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28-1 しょんぼりワンコ再降臨!
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バルコニーへと出ると、眩しい日差しのなか一瞬目が眩むが、その視界がはっきりすると、眼下には見たことがないほどの人が大勢集まっていた。
バルコニーへと姿を現した俺たちに向かい、多くの人々は手を振り、歓声を上げている。初めて見る光景に鳥肌が立つ。
「す、凄い……」
今までの人生でこんな大勢の人に注目を浴びたことなどない。こんな平凡な俺がこんなところに立っていて良いのだろうか。それが怖くなる。ギシッと身体が強張ったことが分かったのか、ジウシードは抱き寄せていた腰をさらに一層力を籠め引き寄せた。そしてこめかみにキスをしながら微笑む。
「大丈夫だ。俺がいる。お前はなにも不安に思うことなどない」
「ジ、ジウシード」
嬉しい……力強い言葉は嬉しいのだが、今スキンシップはちょっと!!
眼下に集まる領民の一部からなにやら「キャァァ」という黄色い悲鳴が聞こえた。は、恥ずかしい……。
その悲鳴に反応したのか、ジウシードは俺を背後から抱き締め、領民に見せ付けるかのように誓約の証をさわっと撫でた。
「あん……い、いや、ちょっと!! なにやってんだよ!!」
「皆に、誓約の証がここにあることを見せつけているのだ」
「はっ!? い、今触るな!!」
さわさわと誓約の証を触られるたびに声が漏れそうになる。ジウシードの手首を掴み、必死に引き剥がそうとするも、力で敵うはずもなく……。
「んん、はっ、や、やめっ」
次第に身体が熱くなってくるのが分かる。呼吸も荒くなり下半身がぞくぞくとそそり立ちそうになっていることにも気付いた。や、ヤバい……こんなところで勃起とか変態じゃないか!!
「ジ、ジウシード……や、やだってば……やめっ」
涙目になりながらジウシードの顔を見上げ訴えた。しかし、ジウシードはなにやらめちゃくちゃ嬉しそうな顔になり、見上げる俺の顔を隠すように唇を重ねた。
「んん!?」
いや、ちょっと待て!! 誓約の証を撫でるのを止めさせようとしたのに、キスされるとか、それじゃ意味がない!!
舌を突っ込まれ、チュックチュッと水音を立てながら俺の舌に絡ませる。バルコニー下から「ギャァァァアア」という悲鳴が聞こえてくる。だ、駄目だ、恥ずかし過ぎるのに誓約の証を撫でられた挙句、濃厚なキスをされ、頭が朦朧としてきてしまう……ヤバい……。
もう、俺……街のひとたちの前に顔出せない……とか、朦朧とした頭のなか考えていたら、下半身のそそり立った俺のモノをむんずと掴まれ、ビクンッと身体が跳ねた。シルクのような柔らかく薄い生地の服の上からは、ジウシードの大きな熱い手がはっきりと分かる。
「やっ、馬鹿!! そ、そこは!!」
「見えないから大丈夫だ」
そういう問題じゃない!!
「やっ、やだっ、やめっ」
もみもみと刺激され、泣きそうになっていると……
「おい、いい加減にしろよ」
俺のモノを掴むジウシードの手首を掴み引き剥がそうとする声の主。
「リョ、リョウ!!」
涙目でその人物を見ると、リョウが超絶冷たい顔でこちらを見ていた。ひっ! こ、こんな怖い顔初めて見たわ!!
「なんだ。お前の伴侶はジェイクだろう」
「伴侶とかの問題じゃないっつーの。兄貴、嫌がってんだろうが。こんな観衆の目の前で痴漢行為とか頭おかしいんじゃないのか? 変態か?」
「なんだと?」
リョウに掴まれていた手首を振り払い、ジウシードはぎゅうっと俺を抱き締め後退る。
「はっ。そうやって見せ付けておかないと心配なのか? 自信がない訳か」
ハハ、と笑うリョウ。お、おい、なんか煽っているように見えるのは気のせいか? ジウシードの腕に力が籠ったのが分かる。見上げるとジウシードの怒りを露わにした顔。こ、怖い……な、なんでこんなことに……さっきまでの身体の火照りが嘘のように、さぁっと冷めていき、俺のアレは縮こまった……。
「貴様……、いくらアキラの弟でも、俺に対する暴言は許さんぞ」
「ジ、ジウシード」
鬼のような形相が怖い……。な、なんだかバルコニー下からの歓声が相変わらず悲鳴のような声が聞こえるのはなぜだ……。
ジウシードとリョウの間に挟まれオロオロしていると、リョウの後ろにジェイクたちが見えた。ジェイクは興味なさそうだし、ウェジエは苦笑するばかりだし、フェシスに至ってはシラーッと冷たい表情だし……おぉぉい!! 助けてくれよ!!
