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1. デスゲーム世界に転生
No. 3
解毒条件: 自分以外の全プレイヤーの死亡
「なによこれ?」
私は首を傾げながら、手にしたプレートに書かれた文字を読む。
「どこだ、ここ……」
広がる青い空に、聞こえてくるのは波の音。ここはどこかの海岸だろう。
(う~ん?)
私は記憶をたどることにする。
真っ先に思い出すのは「学校に遅れるっ!」と自転車を大慌てで立ち漕ぎした事実。そして――突っ込んでくるトラック。否、私がトラックに突っ込んだのかもしれない。ごめんね、トラックの運ちゃん。
(……どうやら、死んだみたいね。ということは、これは異世界転生ってやつね)
こんな場所に見覚えないし。
私はキョロキョロと当たりを見渡すが、どうにも人の気配が存在しない。建物もなく、いかにも無人島という雰囲気だ。
(ここはどんな世界なんだろう?)
せっかく異世界転生したのなら。できれば楽しい世界に生まれたいよね、チート無双だってしてみたい! 私は、テンション高く今後への期待に胸を膨らませる。(最初に見た不穏なプレートの文言は、無意識に脳からはじき出されていた)
しかし現実逃避は許さないとばかりに、電話の着信音のようなピピピピっと耳障りな音が鳴り響く。
ついで目の前に「受信しますか?」というポップアップが現れる。
「なによこれ?」
存在を主張するように目の前のポップアップが明るく明滅し、やがては勝手に「はい」が勝手に選択された。この世界にもともと住んでいた私――ティアナの知識により、これが"魔法"による現象であることを知る。
(拒否権ねえのかよ)
そう内心で毒づいていると、耳の中で機会の合成音が鳴り響いた。
『ここにいる時点で、ゲームの辞退は認められない』
『このゲームの目的は、各プレイヤーが各々に割り振られた【解毒条件】を達成し、自らに仕掛けられた【毒】を解除することである』
『7日以内に【毒】を解除できなければ、体内の毒が体に回り死に至るだろう』
『このゲームの勝利条件は、7日後に生存していることである(死者は敗北扱いとなり報酬は渡らない)』
ろ、ろくでもない世界に転生してしまった~!
私は思わず叫びそうになった。パニックに陥りそうになるも、自分の中の冷静な部分が【解毒条件】とやらを確認する。何度見てもそこには「自分以外の全プレイヤーの死亡」と書かれていた。
『プレイヤーは全部で6人。
アドリック・ジュレール、エルヴィス、ティアナ・クラリエル、ジェミニ・ルネスティン、ヤン、エミリーの6人だ』
プレイヤーは全部で6人。私は重要そうな情報を脳に叩き込む。
それにしても、このファンタジー風の名前……。日本に住んでいる私に聞き覚えが無い筈なのに、何故なじみのある名前と感じるのだろう。
アドリック、エルヴィス……エミリー。エミリーにティアナ・クラリエル!?
