推しが尊過ぎてっ!

はるの美羽都

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推し様、大胆

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    今のは空耳そらみみですかね?「一緒に寝ます?」って、聞こえたんですけど……
気のせいかな。
 「では、深山さんはお布団で…」
 「一緒に寝ないんですか……?」
 「ぶっ!や、なんで!?つ、付き合ってもないのに!?」
 「じゃあ、付き合ったらいいんですか?」
 「そういう意味じゃない!」
あれ?推し様って、実は純粋&天然王子なの?
しかも今日、出会ったばかりの私に一緒に寝ようって……
ハッ、もしや……
 「私のこと、子ども扱いしてる……?」
 「えっ……!?」
ビンゴ。いくら私が童顔に見えるからって、子ども扱いなんて……酷いっ!
 「私は深山さんより、3つも年上なんですけど」
 「なんだ、3つしか変わらないじゃないですか」
 「み、みっつも変わるよ!?」
 「俺の中では変わらないですよ。それに年の差、気にするなんてダサいですよ」
 「ダッ、ダサい……!?」
 「もー、一緒に寝ますよ!美華さんには、抱き枕になってもらいます」
 「ふえ!?」
     ギュ───
 「うーん、よく眠れそうです……♪」
 「こっちは、眠れないですよ!」
 「ドキドキするから、ですか……?」
キャーーッ!推し様が、私の耳元で囁いてるわぁあああああ!
もう、ヤバい。昇天しますわ、これは。
とりこになる人、続出ですね。
気付けば、推し様は深い眠りについていた。
寝るの、早っ!
でも居候初日で仕事やら、なんやらで疲れたよね。
 「おやすみなさい、推し様……」
推し様が、すやすや眠っているのを良いことに私は、まじまじと見つめながら挨拶をして幸せを噛み締めながら、眠りについた。

   翌日───
 「大変、申し訳ありませんでした……」
 「えっ?」
 「いや、あのぅ……」
起きた瞬間、推し様が神妙な面持ちで居たから何かあったのか気になっていると、いきなり土下座謝罪。どした。
 「実は、昨日……声優仲間で仕事終わりに呑みに行ってたんです」
 「えっと……それで?」
 「あの時の俺、かなり酔ってたみたいで……その……」
 「あっ、確かに仕事に行く時には甘い香りしなかったのに、帰ってきた時は果物の甘い香りがしたような……」
 「俺、ビールとか酒が苦手で……カクテルとかチューハイ、果実酒が好きなんです。女性みたいでしょ」
 「私は、そんなの気にしないタイプだし、お酒って好きなものを、好きな呑み方で呑む方が楽しいじゃない!」
 「うっ……」
 「えっ……!?」
推し様が泣きそうな顔!?私、何か余計なこと言ったかしら……
 「優しいんですね、美華さんは」
 「えっ?」
 「他の人からは「男なんだから、そんなもん呑んでんじゃねーよ」って言われるので……」
 「そうなんですか。でも、無理やり呑まされる酒ほど、美味しくないものはないですよ!」
 「そうなんですよね。でも、昨日は先輩方から呑みに行こうって……断われなくて」
 「そういう“付き合いだから”っていうの、本当にしんどいし、疲れるよね~!私も会社で、そういう飲み会あるとちょっと憂鬱だよ……」
  「そう、なんですね……」
  「うん。もっと呑め、呑め~!って上司が言ってくるから、大変なんだよね。でも、そんな上司から守ってくれる人も居るから、とりあえずは大丈夫かな」
  「俺も、止めてくれる人が居たら安心して行ってますけど、その人が居ないと憂鬱になりますね」
 「そうそう!……あ、でも」
 「はい?何ですか」
 「酔ってて覚えてないのは、仕方ないにしても私のこと、子ども扱いしてる?って聞いたら図星って、顔してたけど……」
 「あー……可愛いって意味だったんですよ、それ。子どもみたいな、可愛い顔してるなーって思って。酔うと、人が可愛く思えて抱き枕みたいに抱き締めて、一緒に寝たくなっちゃうんですよ……」
 「何という癖!」
 「そうなんですよ……なかなか直らなくて。前なんて、俺に想いを寄せていたらしい相手に、それをしちゃったもんだから気があるとか、好きなんだ!って誤解されて。誤解を解くのに時間めちゃくちゃ、かかりましたよ……」
 「OH……それは、大変だったね」
 「はい……でも誤解が解けて、こっちは良かったんですけど相手は、すごく落ち込んでました」
 「まぁ……でも、分からなくはないなぁ。だって好きな人だもん」
 「そうですよね。普通は誤解されてもおかしくないし、想いを寄せてくれていたのは嬉しかったんですけど……」
 「タイプじゃなかったの?」
 「うーん、はっきり言ったらそうですね。その方は、あんまり自分の意見を言わない人で……誰かの意見にのっかるって感じで、あまり好きなタイプじゃなかったので」
 「なるほどね……でも、誤解が解けて本当に良かったね!」
 「は……い」
 「ん?私の顔に、何かついてる!?」
 「あ、いえ……相変わらず、可愛いです」
 「えっ、いや……皮脂すごいから、顔洗ってくる!」

    気付けば私、推し様と普通に会話出来てるよね?しかも私、何気にタメ口だし!
慣れって恐ろしい……(推し様に慣れるなよ)
私が可愛いなんて有り得ない!こんな、朝起きても皮脂ついている、顔の私に可愛いなんて……
でもお世辞だったとしても、推し様に褒めてもらえて、涙が出るほど嬉しいです。
今日も仕事が頑張れそうです。


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