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三人の精霊と光の精霊の書
猫舌再び
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三人の精霊とアーサーは店の入り口付近に全神経を集中させた。
「よおミーナ今日も美人だね。いつものランチ頼むよ」
「俺も同じのちょうだい」
この近所で復興作業中の作業員の人達がランチを食べに来たところだった。
アーサーも彼女たちもふーっと一息ついた時だったーー。
「こんにちは。また会ったわね」
「ーーーー!!」
「何よ、人を化け物でも見るような顔して」
ルナの突然の登場に誰も言葉が出なかった。
「にゃにゃにゃ、また会いましたにゃん」
甘ったるい愛嬌のある語尾のメルルも一緒に現れた。メルルは前と同じ店の入り口近くのカウンターに座る。
ん? なんと大発見だ!
メルルの服装は、胸に大きなリボンを付け尻尾にもリボンがついている。
更に、決定的だったのはスカートだ。
間違いなくメルルは女子だ!
ずっと分からなかった答えがようやく解けた。胸に仕えていたモノがすっと取れたような気分だった。
そう思うとやはりメルルは、全体的にみてキュンキュンする可愛いさだ。何よりも猫耳と尻尾のアクセントが堪らない。
しばらくその愛くるしい顔に見惚れてきた時だった。
ーーーーーー!!!
ギュッ ぎゅーっっ
「ーーーーうっ」
誰かに首を絞められている感覚がある・・・
息が・・・ く・・・苦しい・・・。
アーサーが苦しんでいるが誰も気付かない。
「ん? アーサー様顔色が良くないよお」
リサがアーサーの様子がおかしいことに気付いた。
リサと目が合った瞬間、首から手が離れたような感覚があり、元に戻った。
「ハア、はあ、はあ・・・」
「アーサー様??」
リサがアーサーに近寄り心配そうに様子を見る。
エルザとシルフィーも何かアーサーに異変があったのかと思い駆け寄る。
「どうなさいましたアーサー様」
「なの?」
「一瞬、首を絞められる感覚が・・・」
( 待てよ・・・まさか契約の? )
「アーサー様?? 首が痛いのですか」
「アーサーさま?」
( まぢか、かわいいなとか、ちょっと良いなこの子とか思うのだけでもペナルティーなのか)
「顔色が良くありませんですわ。大丈夫ですか」
「・・・ああ、問題ない大丈夫だ」
(文字通り、コイツら以外は恋愛感情は御法度な訳だな)
改めて契約の恐ろしさを目の当たりにした瞬間だった。
「何かあったの」
ルナが騒ついてるのが気になり様子を見に来た。
「何でない。騒々しくてごめんなさいね」
視線を合わさずリサが素っ気なく返事を返した。
「あら、そう」
ふんっと太々しい態度をとり去っていった。
奥のカウンター席でコーヒーが冷めるのを今か今かと待ち望んでいるメルルが何事だ?といった顔でこちらの方を向いていた。
「アーサーさま、だいじょうぶなの」
「ああ、悪いな心配かけて」
★ ★ ★
「いつまでこの国にいるのです? もう時間もないのですよ」
「んん。いつまでと言われてもまだ全然冷めないのにゃん、このグラタンは」
ルナの質問の答えになってない返事をしながらお昼ご飯の注文をしたグラタンの冷めるのを待っているメルル、既にスプーンを手に持ち食べたい衝動を抑えている。
「もう! この国には当ては無いのです。帰って対策を考えるか、他の国などに頼みましょうよ」
ルナは何やら必死に熱弁を振るっている。
「熱いのはグラタンだけにしてにゃん。 今は冷静になる時にゃん。そしてグラタンも冷める時にゃん」
そう言うとスプーンでひと匙掬うと口に運んだ。しかしーー 顔を歪めて全身の毛を逆立て舌を出した。
「熱いにゃん」
「・・・・・」
ルナは軽蔑するかのような冷ややかに目を細くして見つめた。
そして、溜め息を吐きながら何気無く背後を振り返ってみた。
リサ、エルザ、シルフィー達も食事を取りながら楽しそうに話をしているのが見えた。
ミリアが居なくなってからずっと一人だった。同じ精霊の友達は誰もいなかった。
寂しいと思う時もあったが目的があるから我慢してこれた。
ただ、彼女たちのあんな笑顔を見たのは初めてだった・・・
そんな彼女たちの笑顔を見ていると胸が痛む・・・
忘れていた感情・・・これって・・・
ーー さみしい・・・ ーー
「よおミーナ今日も美人だね。いつものランチ頼むよ」
「俺も同じのちょうだい」
この近所で復興作業中の作業員の人達がランチを食べに来たところだった。
アーサーも彼女たちもふーっと一息ついた時だったーー。
「こんにちは。また会ったわね」
「ーーーー!!」
「何よ、人を化け物でも見るような顔して」
ルナの突然の登場に誰も言葉が出なかった。
「にゃにゃにゃ、また会いましたにゃん」
甘ったるい愛嬌のある語尾のメルルも一緒に現れた。メルルは前と同じ店の入り口近くのカウンターに座る。
ん? なんと大発見だ!
