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69.完結
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「おめでとう、リトア。その服、似合ってるよ」
「ありがとう、ペコット」
あれから、私はカストリア様と婚約ーーを飛び越え、結婚に至った。
長い道のりだった気がするし、
短い物語だった気もする。
想定外の予定外の連続。
私の力以外の要因がほとんどな気もするけど。
どうにかこうにか生き残った。
そして今は結婚の祭典に来ていくドレスの試着中。
ペコット=バルバシリアの計画。
私とカストリア様を結婚させるための策略。
イデア様を利用して、人質にとって、彼の意思をコントロールするという手法。
敵意はペコットに向くため、私には本来害はない。
私が何も動かず、ただ彼女の計画が進むのを待つことが出来ていたら、知らずに幸せになっていたかもしれない。
けれど、分からない。
どうして彼女が私にここまでしてくれるのか、分からない。
……いや、それは嘘だろう。
大方の予想はついてしまっている。
ただ、確定していないだけ。
本人の口から聞いていないだけ。
彼女の想い。
「私はね、リトア」
ペコットは不意に言う。
さっき私を褒めたのと同じ調子で。
「君のことが好きなんだよ」
言葉にして言う。
真実を確定させる。
「だから、幸せになって欲しい。望みを叶えて欲しい」
続ける。
微笑みながら。
「どんな形であってもね」
いつもの無垢な笑顔ではなく、どこか悟った風な淡い笑顔で。
「ペコット、私ーー」
「リトア、行くよ」
私を呼ぶ声がする。
私の結婚相手。
言いかけた言葉が、止まる。
ペコットは無言で頷く。
仕方がないな、わかってるよ、と言いたげな風に。
「カストリア様」
あの人の本性は、心底理解できた。
姉以外はどうでもいい、
姉のためなら何でもする。
その本性を理解して尚、私の恋心は冷め切ることはなかった。
元より、身内殺しの罪を着せ、そこを私が匿う計画もあった。
だから、私はこの人の中身よりも外側に惚れていたのだろう。
中身が分かっても、外見は変わっていない。
中身に幻想を抱いていた時と、まるで変わっていない。
アンドレアルがいなくなったことで、その地位は安泰なものになっているし。
私という正式な相手ができたことで、国王の印象もよくなっている。
表向きは、みんな幸せになれている。
私の味方は、みんな望む結果を手に入れている。
目標を、目的を達成している。
だけど、
だけれど、裏側はどうだろう。
アンドレアル、ペンタグラ、そしてーー名前も知らない兵士たち。
少なくない数の命が犠牲になっている。
その不幸の上に、私の今は成り立っている。
でもーー
「はい!」
私は返事をする。
恋に、愛に理由はない。
いつかこの関係が終わるとしても、
その時が来るまで、私は味わい続ける。
この、幸せを。
「ありがとう、ペコット」
あれから、私はカストリア様と婚約ーーを飛び越え、結婚に至った。
長い道のりだった気がするし、
短い物語だった気もする。
想定外の予定外の連続。
私の力以外の要因がほとんどな気もするけど。
どうにかこうにか生き残った。
そして今は結婚の祭典に来ていくドレスの試着中。
ペコット=バルバシリアの計画。
私とカストリア様を結婚させるための策略。
イデア様を利用して、人質にとって、彼の意思をコントロールするという手法。
敵意はペコットに向くため、私には本来害はない。
私が何も動かず、ただ彼女の計画が進むのを待つことが出来ていたら、知らずに幸せになっていたかもしれない。
けれど、分からない。
どうして彼女が私にここまでしてくれるのか、分からない。
……いや、それは嘘だろう。
大方の予想はついてしまっている。
ただ、確定していないだけ。
本人の口から聞いていないだけ。
彼女の想い。
「私はね、リトア」
ペコットは不意に言う。
さっき私を褒めたのと同じ調子で。
「君のことが好きなんだよ」
言葉にして言う。
真実を確定させる。
「だから、幸せになって欲しい。望みを叶えて欲しい」
続ける。
微笑みながら。
「どんな形であってもね」
いつもの無垢な笑顔ではなく、どこか悟った風な淡い笑顔で。
「ペコット、私ーー」
「リトア、行くよ」
私を呼ぶ声がする。
私の結婚相手。
言いかけた言葉が、止まる。
ペコットは無言で頷く。
仕方がないな、わかってるよ、と言いたげな風に。
「カストリア様」
あの人の本性は、心底理解できた。
姉以外はどうでもいい、
姉のためなら何でもする。
その本性を理解して尚、私の恋心は冷め切ることはなかった。
元より、身内殺しの罪を着せ、そこを私が匿う計画もあった。
だから、私はこの人の中身よりも外側に惚れていたのだろう。
中身が分かっても、外見は変わっていない。
中身に幻想を抱いていた時と、まるで変わっていない。
アンドレアルがいなくなったことで、その地位は安泰なものになっているし。
私という正式な相手ができたことで、国王の印象もよくなっている。
表向きは、みんな幸せになれている。
私の味方は、みんな望む結果を手に入れている。
目標を、目的を達成している。
だけど、
だけれど、裏側はどうだろう。
アンドレアル、ペンタグラ、そしてーー名前も知らない兵士たち。
少なくない数の命が犠牲になっている。
その不幸の上に、私の今は成り立っている。
でもーー
「はい!」
私は返事をする。
恋に、愛に理由はない。
いつかこの関係が終わるとしても、
その時が来るまで、私は味わい続ける。
この、幸せを。
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