婚約破棄された悪役令嬢は、満面の笑みで旅立ち最強パーティーを結成しました!?

アトハ

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内心でガッツポーズ

 方針さえ決まればあっという間であった。
 もともと、両親は仕事が忙しく放任主義。
 使用人たちは放置される私を気の毒に思ったのか、多少のわがままは聞いてくれた。

  ――剣を教えて?
  ――魔法を教えて?
 可愛くおねだりをするだけで「お嬢様はやんちゃですね~」と言いながら、手取り足取り教えてくれたのだ。
 剣も魔法もそつなく教えられる使用人たちは何者なんだろう?


 誕生日のお祝いに、とちゃっかり冒険者ギルドへの登録までしてくれた。
 ほんとに、理解のある人たちで感謝だ。
 おかげさまで、顔なじみ以上の間柄となった冒険者は少なくない。
 あ、もちろん正体は伏せてだよ? バレたら大問題だ、というか両親にはいまだに内緒だからね。家に軟禁されかねないし。


 冒険者ギルドには、なるべく時間を作って通いました!
 庶民になったあとに出来るだけ早く溶け込むために。腫れ物のような扱いをされるのは嫌だからね。
 こうして顔を出していれば、コネがガッツリと出来て……そのまま仲間として受け入れてくれるはず! そう信じています! 
 「良い腕だね、お嬢さん! 良ければうちのパーティーに定住しないかい?」て声をかけたリーダーさん、信じていいんだよね? あなたの言葉を信じて、私は今から全力で婚約破棄されてきます!!


 もうひとつの嬉しい誤算は、ここで乙女ゲームのヒロインことエミリーと仲良くなれたこと!
 出稼ぎに出てきていたらしいエミリーとばったりと街で会ったときは、心臓が口から飛び出るかと思ったね! 生ヒロインだよ、生ヒロイン! 何してるの!?

 なんでも貧乏貴族に生まれたエミリーには、まとまったお金が必要だったそうで……短期間でお金を稼ぐためにはクエストが手っ取り早いよ! と言われて冒険者ギルドまで来たらしい。
 そんなことを、ほんわかとた笑みとともに言われたときには「もう少し人を疑って!?」と思いましたよ!? でも、会えたのは幸運!

 なんせ乙女ゲームのヒロインであるエミリーは、選ばれし聖女の力を持っている。
 いずれ現れる魔王を倒すための伝説の力。
 ゲームで得た知識、しっかり伝承しておかないとね!

 ――それに……その力をしっかり使いこなせるようになってもらわないと、王子を押し付けられないからね!
 あんなんでも王子は王子なのだ。
 相応の肩書がないと結婚なんて出来ないのだ。
 エミリーにはぜひとも、聖女として名を上げていただきたいところだ。





「はっ、俺に図星を言い当てられて言葉もないか!」

 一方の馬鹿王子。満足気な表情を浮かべています。
  そんなに私を言い負かせるのが嬉しいのだろうか。

 ――きっと嬉しいんだろうなぁ

 ハァとため息。
 単純すぎる王子の脳内が読めるようだ。これぞ以心伝心! 全然嬉しくない。

 話の流れすら予想通り!
 もはや、自分が恐ろしい。ここまで完璧に計画どおりとは。


 王子は、甘やかされて育ったのだろう。
 自分で思考しようともせず、耳に都合の良い言葉だけを入れる……そんなんでこの国は大丈夫か? と思ってしまうような、ダメな子だった。

 ――ただの学生からも資質を疑われるって、本当に王子なのか? 中身、実はダメな転生者だったりしない?
 ――私だって付け焼刃の令嬢だけど、今のところ王子を支えてやってくれなんて頼まれたぞ?

 あれだけコミュ障だった私が、どうにか王妃の真似事ができるようになったのだ。
 人間、やればどうにかなるもの。

 ――そういえば、王子は変わってくれる、と信じていた時もありましたね

 そう懐かしむ。

 私が、王子にしてやったことは単純だ。
 叩き込まれた"上に立つ者の心構え"なるものを、ひたすら王子に叩きつけたのだ。
 正論でぶん殴ったとも、八つ当たりとも言う。でも、たぶん間違ったことは言っていないと思う。

 ……これでも、私だって王妃教育を受けさせられたからね。そこで習ったことをリピートしただけだからね。

 これは、半ば義務的な対応だったけれど、最初は違った。
 ……この国、本当に大丈夫か?? 途中でそう思って、思わず本気で怒ってしまったこともある。
 何を言っても更生しないから最終的には諦めたけど。

 自分に意見してくるものが、身の回りに居なかったのだろう。
 次第に王子の心は私から離れていき……私もわざわざそれを修復しようとはしなかった。



「全ての罪を認めるなら、多少の減刑は考えてやらんでもないぞ?
 これでも顔馴染みだしな。庶民として追放するのは、さすがに心苦しいしな」

 圧倒的優位に立ったと思っているのだろう。
 黙っている私を尻目に、王子は尚も言葉を続ける。

 ――庶民として追放!?
 内心でガッツポーズ。
 むしろご褒美だ! そのために生きてきましたからね!
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