私はそれらの名前を聞いて凍り付いた。これらの名前は、前世で遊んでいた『ラスト・クイーン』という乙女ゲームに登場するキャラクターたちの名前であった。両親に嫌われていた前世の私は、友達もできずに自分の世界に閉じこもり乙女ゲームや少女漫画などのサブカルチャーにどっぷりとはまっていったのだ。
数々の乙女ゲームを手にしてきた私であったが、この作品は中でも印象的だった作品であった。自らの生き残りをかけて場合によってはヒロインと攻略対象が殺し合うこともある、俗に言う『デスゲームもの』と呼ばれるジャンルのゲームだったのだ。「極限状態での恋愛」をコンセプトに作られた作品であり、人によっては深く突き刺さる。一方、合わない人にはとことん合わず、駄作と切り捨てられていた。
『それでは1番の人から自己紹介をしてもらおうか』
「アドリック・ジュレール、第三王子だ。権力争いに負けただけでなく、こうして金持ちの道楽で見せ物にされようとは情けないな。哀れな俺を嘲笑うが良いさ。私は……自らの信念を最後まで曲げるつもりはない!」
力強い宣言。
『自己紹介ありがとう、無事生き残れると良いね。
では次の方ーー』
耳障りな機械音により、ゲームの参加者は自己紹介をさせられていた。この状況にも見覚えがあった。というのも前世で遊んでいたゲームの導入部の流れとまったく同じなのである。ゲーム的に言えば、このシーンは攻略対象の紹介を兼ねていたのである。
それぞれの自己紹介は、不思議な魔法により私の前にも映し出されていた。きっと私意外の参加者にも、自己紹介が映し出されているのだろう。
『はい次の方ーー』
自己紹介タイムは、粛々と進んでいく。
そういえばこのゲームには、全ルートでラスボスとして立ちはだかる「悪役令嬢」と呼ばれるライバルキャラが存在したな、と私は現実逃避していた。
目の前に映し出されているのは、真っ赤な髪をアップに束ねた勝ち気そうな少女。
そうそう、この「ティアナ」というキャラがラスボスだった。真っ赤な髪の毛から受ける印象のとおり、最強の炎魔法の使い手。攻略対象への好感度が足りないと攻略に成功しても「バトルパート」で勝てないという、悪夢のような作りになっていたっけ。
(う~ん? 貴重な自己紹介タイムなのに、ちっともしゃべらないね)
私は目の前の映像を眺めながら首をかしげる。
映像の中のティアナも首をかしげた。
自分の仕草と完全に一致する映像の中の少女。
(ま、まさか・・・?)
そんな、そんなこと……。思わず液晶をキッとにらみつけると、同じように映像のキャラクターもにらみ返してくる。
間違いない。このキャラクターはーーーティアナは私だ。私は、デスゲーム世界の悪役令嬢・ティアナに転生してしまったのだ。
――もてあそびやがって。
――ふざけるな。
解毒条件: 自分以外の全プレイヤーの死亡
「なによこれ?」
私は首を傾げながら、手にしたプレートに書かれた文字を読む。
「どこだ、ここ……」
広がる青い空に、聞こえてくるのは波の音。ここはどこかの海岸だろう。
(う~ん?)
私は記憶をたどることにする。
真っ先に思い出すのは「学校に遅れるっ!」と自転車を大慌てで立ち漕ぎした事実。そして――突っ込んでくるトラック。否、私がトラックに突っ込んだのかもしれない。ごめんね、トラックの運ちゃん。
(……どうやら、死んだみたいね。ということは、これは異世界転生ってやつね)
こんな場所に見覚えないし。
私はキョロキョロと当たりを見渡すが、どうにも人の気配が存在しない。建物もなく、いかにも無人島という雰囲気だ。
(ここはどんな世界なんだろう?)
せっかく異世界転生したのなら。できれば楽しい世界に生まれたいよね、チート無双だってしてみたい! 私は、テンション高く今後への期待に胸を膨らませる。(最初に見た不穏なプレートの文言は、無意識に脳からはじき出されていた)
しかし現実逃避は許さないとばかりに、電話の着信音のようなピピピピっと耳障りな音が鳴り響く。
ついで目の前に「受信しますか?」というポップアップが現れる。
「なによこれ?」
存在を主張するように目の前のポップアップが明るく明滅し、やがては勝手に「はい」が勝手に選択された。この世界にもともと住んでいた私――ティアナの知識により、これが"魔法"による現象であることを知る。
(拒否権ねえのかよ)
そう内心で毒づいていると、耳の中で機会の合成音が鳴り響いた。
『ここにいる時点で、ゲームの辞退は認められない』
『このゲームの目的は、各プレイヤーが各々に割り振られた【解毒条件】を達成し、自らに仕掛けられた【毒】を解除することである』
『7日以内に【毒】を解除できなければ、体内の毒が体に回り死に至るだろう』
『このゲームの勝利条件は、7日後に生存していることである(死者は敗北扱いとなり報酬は渡らない)』
ろ、ろくでもない世界に転生してしまった~!
