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2. 貴様を魔族領への追放処分とする!
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「貴様が、未来の国母に働いたこれまでの罪。償ってもらうぞ」
フォード王子の声に、私は驚いて振り返ります。
真っ先に視界に入ったのは、ジュリーヌさんの嫌らしい笑みでした。
「罪とは何ですか?
確かにカレイドルさんの態度については、何度も注意したことはあります。
あまりにも目に付く場面が多かったですから」
ジュリーヌさんは、ところかまわず王子といちゃいちゃしていました。
お茶会でも彼女の評判は最悪でした。
不満も相当たまっていたはずです。
私があそこで注意しなかったら、さらに本当に手ひどい苛めに繋がっていたかもしれません。
それぐらいの想像は働かせてほしいものですが。
「すっとぼけるな! 暗殺未遂の件だ!」
「……お言葉ですが、おっしゃられる意味がサッパリ分かりません」
このバカ王子は、いきなり何を言い出したのでしょうか?
ここぞとばかりに王子は、言葉を続けました。
「あくまでとぼけるか。
『証拠なんて見つからない』と、タカを括っていたのだろう?
甘かったな。証拠もここにある」
やってもいないことの証拠なんてあるわけが……。
そう思っていましたが、すぐに王子の元に書類の束が届けられました。
「言葉を失っているな。ひっ捕らえた暗殺者が持っていたのだよ。
貴様がジュリーヌを暗殺するよう指示した書類をな」
――まさか?
いくらジュリーヌさんでも、そこまでするはずが……。
そう驚きつつ視線を向けると、彼女はニタァっと嫌らしい笑みを浮かべました。
「私、いつ殺されるかって不安で。
その、暗殺者に狙われるなんて今までにない経験で……。
あの時は申し訳ありませんでした」
「良いんだよ。悪いのはフィーネ・アレイドルただ1人だ」
バッとバカ王子の胸に飛び込むジュリーヌさん。
フォード王子は、いとおしそうにジュリーヌさんを抱きしめます。
とんだ茶番でした。
「そんなことしていません。冤罪です!」
「フィーネ・アレイドル、往生際が悪いぞ!
この書類が、貴様の罪を証明している!」
そんなもの。
少し考えれば罪をなすりつけるために、用意された偽の証拠だと分かるでしょうに。
「そんな指示書、わざわざ書面で残すはずがないでしょう!?
その道のプロである暗殺者が、依頼書を持ったまま依頼に当たるというのもありえません!」
「言い逃れはそれだけか?」
私の必死の説得は実を結ぶことはなく。
バカ王子は、すっかりジュリーヌさんを信じ切っているようでした。
暗殺未遂なんて罪状、不名誉どころの騒ぎではありません。
予想外の事態に慌てる私に対して、王子は自信満々に宣言しました。
「フィーネ・アレイドル。
貴様を魔族領への追放処分とする!」
一瞬、思考がフリーズしました。
「はい……? 魔族領、ですか?」
魔族領。
それは『魔族』と呼ばれる生物が支配する、恐ろしい土地のことでした。
私たち人間は魔族から逃れるため、結界内に閉じこもりどうにか生きながらえてきたのです。
フォード王子の宣言は、私をその結界の外に追放するというものでした。
――いやいや、冗談でしょう?
その処遇は、処刑の存在しないこの国では最も重たい処分です。
死刑の存在しない国で大罪人を裁くための、事実上の死刑宣告。
まちがっても軽はずみに口にするようなものではありません。
フォード王子の声に、私は驚いて振り返ります。
真っ先に視界に入ったのは、ジュリーヌさんの嫌らしい笑みでした。
「罪とは何ですか?
確かにカレイドルさんの態度については、何度も注意したことはあります。
あまりにも目に付く場面が多かったですから」
ジュリーヌさんは、ところかまわず王子といちゃいちゃしていました。
お茶会でも彼女の評判は最悪でした。
不満も相当たまっていたはずです。
私があそこで注意しなかったら、さらに本当に手ひどい苛めに繋がっていたかもしれません。
それぐらいの想像は働かせてほしいものですが。
「すっとぼけるな! 暗殺未遂の件だ!」
「……お言葉ですが、おっしゃられる意味がサッパリ分かりません」
このバカ王子は、いきなり何を言い出したのでしょうか?
ここぞとばかりに王子は、言葉を続けました。
「あくまでとぼけるか。
『証拠なんて見つからない』と、タカを括っていたのだろう?
甘かったな。証拠もここにある」
やってもいないことの証拠なんてあるわけが……。
そう思っていましたが、すぐに王子の元に書類の束が届けられました。
「言葉を失っているな。ひっ捕らえた暗殺者が持っていたのだよ。
貴様がジュリーヌを暗殺するよう指示した書類をな」
――まさか?
いくらジュリーヌさんでも、そこまでするはずが……。
そう驚きつつ視線を向けると、彼女はニタァっと嫌らしい笑みを浮かべました。
「私、いつ殺されるかって不安で。
その、暗殺者に狙われるなんて今までにない経験で……。
あの時は申し訳ありませんでした」
「良いんだよ。悪いのはフィーネ・アレイドルただ1人だ」
バッとバカ王子の胸に飛び込むジュリーヌさん。
フォード王子は、いとおしそうにジュリーヌさんを抱きしめます。
とんだ茶番でした。
「そんなことしていません。冤罪です!」
「フィーネ・アレイドル、往生際が悪いぞ!
この書類が、貴様の罪を証明している!」
そんなもの。
少し考えれば罪をなすりつけるために、用意された偽の証拠だと分かるでしょうに。
「そんな指示書、わざわざ書面で残すはずがないでしょう!?
その道のプロである暗殺者が、依頼書を持ったまま依頼に当たるというのもありえません!」
「言い逃れはそれだけか?」
私の必死の説得は実を結ぶことはなく。
バカ王子は、すっかりジュリーヌさんを信じ切っているようでした。
暗殺未遂なんて罪状、不名誉どころの騒ぎではありません。
予想外の事態に慌てる私に対して、王子は自信満々に宣言しました。
「フィーネ・アレイドル。
貴様を魔族領への追放処分とする!」
一瞬、思考がフリーズしました。
「はい……? 魔族領、ですか?」
魔族領。
それは『魔族』と呼ばれる生物が支配する、恐ろしい土地のことでした。
私たち人間は魔族から逃れるため、結界内に閉じこもりどうにか生きながらえてきたのです。
フォード王子の宣言は、私をその結界の外に追放するというものでした。
――いやいや、冗談でしょう?
その処遇は、処刑の存在しないこの国では最も重たい処分です。
死刑の存在しない国で大罪人を裁くための、事実上の死刑宣告。
まちがっても軽はずみに口にするようなものではありません。
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