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9. 新たな日々へ
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数ヶ月後。
デビルシードの新商品は、空前絶後の大ヒットを記録した。
オリビアに贈ったアクセサリをプロトタイプとした新商品である。
妹がホクホクした顔で「売れ行きがヤバくてヤバイ」と、語彙力を喪失するほどに喜んでいた。
生活も一変した。
僕がデビルシード創業者であると、学園長が大々的に表彰したのだ。
飛ぶ鳥を落とす勢いの天才発明家。その理論は魔術学会でも革命的だと評され、今なお議論され続けている。
そんな情報が学園全体に知らされ――学園での僕に対する視線は一変した。
*
ある日の放課後の教室にて。
「馬鹿にして悪かった! どうか俺にも魔道具を作ってくれ……!」
「カインさんのこと、実は格好良いと思ってました!」
冴えないオタクと僕を蔑んでいたクラスメートたちは、驚くほど簡単に手のひらを返した。
「あれはオリビア専用の特別製。そう簡単には作れないよ」
「そこをなんとか――」
「ごめん。オリビアが待ってるから」
(さんざん「魔道具作りからは足を洗った方が良い」なんて馬鹿にしておいて、今さら作って欲しいなんて)
魔道具だってただではないのだ。
注文するのなら、きちんと正規の手順で手続きをして欲しい。
そうしてクラスメートたちの元を去った僕は、久々にある人物と再会する。
「エリシア……」
「あ、あの――」
「どうしたの?」
エリシアとは、すっかり疎遠になっていた。
一時期は僕の後ろをこっそりと付けたりもしていたみたいだけど、最近はそんな様子もない。
「私にも魔道具を作って欲しいなって……」
「どうして今さら? 僕の作ったゴミなんて、バラして売ってたんでしょ?」
エリシアにとって、僕の魔道具は欠片の価値もないはずだ。
「それは――私が間違ってたわ。それより……、カイン! 特別に、特別に――私と付き合うことを許可してやっても良いわ!」
(はぁ……?)
(今さら、何を言ってるんだろう?)
「物分りが悪いわね! あの日の告白をやり直すって言ってるのよ!」
振られた当日は、本当に落ち込んだ。
大好きな魔道具作りすらどうでも良くなるぐらいに悲しくなって――そこを慰めてくれたのが学園の聖女様だったのだ。
学園の聖女様。今では唯一無二の相棒にして、最高の戦友。
「それは悪いけど……。僕はもうエリシアのことは、何とも思ってないんだ」
共に魔道の道を極めんとするまっすぐな女の子で……、
――ああ、きっと僕は、彼女のことが好きなのだ。
だからもうエリシアに対する恋愛感情は無かった。
「カイン、嘘でしょう? なんの冗談よ」
「ごめん。用があるから、もう行くよ――」
「待って。待ちなさいよ!」
断られるなんて予想もしていなかったのだろう。
なおもエリシアが言い募ってくるが、
「魔道具なら作るよ。幼馴染だからさ……、サービスはする」
「それじゃあ、私と――」
「ごめん。それは無理。僕とエリシアは幼馴染だけど――それ以上でも、それ以下でもない。――これまで仲良くしてくれてありがとね」
ずっと騙されていたことに、思うところはあった。
それでもエリシアのおかげで、楽しい日々を送れていたことも事実なのだ。
不思議とスルリと出てきた感謝の言葉。
――それは決別の言葉であった。
「じゃあね、エリシア」
「待ちなさいよ! ――待って、よ……」
弱々しいエリシアの声が聞こえてきたが、僕は聞こえないフリをした。
この後は、オリビアと約束がある。
これからの楽しい時間に思いを馳せ、僕は待ち合わせ場所に向かうのだった。
デビルシードの新商品が大ヒットした後、なんと僕は学園から専用の研究室を与えられることになった。
なんでもデビルシードの新商品の開発にお役立てくださいと――とんでもない特別待遇である。
「……ただの学生がこんな環境を貰っちゃって良いのかな?」
「何言ってるんですか。先輩なら当たり前ですよ!」
放課後の研究室で、僕とオリビアはのんびり紅茶を飲みながら向き合っていた。
研究室内には、まるでずっとそうしてきたかのような、ゆったりした空気が漂っている。
「その正体を大々的に発表した今、先輩を欲しがる学校は他にも多いんです。もし好条件をちらつかされて、転校でもされたら大損害ですから」
「そんな大げさな……」
オリビアは、すっかり僕の研究室に入り浸っていた。
(学園の聖女様――)
(毎日のように一緒に居るけど、未だに信じられないや)
エプロンドレスが似合っており、今日も最高に可愛いらしい。
「先輩、先輩! それより今日は何の実験をするんですか?」
「今日は興味深い論文が出てるんだ。それを読み込んで――試してみようかな。オリビアも手伝ってくれる?」
「もちろんです!」
そんな可愛らしい少女は
――ともに魔道具の奥深さに飲み込まれた最高の同士なのだから。
魔道具の真髄は、まだまだ解き明かせていない。
