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ピアノ奇談
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「なぁ、知ってるか?」
「お、何だい?」
「ある屋敷に女の子が住んでいて、ピアノを弾きたくて、両親に買って貰ったそうなんだけど、楽器屋から家に届く前に、女の子と両親は押し入られた変質者に殺されちまったらしいんだ……そりゃあ、むごかったらしいぞ。首はちょん切られるは、内臓は飛び出すは、女の子は目をえぐられたって……それでさ、夜な夜な、女の子はピアノを求めてさまよっているんだとよ」
「おいおい、どうせまた作り話だろ?」
「いやいや、ピアノと女の子の話はあくまでも噂だが、事件は本当にあったらしい……女の子は目玉を取られちまったから、ピアノがどこにあるか、なかなか分からないらしく、色んな所に出没してるそうだ……」
「じゃあ、俺らの高校にも来るかな?」
「来るかもな……何せ俺らの学校にあるピアノは、何千万円もしたって話だからな……しかもさ、外国製でなかなか手に入らないところを、金に物を言わせて、理事長が買ったらしいからな……だけど、あのピアノがまたいわくつきらしくてさ」
「えっ、そうなのか?」
「ああ、何でも外国の有名な貴族が所有していたらしいんだけど、強盗に殺されて、奪われたそうなんだ。で、そのピアノを売り飛ばした強盗と購入した金持ちは何者かに惨殺され、さらに流れ流れて、ピアノを所有した者は皆、変死を遂げているらしくてさ……ほら、俺たちの学校にピアノが来て間もなく、理事長が病気で倒れたじゃないか。まだ入院してるらしいけど、植物人間になったって噂だぞ」
「それは聞いたことがある……だけど、ピアノのせいなのか?」
「それが分かれば苦労しないよ。それでさ、思ったんだけど、俺は生徒会長になり、お前は吹奏楽部の部長に就いただろ……立場的にも、そんないわくつきのピアノは壊しちまったほうが良くないかと思ったんだよ」
「お、おい、正気か?何でわざわざ壊す必要があるんだよ?それこそ、まずくないか?」
「俺もそう思ったんだけどさ、理事長の娘は、ほら、例の美人のあいつじゃん。俺もお前も告って、撃沈した……」
「ああ、そうだったな……あれ、そういえばあいつ、理事長が入院してから、元気ないよなぁ……父親がたいへんなことになったから当たり前だけど、俺たちを振った罰だな。いい気味だよ」
「ま、それは置いといてだな、聞いたところによると、あいつ、父親を酷い目に遭わせたのは、あのピアノだと信じ切ってるらしくてさ、ピアノに相当恨みを持ってるようなんだ。それでさ、俺らがピアノを滅茶苦茶にしちゃえば、あいつ、喜ぶと思ってさ」
「ハハハ、そんなことしたって、俺たちにメリットは無いだろ……第一、ピアノを壊したことが校長にバレたら、警察に捕まるだけだぞ」
「そんなこと分かってるよ。だからさ、ピアノをぶっ壊すところをスマホで撮って、それをあいつにだけ見せれば、父親の仇を取ってくれたって、絶対喜ぶし、付き合ってくれるかも知れないぜ……しばらく付き合ってた彼氏とも少し前に別れたらしいしさ」
「お前、そんなこと、考えてたのか。まぁ、そりゃあ、付き合いたいけどさ。でも、お前と俺、どっちと付き合うことになるんだ?わざわざピアノを壊しておいて、むざむざお前に渡したくないしな」
「分かってるよ、そんなこと。でもさ、よく考えてみろよ。あいつの友だちには美人がワンサカいるんだぞ。あいつに恩を売れば、よりどりみどりじゃんか」
「はぁー、あさましいね。なるほどな……まぁ、いいや。で、いつ決行する?」
「今夜だよ、今夜」
「おい、随分早いな」
「善は急げって言うだろ……早い方がいいんだよ」
「何が善だよ……悪は急げだろ」
「まぁ、何でもいいから、やっちまおうぜ」
「よし!決まりだな」
「おい、さすがに夜は気味悪いな……忍び込んだはいいけど、見つからないだろうな?」
「だから、早くやっつけちまおうって言うんだよ……お、音楽室に着いたぞ。いいか、俺が壊すから、お前、懐中電灯照らして、見張りながら、スマホで撮れよな」
「音が立たないか?」
「そこはうまくやるから、大丈夫だよ」
「……気を付けろよ」
「……おい、ほら、音、出なくなったろ」
「……本当だ!じゃあ、やるか……ん?あれ?何か今、聞こえなかったか?」
「……確かに、聞こえたな……あ、お、おい、扉が開いたぞ……うわっ、あ、あれ……」
