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白魔法の文献編
203話『内緒の話し合い 3』
しおりを挟む「今回の事件に関わる魔物はハイライト王国からやってきたわよね?」
というマリエラの問いかけに私達は頷いた。
「だから、ドルステン側からしたら
魔物を送り込んだハイライト国の陰謀に見えるし、
今回の新しい病気を発症したのが、ハイライト国側の兵舎に勤める
兵士達だから、噂に信憑性が生まれつつあるのよ」
今回のハイライト王国側からの魔物の出現と
ハイライト王国側にある兵舎の兵士だけに発症した新しい病気か。
確かにハイライト王国の陰謀だと言われたら納得しそうではある……かな?
「だけど、コンラート様が
ハイライト王国側の村や街も見て、
魔物の被害のあった地図を作っていたはずよね?
ハイライト側にも被害が出ているのに陰謀だといえるの?」
私はコルトでコンラート様に見せて貰った地図を思い出した。
あれには確かに、ハイライト王国側にもバツ印がついていた。
「ハイライト王国側にも国境砦があるのは皆知っていると思うけれど
コンラート様が調べたのはこの国境砦のある手前までよ」
と言ってマリエラは紙と魔法ペンを取り出して
サラサラと両国の砦間の地図を書き出した。
マリエラの地図は精密でかなり上手だった。
「砦と砦の間には数百キロにわたった草原が広がっているわ。
そこには亜人や異民族や国から出た者達が集落を作っているのよ。
両方の砦にちゃんと税を納めている者達だけれど、
彼らは、はっきりとどっちの国に所属しているとは公言していないの。
両国に税を納めているから、見逃されているとも取れるけれどね」
なるほど。
マリエラの説明で大体理解できた。
コンラート様の地図の印はこの砦の間にある村や集落だったという訳ね。
「話を戻すわね?」
マリエラは小さな羊皮紙が丸めてある紙を複数取り出して机に広げた。
細かい文字でこまめにやり取りされてあるので手紙だという事が分かる。
「これは、ハイライト国王である私の父の手紙よ。
内容は、ハイライト王国の臣下の中で
この事件はドルステン王国側の陰謀だと言いだした者達がいる。
という内容よ。
最初に言っておくけれど、父はドルステンの陰謀だと思ってはいないわ」
頷いた私達にマリエラは話を続けた。
「ハイライ王国側に出現した魔物は父が兵士を差し向けて
対処していたらしいのよ。
魔物は、複数個所に現れたから、各領の領主達が所有する兵と
国が所有する兵とで対処をしていたの。
国が所有する兵を分散しないといけないし、
エレノア様のように目立った星霊憑きはうちの国には居ないから……
兵士達だけで対処していたのよ」
ハイライト王国でもちゃんと対応していたと。
「でも、魔物は命の危険に晒されると逃げる習性があって……
別々の場所で戦っていた魔物も示し合わせたように
皆、同じ方向に逃げたのよ。 それが、ドルステン王国」
別々の場所で戦っていた魔物が
一斉に逃げた先がドルステン王国だったと……。
マリエラの言いたいことが分かってしまったよ。
ハイライト王国側がドルステンの陰謀だと思ってしまっても
しょうがない状態なわけだ。
「国同士が、お互いに怪しんでいる状態なのだな」
というベリアル様の言葉に、マリエラは頷き、
私たちは険しい表情になるのだった。
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