「暴言ではないだろ。事実だ。嫌がる相手に無理矢理触るとか痴漢行為以外のなにものでもないだろうが。それにお前のそのひと前で触る行為……ま、それはいいか。言わないでおいてやるよ。自覚してなさそうだし」
「どういう意味だ」
低く怒気を孕んだ声音が俺の背中に響き、ぞわりと鳥肌が立つ。こ、怖い……。
バルコニーへと姿を現した俺たちに向かい、多くの人々は手を振り、歓声を上げている。初めて見る光景に鳥肌が立つ。
「す、凄い……」
今までの人生でこんな大勢の人に注目を浴びたことなどない。こんな平凡な俺がこんなところに立っていて良いのだろうか。それが怖くなる。ギシッと身体が強張ったことが分かったのか、ジウシードは抱き寄せていた腰をさらに一層力を籠め引き寄せた。そしてこめかみにキスをしながら微笑む。
「大丈夫だ。俺がいる。お前はなにも不安に思うことなどない」
「ジ、ジウシード」
嬉しい……力強い言葉は嬉しいのだが、今スキンシップはちょっと!!
眼下に集まる領民の一部からなにやら「キャァァ」という黄色い悲鳴が聞こえた。は、恥ずかしい……。
その悲鳴に反応したのか、ジウシードは俺を背後から抱き締め、領民に見せ付けるかのように誓約の証をさわっと撫でた。
「あん……い、いや、ちょっと!! なにやってんだよ!!」
「皆に、誓約の証がここにあることを見せつけているのだ」
「はっ!? い、今触るな!!」
さわさわと誓約の証を触られるたびに声が漏れそうになる。ジウシードの手首を掴み、必死に引き剥がそうとするも、力で敵うはずもなく……。
「んん、はっ、や、やめっ」
次第に身体が熱くなってくるのが分かる。呼吸も荒くなり下半身がぞくぞくとそそり立ちそうになっていることにも気付いた。や、ヤバい……こんなところで勃起とか変態じゃないか!!
「ジ、ジウシード……や、やだってば……やめっ」
涙目になりながらジウシードの顔を見上げ訴えた。しかし、ジウシードはなにやらめちゃくちゃ嬉しそうな顔になり、見上げる俺の顔を隠すように唇を重ねた。
「んん!?」
いや、ちょっと待て!! 誓約の証を撫でるのを止めさせようとしたのに、キスされるとか、それじゃ意味がない!!
舌を突っ込まれ、チュックチュッと水音を立てながら俺の舌に絡ませる。バルコニー下から「ギャァァァアア」という悲鳴が聞こえてくる。だ、駄目だ、恥ずかし過ぎるのに誓約の証を撫でられた挙句、濃厚なキスをされ、頭が朦朧としてきてしまう……ヤバい……。
もう、俺……街のひとたちの前に顔出せない……とか、朦朧とした頭のなか考えていたら、下半身のそそり立った俺のモノをむんずと掴まれ、ビクンッと身体が跳ねた。シルクのような柔らかく薄い生地の服の上からは、ジウシードの大きな熱い手がはっきりと分かる。
「やっ、馬鹿!! そ、そこは!!」
「見えないから大丈夫だ」
そういう問題じゃない!!
「やっ、やだっ、やめっ」
もみもみと刺激され、泣きそうになっていると……
「おい、いい加減にしろよ」
俺のモノを掴むジウシードの手首を掴み引き剥がそうとする声の主。
「リョ、リョウ!!」
涙目でその人物を見ると、リョウが超絶冷たい顔でこちらを見ていた。ひっ! こ、こんな怖い顔初めて見たわ!!
「なんだ。お前の伴侶はジェイクだろう」
「伴侶とかの問題じゃないっつーの。兄貴、嫌がってんだろうが。こんな観衆の目の前で痴漢行為とか頭おかしいんじゃないのか? 変態か?」
「なんだと?」
リョウに掴まれていた手首を振り払い、ジウシードはぎゅうっと俺を抱き締め後退る。
「はっ。そうやって見せ付けておかないと心配なのか? 自信がない訳か」
ハハ、と笑うリョウ。お、おい、なんか煽っているように見えるのは気のせいか? ジウシードの腕に力が籠ったのが分かる。見上げるとジウシードの怒りを露わにした顔。こ、怖い……な、なんでこんなことに……さっきまでの身体の火照りが嘘のように、さぁっと冷めていき、俺のアレは縮こまった……。
「貴様……、いくらアキラの弟でも、俺に対する暴言は許さんぞ」
「ジ、ジウシード」
鬼のような形相が怖い……。な、なんだかバルコニー下からの歓声が相変わらず悲鳴のような声が聞こえるのはなぜだ……。
ジウシードとリョウの間に挟まれオロオロしていると、リョウの後ろにジェイクたちが見えた。ジェイクは興味なさそうだし、ウェジエは苦笑するばかりだし、フェシスに至ってはシラーッと冷たい表情だし……おぉぉい!! 助けてくれよ!!
「暴言ではないだろ。事実だ。嫌がる相手に無理矢理触るとか痴漢行為以外のなにものでもないだろうが。それにお前のそのひと前で触る行為……ま、それはいいか。言わないでおいてやるよ。自覚してなさそうだし」
「どういう意味だ」
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