冤罪で魔族領に追放されましたが、魔王様に溺愛されているので幸せです!

アトハ

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18. 私、すごい興味あります

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 リリーネさんとの気に置けないやり取りを見ていても分かります。

 根は気の良い人なんでしょう。
 でも……どうにも避けられている気がするんですよね。

「ヴァルフレア様?」
「何だ」

 ああ、この取り付く島もないぶっきらぼうな返答。
 やっぱり、私は距離を取られているんですね……。

 少ししょんぼりしましたが、気を取り直します。
 ああして話せているのは、リリーネさんがここで働いて信頼を勝ち取ったから!
 私だって――

「もしよろしければ……。ここに住まわせてくれませんか?」

 何でもやりますよ、とついでにアピール。

「どういうことだ?」
「結界を挟んで国があるのはご存知ですよね?」

 もちろんだ、と頷く魔王様。
 アビーも出入りしているらしいですからね、当然でしょう。

「あの国から、追放処分にされた身なんです。
 ここでは行くアテがないんですよ」

 さきほどのリリーネさんとのやり取りを見て。
 私は思い切って、自分の境遇を包み隠さず話してみることにしました。

 ある種の賭けだったのかもしれません。 
 それでも表面的なことだけを話していては、魔王様の態度は変わらないでしょう。

「知っている。当然、許可しよう。
 好きなように暮らすが良い」

 ふう、と安堵のため息。

 それにしても追放処分を『知っている』ですか。
 疑問は残りますが、少なくとも「このまま出ていけ」と言われなくて良かったです。

「またそんな言い方をして。
 魔王様がフィーネちゃんをこうして招待したのは――」
「リリーネ。いくら貴様でも、それを口にすることは許さんぞ」

「申し訳ありませんでした。
 きちんと、魔王様の口から伝えるんですね?」
「……善処しよう」

 魔王様とリリーネさんが、何やら早口で言い合っています。

 これまでもリリーネさんには良くしてもらいました。
 ヴァルフレア様も、私に敵意があるわけではなさそうです。
 だから、2人が何か良からぬことを企んでいるとは思いませんが……。
 こうして距離を取られて、コソコソ話を続けられて。

 ……何もかも秘密、というのは少し面白くないですね。

「ヴァルフレア様。
 本来、国からの追放処分は事実上の死刑です。
 魔族領で野垂れ死ぬはずだった私を、こうして保護していただいて感謝しております」

 まずは貴族のお手本のような淑女の一礼。
 薄い微笑みを浮かべたまま、お礼を言います。

「だからこそ! なぜそんな私を魔王城に招待したのか。
 私、すごい興味あります」

 じーっと、ヴァルフレア様を見つめてみました。

 ……ものすごい勢いで顔を背けられました。
 なんででしょう。
 嫌われているのではない、と思いたいですが……。

「よ、余はもう行くぞ。
 いつまでも話していては、貴様もせっかくのパーティーを楽しめなかろう」
「その前に、ほら。フィーネちゃんに言うことがあるでしょう?」

 一刻もはやく立ち去りたいと。
 何が何でも、魔王様は私と距離を取りたいようです。
 さすがに落ち込みます。
 
 ――だから

「元気そうで、本当に安心した。
 そのドレス、よく似合っている」

 突然発されたその一言は、予想外の不意打ちでした。
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