私は思わず叫びそうになった。パニックに陥りそうになるも、自分の中の冷静な部分が【解毒条件】とやらを確認する。何度見てもそこには「自分以外の全プレイヤーの死亡」と書かれていた。
『プレイヤーは全部で6人。
アドリック・ジュレール、エルヴィス、ティアナ・クラリエル、ジェミニ・ルネスティン、ヤン、エミリーの6人だ』
プレイヤーは全部で6人。私は重要そうな情報を脳に叩き込む。
それにしても、このファンタジー風の名前……。日本に住んでいる私に聞き覚えが無い筈なのに、何故なじみのある名前と感じるのだろう。
アドリック、エルヴィス……エミリー。エミリーにティアナ・クラリエル!?
私はそれらの名前を聞いて凍り付いた。これらの名前は、前世で遊んでいた『ラスト・クイーン』という乙女ゲームに登場するキャラクターたちの名前であった。両親に嫌われていた前世の私は、友達もできずに自分の世界に閉じこもり乙女ゲームや少女漫画などのサブカルチャーにどっぷりとはまっていったのだ。
数々の乙女ゲームを手にしてきた私であったが、この作品は中でも印象的だった作品であった。自らの生き残りをかけて場合によってはヒロインと攻略対象が殺し合うこともある、俗に言う『デスゲームもの』と呼ばれるジャンルのゲームだったのだ。「極限状態での恋愛」をコンセプトに作られた作品であり、人によっては深く突き刺さる。一方、合わない人にはとことん合わず、駄作と切り捨てられていた。
『それでは1番の人から自己紹介をしてもらおうか』
「アドリック・ジュレール、第三王子だ。権力争いに負けただけでなく、こうして金持ちの道楽で見せ物にされようとは情けないな。哀れな俺を嘲笑うが良いさ。私は……自らの信念を最後まで曲げるつもりはない!」
力強い宣言。
『自己紹介ありがとう、無事生き残れると良いね。
では次の方ーー』
耳障りな機械音により、ゲームの参加者は自己紹介をさせられていた。この状況にも見覚えがあった。というのも前世で遊んでいたゲームの導入部の流れとまったく同じなのである。ゲーム的に言えば、このシーンは攻略対象の紹介を兼ねていたのである。
それぞれの自己紹介は、不思議な魔法により私の前にも映し出されていた。きっと私意外の参加者にも、自己紹介が映し出されているのだろう。
『はい次の方ーー』
自己紹介タイムは、粛々と進んでいく。
そういえばこのゲームには、全ルートでラスボスとして立ちはだかる「悪役令嬢」と呼ばれるライバルキャラが存在したな、と私は現実逃避していた。
目の前に映し出されているのは、真っ赤な髪をアップに束ねた勝ち気そうな少女。
そうそう、この「ティアナ」というキャラがラスボスだった。真っ赤な髪の毛から受ける印象のとおり、最強の炎魔法の使い手。攻略対象への好感度が足りないと攻略に成功しても「バトルパート」で勝てないという、悪夢のような作りになっていたっけ。
(う~ん? 貴重な自己紹介タイムなのに、ちっともしゃべらないね)
私は目の前の映像を眺めながら首をかしげる。
映像の中のティアナも首をかしげた。
自分の仕草と完全に一致する映像の中の少女。
(ま、まさか・・・?)
そんな、そんなこと……。思わず液晶をキッとにらみつけると、同じように映像のキャラクターもにらみ返してくる。
間違いない。このキャラクターはーーーティアナは私だ。私は、デスゲーム世界の悪役令嬢・ティアナに転生してしまったのだ。
――もてあそびやがって。
――ふざけるな。
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