127 / 216
三人の精霊とクリスタルパレスの魔女の書
隠した過去
しおりを挟む「僕のこと必要ないんじゃなかったの?」
アーサーの目の前に同じ顔、同じ形の人物が立っていた。
「パンドラ・・・」
「僕のこと不要って言ってたじゃないか。なぜまた僕を探すの?君は一人でもやれるって言ってたじゃないか」
「ーー違うんだ、俺には力がなかった。勘違いしてたんだ。全て君のおかげだったのに」
「僕のおかげ?」
「そうだよ。金色の瞳のおかげだったんだ。それを俺自身の力と勘違いしてた。俺には君の力が必要なんだ。頼む俺に力を貸してくれ!」
パンドラは大きくため息を吐いた。
「君は僕、僕は君。なら分かるはずだろ、本当は分かってるんだろ?なぜ、魔力に蓋をされたか?シーサーが魔力を奪った理由を」
「ーーーー」
「なぜ街の人が差別したのか?」
『バケモノ・バケモノ・バケモノ・バケモノ
化け物・化け物・化け物・化け物・化け物』
脳裏に街の人々の顔が映し出され冷ややかな目つきでアーサーを見つめている。
「違う、違う、違う、俺じゃない、俺じゃないんだ」
「君だよ。君は僕だよ。だから分かるーー魔力の暴走」
「違う」
「街を破壊し、暴れまわる君を止める為にマーリンを呼んで封印したんだ」
「違う」
「これで街の人の反応の意味がわかるだろ?」
「ちがう」
「普通に考えて魔力が無いだけで無視されたりする訳がないだろ?君は有り余る魔力をコントロール出来ず度々、街で暴れていたんだよ」
「ぢがゔ」
「残念ながらこれが真実だよ。これが君の過去。僕を作り上げて真実から目を背けたんだ。そして自分を被害者にしたてあげ引きこもった」
「違うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
アーサーは膝を地面に着き両手で顔を覆った。
「アーサー、もう思い出してるんだろ?分かってるんだろ?」
「俺は、俺は・・・」
「今なら分かるはずだ。もう君にはーー」
ボクは、必要ないだろ?
パンドラ君は俺にとっての・・・
☆ ☆ ☆
少年は自分の力を抑えきれず無差別に暴れまわる。感情が高ぶる度に魔力は暴走するーー。
「ゔわあああああァァァァァァ」
「やめるんだアーサー!!」
シーサーがアーサーの目の前に立ち、行く手を塞ぐ。
「ゔわあああああ!!」
凄まじい魔力のオーラに包まれたアーサーはシーサーに向けて魔法を放つ。
「くっ、魔法障壁」
障壁を貼り防ごうとするがアーサーの放つ魔法で粉々に砕け散った。
「何て、魔力量なんだ」
「グワアァァァァァァァァ」
アーサーは、見境なく魔法を放つ。
「やめろ! アーサー」
シーサーは、アーサーにしがみ付く。
「ぐわぁぁぁぁ」
アーサーはシーサーを振り払い、シーサーに至近距離から魔法を放つ。
「ーーーー!!」
「間一髪セーフね」
シーサーの目の前に透明な壁が現れアーサーの魔法を回避していた。
「マーリン、助かったよ」
シーサーはホッと胸を撫で下ろした。
「それにしてもこの子の魔力量は半端ないわね。羨ましいわ」
「ーーそれより方法は何かあるのか?」
「魔力回路に蓋をするしかないわね」
「やはりそうか・・・」
「こんな暴走が毎回と考えるならこの子には可哀想だけど魔力は諦めてもらうしかないわね」
「ーーああ、やってくれ」
「本当にいいのね?」
「俺も暴走の度にアヴァロンを離れる訳には行かないからな。マーリン、頼むやってくれ」
「分かったわ。やったらもう後には戻らないからね」
「ああ、きっといつかアーサー自身がこの問題に気付き解決するはずだ」
「ーーどうかしらね?」
☆ ☆ ☆
「「「アーサー様!!!」」」
どこから音も無く声が聞こえた。
「君を呼ぶ声だ。僕が居なくても君には君を待っている人がいる」
「パンドラ・・・」
「行きたまえ、君を待つ人のところへ。もう暴走などしないはずだ。もし感情が乱れたり心が傷んだ時はまわりを見てごらん」
「まわりを・・・」
いつだって君のまわりには君を支えてくれ人がいる。君は、一人じゃない。
パンドラありがとう。
君は僕にとって正しく『希望』だったよ。
アーサーはゆっくりと目を開けた。
その瞳を金色に染めてーー。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる