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4.行政大学校イベント編
18.元に戻るかどうかは被害を確認してから考えることのススメ
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シスプチン王国の工作員ハム男へ、続けていくつか質問をし、エクスに思考を読み取ることを繰り返してもらった。
もう十分だろうと思い、俺は、全身鎧男に電撃魔法を放つ。ハム男は、一瞬のうちに黒焦げの炭なってしまった。
『用済み(炭:すみ)という訳じゃな』
全然うまくないからな。
幼女声の癖に親父ギャクを挟んでくる意気込みは買うけど、父上レベルにおもしろくない。
それはそうと、第三王女は、全身の力が抜けてしまったようで結界内で座り込んでいた。
俺は、吹き飛ばされたトビアスに近づき、回復魔法をかけ、意識を戻させる。
トビアス程度のケガならば、直接の魔素干渉をしなくとも回復魔法で十分だ。
「主様。おかげで助かりました」
トビアスが、俺が黒ローブの仮面変装していることを気遣い小声で礼をいってくる。
「トビアス。無事で何より。それに王女の護衛の任、ご苦労だった。疲れただろうから、このままパルスキーへ転移させる。ゆっくり休んでくれ。今度酒の差し入れをもっていく」
俺は、トビアスを労い、そのままパルスキーへトビアスを転移させる。
その後、座り込んでいる王女を立たせて、転移魔法でシルフェさんのところへ移動する。
王女に転移魔法を見せちゃったけど、今は変装中だし、何かあればエクス口調のノーフェースの一員ということでごまかすことにする。
意識のないシルフェさんをいつまでも一人で放置できないからな。一応シルフェさんの周囲に結界を張ってあったとしても、だ。
うん。転移魔法で移動して正解だと思うことにする。
シルフェさんは、まだ意識は回復していないけど結果内で無事に横たわっていた。でも、骨折した腕は痛々しくまだはれ上がっていて、右足は変な角度で曲がっている。
「シルフェ!シルフェ!しっかりしなさい。目を覚まして!!」
王女は泣きながら、シルフェさんへ近づき、膝をつき、彼女に手をかざし、回復魔法を発動する。王女の魔法の技量から考えると、全快まではいかなくとも、骨折はある程度回復するだろう、と予想した。
その間に、俺は、周囲に救援要請とわかるよう空に向かい火系統魔法「ファイヤボール」を何発か放つ。
しばらくすると、後方にいた、師団長の備隊か第二王女の備隊から救援にかけつけてくれるだろう。俺の張った結界内に第三王女とシルフェさんがいるので、もう安心だろう。
俺は、騒がれる前に姿を消すことに決めた。
辞去する前に、味方がくるまで結界から出ないよう第三王女に注意を与える。
「王女殿よ。味方がくるまでその結界から出るでないぞ。少し疲れたので、我はこれでお暇させてもらうことにするぞ」
「ゴーレム殿。助けてくれたこと心から感謝します。お礼と感謝の気持ちをお示ししたいと思います。どうか王宮までこのままお越しいただけないでしょうか?」
第三王女は、先ほどまでの涙を拭き、感謝の気持ちと褒美を渡したいから、このまま王宮に来るよう促してくる。きっとこのまま俺が去ると不安な気持ちもあるのだろう。
「安心するがよいぞ。王女殿よ。その結界はなかなかに頑丈なつくりじゃ。それに我は面倒なことが嫌いじゃ。下界の事にかかわることも本来禁止されている。今回は、その部下の娘っ子の命に代えて主人を護ろうとする健気さに気まぐれを起こしただけじゃ。もう会うことはあるまいが達者でな。忠臣を大切にせよ。さらばじゃ」
と、エクス口調のそれっぽい役作りで、今回の設定を説明した後、転移魔法で王女の前から消した。俺は、一旦、先ほど戦闘を行った場所へ移動した。そして、シスプチン王国の特殊部隊の5名の死体と装備品をエクスの亞空間へ回収してから、王都の寮の自分の部屋へ戻ってきた。
はぁ。これで、一安心だ。
シルフェさんの骨折が治れば、元通りだな、と一人安心する。
『主殿よ。甘味9か月分。毎日提供するという約束をしっかり果たすよう要求するぞ』
相棒よ。俺はお前との約束を悪意を持って破ったことはないから安心するよいぞ。
『主殿は、忘れっぽいからな。悪意はなくともうっかり忘れるでな。しっかりと我が言い続けないとならんのが面倒じゃが、甘味のためじゃから致し方ない』
うーん。悔しいが、事実だからエクスに言い返せない。
今回の「魔獣狩り」は、上級悪魔アモンの被害で多大な犠牲者を出して幕を下ろした。
お祭り騒ぎだったのが、被害状況が王都の国民に伝わり、重苦しい雰囲気に変わった。
