返しつつ声のした方を向くと記憶通りに可憐な少女がこちらを向いて手を出していた。
僕は消しゴムをコロンと彼女の差し出された手のひらに転がすと、
「ん、ありがとう。」
とお礼を述べられた。…ちなみにその後テストは行われることはなかったのだが、その代わりに僕らのクラスは下校時間がとてつもなく伸びた。
帰り道、僕はいつもの悪友の皆と一緒に帰路についていた。
「あ、あのクソ教師…コロス…いつか絶対にコロス…」
と勝手に1人殺意の波動に目覚めているこいつは八坂晴樹。中学時代からの仲でガタイが良く、背が高い。帰宅部のゲーム大好きマンなのだが、恵まれた身体能力のせいか度々バスケ部やラグビー部から助っ人を頼まれるようなちょっとすごい奴。
「激しく同意、奴の湯呑みに強力下剤でも仕込むか…」
…お前もか、…こいつは古谷大輝。大輝は春樹と違い、春樹が身長が178cmぐらいなのに対し、陽太は身長が168cm程と小柄だがその分身軽で手先が器用な為、料理や裁縫、機械いじりが得意。ちなみに寡黙な紳士である。
「あんたらは授業中寝てたでしょう!?ならそんな文句を言わないの!」
と殺意の波動に目覚めた2人組の頭をしばいた彼女は燎雛立。少し茶色っぽい黒色の髪をポニーテルにしている彼女は全てが引き締まった体つきをしており、わかりやすく言うとキュッキュッキュだ。
「あんた…今なんか失礼なこと言わなかった?」
「い、いいいいい嫌、な、何も!?」
「そ、ならいいけど。」
…女の子って恐ろしい。僕はつくづくそう思う今日この頃だった。
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