7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません

どういう仕組みなんですか？

朝、窓のガラスから差し込む太陽の光で目が覚めた。ガラスと言っても現代のものほど完成度は高くない。それでもしっかりと光は通し、見た目も悪くない。ほんとどこまでも完璧な宿である。もう少し値上げしても全然いいと思う。
とそんなことを考えながら扉を開き下の階へと降りていく。

｢おはようございます｣

宿主と挨拶を交わしながら、席へと座る。その様子を見ていた宿主が厨房へ行き料理を運んできた。今日の朝はフランスパンのようなものと牛乳のようなものだった。俺は早速食べ始める。そしてやはり美味しい。
暫くして朝食を食べ終えた俺は冒険者ギルドに行く準備をする。そして準備を終え、宿主にありがとうございました、とお礼をいいギルドに向かって歩き始めたのだった。

＊

宿から20ｍの地点にあるギルドについた俺は早速中へと入る。中はやはり清潔だった。だが、清潔というのはいい事なので気にせず依頼板へ向かっていく。

｢確か、銅貨の依頼をクリアしたら銅貨ランクに上がれたよな…｣

ということでできるだけ楽そうな銅貨の依頼を探す。だが銅貨の依頼はどれもこれも魔物の討伐ばかりである。

｢まあ、ゼウスにチートを貰ってるしスライムぐらいなら倒せるよな？｣

これ以外に良さそうな依頼がなかったので、仕方なく魔物討伐の依頼を受けることにした。

｢この依頼、お願いします｣

｢かしこまりました。スライムの魔石を3つで銀貨2枚です。6つもってこられた場合は報酬額は2倍になりますが、依頼達成回数は一回ですのでお気をつけください｣

なるほど、倒せば倒すほど報酬は増えるが、依頼達成回数は増えないと。それと、魔石を回収するんだな。基礎知識だろうが、俺にとっては初めて聞く重要な情報である。
必要な情報は把握出来たので早速スライムを倒しに行くことにした。

＊

スライムはこの街を出て200m程先にある草原によく生息しているらしい。ちなみに街の近くは舗装されており、更に護衛もいるので街の200メートル圏内には滅多にいないそうだ。
その事を知っている俺は、一直線に草原へと向かっていく。何かいないか、と周囲をしっかり確認しながら少し歩いていると、スライムを2体見つけた。

｢早速発見だな｣

スライムの強さがわからないのでアイテムボックスにあった長剣を構える。
短剣じゃなくリーチがある長剣、を選んでいるところから皐月の慎重さが見て取れる。さすがは危機回避能力を貰うような人物である。

｢じゃあ早速…｣

俺はそう呟いてブォン！と音を鳴らしながら剣を振り下ろした。するとスライムは勢いよくはじけ飛びそして…

ポトン

と何かが落ちた。今ドロップしたものこそが魔石である。これを三個回収すれば晴れて銅貨ランクとなるのだ。
今の攻撃で俺の攻撃はスライムに通じる、と確信を得られたのでもう一体のスライムにすぐさま攻撃する。そしてそのスライムもポトンと魔石をドロップする。

｢スライムなら余裕で勝てるな｣

勝負を終えた俺は一人そう呟いたのだった。

というか、魔石はどう見てもドロップしてるって感じだけど、どういう仕組みなんだ？