そして、俺の周りも「元通り」とはならなかった。
シルフェさんが投獄され、第三王女が幽閉されているという噂を耳にしたのは、魔獣狩りが終わってから二週間後だった。
もう十分だろうと思い、俺は、全身鎧男に電撃魔法を放つ。ハム男は、一瞬のうちに黒焦げの炭なってしまった。
『用済み(炭:すみ)という訳じゃな』
全然うまくないからな。
幼女声の癖に親父ギャクを挟んでくる意気込みは買うけど、父上レベルにおもしろくない。
それはそうと、第三王女は、全身の力が抜けてしまったようで結界内で座り込んでいた。
俺は、吹き飛ばされたトビアスに近づき、回復魔法をかけ、意識を戻させる。
トビアス程度のケガならば、直接の魔素干渉をしなくとも回復魔法で十分だ。
「主様。おかげで助かりました」
トビアスが、俺が黒ローブの仮面変装していることを気遣い小声で礼をいってくる。
「トビアス。無事で何より。それに王女の護衛の任、ご苦労だった。疲れただろうから、このままパルスキーへ転移させる。ゆっくり休んでくれ。今度酒の差し入れをもっていく」
俺は、トビアスを労い、そのままパルスキーへトビアスを転移させる。
その後、座り込んでいる王女を立たせて、転移魔法でシルフェさんのところへ移動する。
王女に転移魔法を見せちゃったけど、今は変装中だし、何かあればエクス口調のノーフェースの一員ということでごまかすことにする。
意識のないシルフェさんをいつまでも一人で放置できないからな。一応シルフェさんの周囲に結界を張ってあったとしても、だ。
うん。転移魔法で移動して正解だと思うことにする。
シルフェさんは、まだ意識は回復していないけど結果内で無事に横たわっていた。でも、骨折した腕は痛々しくまだはれ上がっていて、右足は変な角度で曲がっている。
「シルフェ!シルフェ!しっかりしなさい。目を覚まして!!」
王女は泣きながら、シルフェさんへ近づき、膝をつき、彼女に手をかざし、回復魔法を発動する。王女の魔法の技量から考えると、全快まではいかなくとも、骨折はある程度回復するだろう、と予想した。
その間に、俺は、周囲に救援要請とわかるよう空に向かい火系統魔法「ファイヤボール」を何発か放つ。
しばらくすると、後方にいた、師団長の備隊か第二王女の備隊から救援にかけつけてくれるだろう。俺の張った結界内に第三王女とシルフェさんがいるので、もう安心だろう。
俺は、騒がれる前に姿を消すことに決めた。
辞去する前に、味方がくるまで結界から出ないよう第三王女に注意を与える。
「王女殿よ。味方がくるまでその結界から出るでないぞ。少し疲れたので、我はこれでお暇させてもらうことにするぞ」
「ゴーレム殿。助けてくれたこと心から感謝します。お礼と感謝の気持ちをお示ししたいと思います。どうか王宮までこのままお越しいただけないでしょうか?」
第三王女は、先ほどまでの涙を拭き、感謝の気持ちと褒美を渡したいから、このまま王宮に来るよう促してくる。きっとこのまま俺が去ると不安な気持ちもあるのだろう。
「安心するがよいぞ。王女殿よ。その結界はなかなかに頑丈なつくりじゃ。それに我は面倒なことが嫌いじゃ。下界の事にかかわることも本来禁止されている。今回は、その部下の娘っ子の命に代えて主人を護ろうとする健気さに気まぐれを起こしただけじゃ。もう会うことはあるまいが達者でな。忠臣を大切にせよ。さらばじゃ」
と、エクス口調のそれっぽい役作りで、今回の設定を説明した後、転移魔法で王女の前から消した。俺は、一旦、先ほど戦闘を行った場所へ移動した。そして、シスプチン王国の特殊部隊の5名の死体と装備品をエクスの亞空間へ回収してから、王都の寮の自分の部屋へ戻ってきた。
はぁ。これで、一安心だ。
シルフェさんの骨折が治れば、元通りだな、と一人安心する。
『主殿よ。甘味9か月分。毎日提供するという約束をしっかり果たすよう要求するぞ』
相棒よ。俺はお前との約束を悪意を持って破ったことはないから安心するよいぞ。
『主殿は、忘れっぽいからな。悪意はなくともうっかり忘れるでな。しっかりと我が言い続けないとならんのが面倒じゃが、甘味のためじゃから致し方ない』
うーん。悔しいが、事実だからエクスに言い返せない。
今回の「魔獣狩り」は、上級悪魔アモンの被害で多大な犠牲者を出して幕を下ろした。
お祭り騒ぎだったのが、被害状況が王都の国民に伝わり、重苦しい雰囲気に変わった。
そして、俺の周りも「元通り」とはならなかった。
シルフェさんが投獄され、第三王女が幽閉されているという噂を耳にしたのは、魔獣狩りが終わってから二週間後だった。
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