「オタクはキモいから近寄らないで」とこっぴどく幼馴染に振られましたが、なぜか学園の聖女様と付き合うことになりました~価値に気付いても遅いです

アトハ

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9. 新たな日々へ

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 数ヶ月後。
 デビルシードの新商品は、空前絶後の大ヒットを記録した。
 オリビアに贈ったアクセサリをプロトタイプとした新商品である。
 妹がホクホクした顔で「売れ行きがヤバくてヤバイ」と、語彙力を喪失するほどに喜んでいた。

 生活も一変した。
 僕がデビルシード創業者であると、学園長が大々的に表彰したのだ。
 飛ぶ鳥を落とす勢いの天才発明家。その理論は魔術学会でも革命的だと評され、今なお議論され続けている。
 そんな情報が学園全体に知らされ――学園での僕に対する視線は一変した。



 ある日の放課後の教室にて。

「馬鹿にして悪かった! どうか俺にも魔道具を作ってくれ……!」
「カインさんのこと、実は格好良いと思ってました!」

 冴えないオタクと僕を蔑んでいたクラスメートたちは、驚くほど簡単に手のひらを返した。

「あれはオリビア専用の特別製。そう簡単には作れないよ」
「そこをなんとか――」
「ごめん。オリビアが待ってるから」

(さんざん「魔道具作りからは足を洗った方が良い」なんて馬鹿にしておいて、今さら作って欲しいなんて)

 魔道具だってただではないのだ。
 注文するのなら、きちんと正規の手順で手続きをして欲しい。
 そうしてクラスメートたちの元を去った僕は、久々にある人物と再会する。


「エリシア……」
「あ、あの――」
「どうしたの?」

 エリシアとは、すっかり疎遠になっていた。
 一時期は僕の後ろをこっそりと付けたりもしていたみたいだけど、最近はそんな様子もない。

「私にも魔道具を作って欲しいなって……」
「どうして今さら? 僕の作ったゴミなんて、バラして売ってたんでしょ?」

 エリシアにとって、僕の魔道具は欠片の価値もないはずだ。

「それは――私が間違ってたわ。それより……、カイン! 特別に、特別に――私と付き合うことを許可してやっても良いわ!」

(はぁ……?)
(今さら、何を言ってるんだろう?)

「物分りが悪いわね! あの日の告白をやり直すって言ってるのよ!」

 振られた当日は、本当に落ち込んだ。
 大好きな魔道具作りすらどうでも良くなるぐらいに悲しくなって――そこを慰めてくれたのが学園の聖女様だったのだ。
 学園の聖女様。今では唯一無二の相棒にして、最高の戦友。


「それは悪いけど……。僕はもうエリシアのことは、何とも思ってないんだ」

 共に魔道の道を極めんとするまっすぐな女の子で……、
 ――ああ、きっと僕は、彼女のことが好きなのだ。

 だからもうエリシアに対する恋愛感情は無かった。


「カイン、嘘でしょう? なんの冗談よ」
「ごめん。用があるから、もう行くよ――」
「待って。待ちなさいよ!」

 断られるなんて予想もしていなかったのだろう。
 なおもエリシアが言い募ってくるが、

「魔道具なら作るよ。幼馴染だからさ……、サービスはする」
「それじゃあ、私と――」
「ごめん。それは無理。僕とエリシアは幼馴染だけど――それ以上でも、それ以下でもない。――これまで仲良くしてくれてありがとね」

 ずっと騙されていたことに、思うところはあった。
 それでもエリシアのおかげで、楽しい日々を送れていたことも事実なのだ。
 不思議とスルリと出てきた感謝の言葉。

 ――それは決別の言葉であった。


「じゃあね、エリシア」
「待ちなさいよ! ――待って、よ……」

 弱々しいエリシアの声が聞こえてきたが、僕は聞こえないフリをした。


 この後は、オリビアと約束がある。
 これからの楽しい時間に思いを馳せ、僕は待ち合わせ場所に向かうのだった。



 デビルシードの新商品が大ヒットした後、なんと僕は学園から専用の研究室を与えられることになった。
 なんでもデビルシードの新商品の開発にお役立てくださいと――とんでもない特別待遇である。


「……ただの学生がこんな環境を貰っちゃって良いのかな?」
「何言ってるんですか。先輩なら当たり前ですよ!」

 放課後の研究室で、僕とオリビアはのんびり紅茶を飲みながら向き合っていた。
 研究室内には、まるでずっとそうしてきたかのような、ゆったりした空気が漂っている。

「その正体を大々的に発表した今、先輩を欲しがる学校は他にも多いんです。もし好条件をちらつかされて、転校でもされたら大損害ですから」
「そんな大げさな……」

 オリビアは、すっかり僕の研究室に入り浸っていた。


(学園の聖女様――)
(毎日のように一緒に居るけど、未だに信じられないや)

 エプロンドレスが似合っており、今日も最高に可愛いらしい。


「先輩、先輩! それより今日は何の実験をするんですか?」
「今日は興味深い論文が出てるんだ。それを読み込んで――試してみようかな。オリビアも手伝ってくれる?」
「もちろんです!」

 そんな可愛らしい少女は
 ――ともに魔道具の奥深さに飲み込まれた最高の同士なのだから。


 魔道具の真髄は、まだまだ解き明かせていない。
 今日も最高に楽しい時間が、僕たちを待っている。
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感想 5

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みんなの感想(5件)

カピーフン
2022.03.08 カピーフン

かつて流行った『幼馴染みざまぁ』を彷彿とさせるストーリーがとても良かったです。

解除
ぱら
2022.03.05 ぱら

仕方ない。振ったの自分だもの(´д`)

解除
花鳥風月(元オーちゃん)

学園の聖女「計画通り(・∀・)ニヤニヤ」

解除

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