「……子、子供じゃないか?……女の子じゃないか?うわっ、こっちを見てるぞ」
「……わ、分かった、例のピアノ少女だよ!に、逃げよう!」
「……お、おう、ん?足が動かないぞ!」
「……動かねぇ、畜生!あ、あの子、ピアノに近付いて来た……鍵盤いじってるけど、音、出ないようにしちまったからな」
「……うわっ、またこっち見てる!睨んでるぞ!」
「……ど、どうしたらいいんだ!」
「……音、鳴らない。音、鳴らない。音、鳴らない……目、頂戴……」
「……音、鳴らない。音、鳴らない。音、鳴らない……指8本、頂戴……」
明くる日、ある高校の音楽室で、男子生徒が2人、見るも無惨な姿で発見された。
1人は右指全てと左指3本をへし折られ、もう1人は左右両方の目玉を見事にえぐられていた。
目玉を取られた生徒は死んでいたが、指がたいへんなことになった生徒は何とか証言出来た……証言後、発狂して、死んでしまったが……。
女の子に関してのみ記述すると、その子はピアノの鍵盤を押しても音が出ないので、よく確かめようとして、身動き出来なかった生徒の目に指を突っ込み、目玉をつかみ取ると、自分の目にはめたそうだ。
そして、目が輝き、鍵盤をじっと見つめ、ゆっくりと押したが、やはり音は聴こえなかったので、もう1人の生徒の指をつかみ、1本ずつ、音を立てて、へし折っていったらしい……次のように、言葉を出しながら。
「……ド、(ボキッ)……鳴った……レ、(ボキッ)……鳴った……~シ、(ボキッ)……鳴った……ド、(ボキッ)……鳴った……」
ドレミファソラシド……合わせると8つの音符になる。
一家惨殺事件の捜査資料によると、どうやら女の子はまだピアノを弾いたことが無かったらしいが、ドレミファソラシドは知っていたので、8つ鍵盤が必要だった訳だ。
つまり、指1本1本が鍵盤代わりになることを思い付き、折るごとに鳴る音をピアノの音に見立てたのだ。
そして、女の子は8本の指をへし折った後、満足そうに去っていったという。
以上のことから分かるように、やはりピアノが呪われていることは間違いなさそうなので、お祓いをしたものの、貰い手は付かず、だからと言って、捨てるのはいかがなものかということで、まだ学校に置いてあるそうだが、もしかするとその学校は、あなたの街にある、あの学校ではないだろうか……。
「お、何だい?」
「ある屋敷に女の子が住んでいて、ピアノを弾きたくて、両親に買って貰ったそうなんだけど、楽器屋から家に届く前に、女の子と両親は押し入られた変質者に殺されちまったらしいんだ……そりゃあ、むごかったらしいぞ。首はちょん切られるは、内臓は飛び出すは、女の子は目をえぐられたって……それでさ、夜な夜な、女の子はピアノを求めてさまよっているんだとよ」
「おいおい、どうせまた作り話だろ?」
「いやいや、ピアノと女の子の話はあくまでも噂だが、事件は本当にあったらしい……女の子は目玉を取られちまったから、ピアノがどこにあるか、なかなか分からないらしく、色んな所に出没してるそうだ……」
「じゃあ、俺らの高校にも来るかな?」
「来るかもな……何せ俺らの学校にあるピアノは、何千万円もしたって話だからな……しかもさ、外国製でなかなか手に入らないところを、金に物を言わせて、理事長が買ったらしいからな……だけど、あのピアノがまたいわくつきらしくてさ」
「えっ、そうなのか?」
「ああ、何でも外国の有名な貴族が所有していたらしいんだけど、強盗に殺されて、奪われたそうなんだ。で、そのピアノを売り飛ばした強盗と購入した金持ちは何者かに惨殺され、さらに流れ流れて、ピアノを所有した者は皆、変死を遂げているらしくてさ……ほら、俺たちの学校にピアノが来て間もなく、理事長が病気で倒れたじゃないか。まだ入院してるらしいけど、植物人間になったって噂だぞ」
「それは聞いたことがある……だけど、ピアノのせいなのか?」
「それが分かれば苦労しないよ。それでさ、思ったんだけど、俺は生徒会長になり、お前は吹奏楽部の部長に就いただろ……立場的にも、そんないわくつきのピアノは壊しちまったほうが良くないかと思ったんだよ」
「お、おい、正気か?何でわざわざ壊す必要があるんだよ?それこそ、まずくないか?」
「俺もそう思ったんだけどさ、理事長の娘は、ほら、例の美人のあいつじゃん。俺もお前も告って、撃沈した……」
「ああ、そうだったな……あれ、そういえばあいつ、理事長が入院してから、元気ないよなぁ……父親がたいへんなことになったから当たり前だけど、俺たちを振った罰だな。いい気味だよ」