メルルの服装は、胸に大きなリボンを付け尻尾にもリボンがついている。
更に、決定的だったのはスカートだ。
間違いなくメルルは女子だ!
ずっと分からなかった答えがようやく解けた。胸に仕えていたモノがすっと取れたような気分だった。
そう思うとやはりメルルは、全体的にみてキュンキュンする可愛いさだ。何よりも猫耳と尻尾のアクセントが堪らない。
しばらくその愛くるしい顔に見惚れてきた時だった。
ーーーーーー!!!
ギュッ ぎゅーっっ
「ーーーーうっ」
誰かに首を絞められている感覚がある・・・
息が・・・ く・・・苦しい・・・。
アーサーが苦しんでいるが誰も気付かない。
「ん? アーサー様顔色が良くないよお」
リサがアーサーの様子がおかしいことに気付いた。
リサと目が合った瞬間、首から手が離れたような感覚があり、元に戻った。
「ハア、はあ、はあ・・・」
「アーサー様??」
リサがアーサーに近寄り心配そうに様子を見る。
エルザとシルフィーも何かアーサーに異変があったのかと思い駆け寄る。
「どうなさいましたアーサー様」
「なの?」
「一瞬、首を絞められる感覚が・・・」
( 待てよ・・・まさか契約の? )
「アーサー様?? 首が痛いのですか」
「アーサーさま?」
( まぢか、かわいいなとか、ちょっと良いなこの子とか思うのだけでもペナルティーなのか)
「顔色が良くありませんですわ。大丈夫ですか」
「・・・ああ、問題ない大丈夫だ」
(文字通り、コイツら以外は恋愛感情は御法度な訳だな)
改めて契約の恐ろしさを目の当たりにした瞬間だった。
「何かあったの」
ルナが騒ついてるのが気になり様子を見に来た。
「何でない。騒々しくてごめんなさいね」
視線を合わさずリサが素っ気なく返事を返した。
「あら、そう」
ふんっと太々しい態度をとり去っていった。
奥のカウンター席でコーヒーが冷めるのを今か今かと待ち望んでいるメルルが何事だ?といった顔でこちらの方を向いていた。
「アーサーさま、だいじょうぶなの」
「ああ、悪いな心配かけて」
★ ★ ★
「いつまでこの国にいるのです? もう時間もないのですよ」
「んん。いつまでと言われてもまだ全然冷めないのにゃん、このグラタンは」
ルナの質問の答えになってない返事をしながらお昼ご飯の注文をしたグラタンの冷めるのを待っているメルル、既にスプーンを手に持ち食べたい衝動を抑えている。
「もう! この国には当ては無いのです。帰って対策を考えるか、他の国などに頼みましょうよ」
ルナは何やら必死に熱弁を振るっている。
「熱いのはグラタンだけにしてにゃん。 今は冷静になる時にゃん。そしてグラタンも冷める時にゃん」
そう言うとスプーンでひと匙掬うと口に運んだ。しかしーー 顔を歪めて全身の毛を逆立て舌を出した。
「熱いにゃん」
「・・・・・」
ルナは軽蔑するかのような冷ややかに目を細くして見つめた。
そして、溜め息を吐きながら何気無く背後を振り返ってみた。
リサ、エルザ、シルフィー達も食事を取りながら楽しそうに話をしているのが見えた。
ミリアが居なくなってからずっと一人だった。同じ精霊の友達は誰もいなかった。
寂しいと思う時もあったが目的があるから我慢してこれた。
ただ、彼女たちのあんな笑顔を見たのは初めてだった・・・
そんな彼女たちの笑顔を見ていると胸が痛む・・・
忘れていた感情・・・これって・・・
ーー さみしい・・・ ーー
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