今日も最高に楽しい時間が、僕たちを待っている。
デビルシードの新商品は、空前絶後の大ヒットを記録した。
オリビアに贈ったアクセサリをプロトタイプとした新商品である。
妹がホクホクした顔で「売れ行きがヤバくてヤバイ」と、語彙力を喪失するほどに喜んでいた。
生活も一変した。
僕がデビルシード創業者であると、学園長が大々的に表彰したのだ。
飛ぶ鳥を落とす勢いの天才発明家。その理論は魔術学会でも革命的だと評され、今なお議論され続けている。
そんな情報が学園全体に知らされ――学園での僕に対する視線は一変した。
*
ある日の放課後の教室にて。
「馬鹿にして悪かった! どうか俺にも魔道具を作ってくれ……!」
「カインさんのこと、実は格好良いと思ってました!」
冴えないオタクと僕を蔑んでいたクラスメートたちは、驚くほど簡単に手のひらを返した。
「あれはオリビア専用の特別製。そう簡単には作れないよ」
「そこをなんとか――」
「ごめん。オリビアが待ってるから」
(さんざん「魔道具作りからは足を洗った方が良い」なんて馬鹿にしておいて、今さら作って欲しいなんて)
魔道具だってただではないのだ。
注文するのなら、きちんと正規の手順で手続きをして欲しい。
そうしてクラスメートたちの元を去った僕は、久々にある人物と再会する。
「エリシア……」
「あ、あの――」
「どうしたの?」
エリシアとは、すっかり疎遠になっていた。
一時期は僕の後ろをこっそりと付けたりもしていたみたいだけど、最近はそんな様子もない。
「私にも魔道具を作って欲しいなって……」
「どうして今さら? 僕の作ったゴミなんて、バラして売ってたんでしょ?」
エリシアにとって、僕の魔道具は欠片の価値もないはずだ。
「それは――私が間違ってたわ。それより……、カイン! 特別に、特別に――私と付き合うことを許可してやっても良いわ!」
(はぁ……?)
(今さら、何を言ってるんだろう?)
「物分りが悪いわね! あの日の告白をやり直すって言ってるのよ!」
振られた当日は、本当に落ち込んだ。
大好きな魔道具作りすらどうでも良くなるぐらいに悲しくなって――そこを慰めてくれたのが学園の聖女様だったのだ。
学園の聖女様。今では唯一無二の相棒にして、最高の戦友。
「それは悪いけど……。僕はもうエリシアのことは、何とも思ってないんだ」
共に魔道の道を極めんとするまっすぐな女の子で……、
――ああ、きっと僕は、彼女のことが好きなのだ。
だからもうエリシアに対する恋愛感情は無かった。
「カイン、嘘でしょう? なんの冗談よ」
「ごめん。用があるから、もう行くよ――」
「待って。待ちなさいよ!」
断られるなんて予想もしていなかったのだろう。
なおもエリシアが言い募ってくるが、
「魔道具なら作るよ。幼馴染だからさ……、サービスはする」
「それじゃあ、私と――」
「ごめん。それは無理。僕とエリシアは幼馴染だけど――それ以上でも、それ以下でもない。――これまで仲良くしてくれてありがとね」
ずっと騙されていたことに、思うところはあった。
それでもエリシアのおかげで、楽しい日々を送れていたことも事実なのだ。
不思議とスルリと出てきた感謝の言葉。
――それは決別の言葉であった。
「じゃあね、エリシア」
「待ちなさいよ! ――待って、よ……」
弱々しいエリシアの声が聞こえてきたが、僕は聞こえないフリをした。
この後は、オリビアと約束がある。
これからの楽しい時間に思いを馳せ、僕は待ち合わせ場所に向かうのだった。
デビルシードの新商品が大ヒットした後、なんと僕は学園から専用の研究室を与えられることになった。
なんでもデビルシードの新商品の開発にお役立てくださいと――とんでもない特別待遇である。
「……ただの学生がこんな環境を貰っちゃって良いのかな?」
「何言ってるんですか。先輩なら当たり前ですよ!」
放課後の研究室で、僕とオリビアはのんびり紅茶を飲みながら向き合っていた。
研究室内には、まるでずっとそうしてきたかのような、ゆったりした空気が漂っている。
「その正体を大々的に発表した今、先輩を欲しがる学校は他にも多いんです。もし好条件をちらつかされて、転校でもされたら大損害ですから」
「そんな大げさな……」
オリビアは、すっかり僕の研究室に入り浸っていた。
(学園の聖女様――)
(毎日のように一緒に居るけど、未だに信じられないや)
エプロンドレスが似合っており、今日も最高に可愛いらしい。
「先輩、先輩! それより今日は何の実験をするんですか?」
「今日は興味深い論文が出てるんだ。それを読み込んで――試してみようかな。オリビアも手伝ってくれる?」
「もちろんです!」
そんな可愛らしい少女は
――ともに魔道具の奥深さに飲み込まれた最高の同士なのだから。
魔道具の真髄は、まだまだ解き明かせていない。
今日も最高に楽しい時間が、僕たちを待っている。
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