「ま、それは置いといてだな、聞いたところによると、あいつ、父親を酷い目に遭わせたのは、あのピアノだと信じ切ってるらしくてさ、ピアノに相当恨みを持ってるようなんだ。それでさ、俺らがピアノを滅茶苦茶にしちゃえば、あいつ、喜ぶと思ってさ」
「ハハハ、そんなことしたって、俺たちにメリットは無いだろ……第一、ピアノを壊したことが校長にバレたら、警察に捕まるだけだぞ」
「そんなこと分かってるよ。だからさ、ピアノをぶっ壊すところをスマホで撮って、それをあいつにだけ見せれば、父親の仇を取ってくれたって、絶対喜ぶし、付き合ってくれるかも知れないぜ……しばらく付き合ってた彼氏とも少し前に別れたらしいしさ」
「お前、そんなこと、考えてたのか。まぁ、そりゃあ、付き合いたいけどさ。でも、お前と俺、どっちと付き合うことになるんだ?わざわざピアノを壊しておいて、むざむざお前に渡したくないしな」
「分かってるよ、そんなこと。でもさ、よく考えてみろよ。あいつの友だちには美人がワンサカいるんだぞ。あいつに恩を売れば、よりどりみどりじゃんか」
「はぁー、あさましいね。なるほどな……まぁ、いいや。で、いつ決行する?」
「今夜だよ、今夜」
「おい、随分早いな」
「善は急げって言うだろ……早い方がいいんだよ」
「何が善だよ……悪は急げだろ」
「まぁ、何でもいいから、やっちまおうぜ」
「よし!決まりだな」
「おい、さすがに夜は気味悪いな……忍び込んだはいいけど、見つからないだろうな?」
「だから、早くやっつけちまおうって言うんだよ……お、音楽室に着いたぞ。いいか、俺が壊すから、お前、懐中電灯照らして、見張りながら、スマホで撮れよな」
「音が立たないか?」
「そこはうまくやるから、大丈夫だよ」
「……気を付けろよ」
「……おい、ほら、音、出なくなったろ」
「……本当だ!じゃあ、やるか……ん?あれ?何か今、聞こえなかったか?」
「……確かに、聞こえたな……あ、お、おい、扉が開いたぞ……うわっ、あ、あれ……」
「……子、子供じゃないか?……女の子じゃないか?うわっ、こっちを見てるぞ」
「……わ、分かった、例のピアノ少女だよ!に、逃げよう!」
「……お、おう、ん?足が動かないぞ!」
「……動かねぇ、畜生!あ、あの子、ピアノに近付いて来た……鍵盤いじってるけど、音、出ないようにしちまったからな」
「……うわっ、またこっち見てる!睨んでるぞ!」
「……ど、どうしたらいいんだ!」
「……音、鳴らない。音、鳴らない。音、鳴らない……目、頂戴……」
「……音、鳴らない。音、鳴らない。音、鳴らない……指8本、頂戴……」
明くる日、ある高校の音楽室で、男子生徒が2人、見るも無惨な姿で発見された。
1人は右指全てと左指3本をへし折られ、もう1人は左右両方の目玉を見事にえぐられていた。
目玉を取られた生徒は死んでいたが、指がたいへんなことになった生徒は何とか証言出来た……証言後、発狂して、死んでしまったが……。
女の子に関してのみ記述すると、その子はピアノの鍵盤を押しても音が出ないので、よく確かめようとして、身動き出来なかった生徒の目に指を突っ込み、目玉をつかみ取ると、自分の目にはめたそうだ。
そして、目が輝き、鍵盤をじっと見つめ、ゆっくりと押したが、やはり音は聴こえなかったので、もう1人の生徒の指をつかみ、1本ずつ、音を立てて、へし折っていったらしい……次のように、言葉を出しながら。
「……ド、(ボキッ)……鳴った……レ、(ボキッ)……鳴った……~シ、(ボキッ)……鳴った……ド、(ボキッ)……鳴った……」
ドレミファソラシド……合わせると8つの音符になる。
一家惨殺事件の捜査資料によると、どうやら女の子はまだピアノを弾いたことが無かったらしいが、ドレミファソラシドは知っていたので、8つ鍵盤が必要だった訳だ。
つまり、指1本1本が鍵盤代わりになることを思い付き、折るごとに鳴る音をピアノの音に見立てたのだ。
そして、女の子は8本の指をへし折った後、満足そうに去っていったという。
以上のことから分かるように、やはりピアノが呪われていることは間違いなさそうなので、お祓いをしたものの、貰い手は付かず、だからと言って、捨てるのはいかがなものかということで、まだ学校に置いてあるそうだが、もしかするとその学校は、あなたの街にある、あの学校ではないだろうか……。
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