【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件

りゆき

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54-1 想いと覚悟

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「あいつも突然「家を任せたい」、と言ったかと思うと音信不通になった挙句、しばらくするとまた突然帰って来たんだ。今のお前たちのようにな」

 アハハ、と笑いながら原田さんは言った。しかも今度は肩肘をテーブルに乗せ、身を乗り出し、なにやら意味深な笑顔を向ける。なんだ?

「しかも、そのときとんでもない美人さんを連れて来た」

 ニヤッと笑った原田さん。美人さん……それって……

「ハハ、お前たちの母親だよ」

 突然いなくなった父親……、そしてまた突然現れた父親は母親を連れて帰って来た……。しかもそのときは母親の存在を原田さんにも明かしているってことだよな。それってやっぱり親父はアルヴェスタへ行ってから、また戻って来た……?

 やはり異世界を渡る方法があるのか……リョウと顔を見合わせると、リョウも目を見開いていた。

「実はな、お前たちにはずっと黙っていたようだが、お前たちの母親には戸籍がなかった……」
「「…………」」
「驚かないな?」

 もし本当に母親がアルヴェスタの人間ならば、日本に戸籍などないだろう。そう考えていたため、思っていたよりも驚いた姿ではなかったらしく、原田さんに訝しげに見られる。

「あ、いや、驚いたよ! 驚き過ぎて固まってただけ!」
「ふーん?」

 俺は慌てて取り繕うが、リョウは言い訳をするでもなくスンとしてやがる。おい。なんか言い訳してくれよ。
 原田さんは訝しげなままだったが話を続ける。

「彼女は不思議な人でな。とても日本人には見えなかったが、日本語も喋ることが出来たし、文字も読めた。だから生活にはさほど支障はなかったが、どこの誰かなのかは、どれだけ問い詰めても、あいつは全く俺に教えなかった。しかし、ずっと彼女と一緒になりたいんだ、だから助けてくれ、って言われ続けてな」

 原田さんは苦笑しながら、ふぅっと大きく息を吐いた。

「あんなに真剣に頼み事をしてくるのは初めてだったから……だから俺が力になった。あいつには親戚がいなかったから、彼女をうちの親戚筋の養子にし、俺の親戚って扱いになった彼女とあいつは結婚し、そしてお前たちが生まれたんだよ」

 唖然とした。やはり俺たちの母親はジウシードたちと同じ、アルヴェスタの人間……領主ということか……なら、俺たちもアルヴェスタの血を引いているということ……。

 あまりの現実離れした事実に頭が混乱した。しかし、父親がアルヴェスタの領主である母親と共に異世界へと渡り、そしてその後なぜか再び日本へと戻ったという現実。
 理由はどうあれ、事実異世界を渡る方法があるということだ。ということは、俺たちが再びアルヴェスタへと渡ることも出来るかもしれない……ジウシードの元へと帰ることが出来るかもしれない。

 リョウとふたりで顔を見合わせ頷き合う。そして俺は原田さんにも知ってもらいたいと思った。母親の素性を知らないまま、ただ親父を信じ、協力してくれた。俺たちのことも、俺たち自身が話し出すまでなにも聞かずに協力してくれる。
 そんな原田さんになにも伝えず、再び目の前から消えるなんてことはもうしたくない。

「リョウ、原田さんに今俺たちが知っていることを話したい。良いか?」

 リョウの目を真っ直ぐ見詰めた。原田さんはそんな俺の真剣な空気を感じ取ったのか、黙って俺とリョウのやり取りを見詰めていた。
 リョウは俺を見詰め返し、しばらく目を合わせていたが、フッと笑った。

「分かった。これだけ母親の面倒を見てもらった原田さんに、なんも言ってないとか、親父の身勝手さのほうがビビるわな」

 そう言い苦笑している。

「だよな、ハハ。こんな巻き込んでおきながら、一切なにも話さないとかどんだけだよ」

 まあ親父の場合、俺たちを守るためか、それとも本当にただ単に話すことを忘れていたか、のどちらかなのだろう、とそう思いリョウと共に苦笑する。

「おいおい、一体なんの話だ?」

 呆れるような顔で原田さんが俺たちを眺める。俺たちは頷き合い、そして原田さんに母親のこと、俺たちのこと、異世界のことを伝えた。

 原田さんは俺たちが話す間、なにも口を挟むことなく最後まで黙って聞いてくれていた。

「あー、ちょっと頭を整理させてくれ。すまん、混乱している」

 頭をガシガシと掻いた原田さんは俯き、肘をテーブルにつきながら考え込んだ。そしてしばらくすると大きな溜め息を吐き顔を上げる。

「なんだかとんでもない話だし、信じ難い……信じ難いが……まあ、お前たちが嘘を言っているとは思えないし……お前たちの話、あいつの話と、総合して考えると色々腑に落ちる……だからまあ……信じ難いけど、信じるよ」

 そう言って原田さんは苦笑した。俺たちは緊張しながら原田さんを見守っていたが、そう言ってくれた原田さんの苦笑しつつも俺たちに向ける眼差しは優しく、ホッと小さく息を吐き緊張が緩んだ。

「で、お前たちは今後どうするんだ?」

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