華麗なる転生を遂げたのに、いきなり婚約破棄とか。

くわっと

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2章 第2の婚約者

30.ゆりゆりっ!

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「お疲れ様でした、お嬢様」

「ああ、疲れたよ。本当に」

色んな意味でな、と付け加える。
ゴットファザとの親子会談を終了した私は自室に戻りくつろいでいた。
使用人のメノウと過ごすこのひとときの大切さとありがたさ。
やはり幸福というのは一度不幸な状態を経験しないと分からない、というのを改めて感じた。

「そういえば、リヒーは?」

「彼には私の仕事の一部を先行して任せてあります」

「なるほど、彼も仕事を始めてか」

ならば、私もゴットファザの娘としての仕事を果たさねばなるまい。

「お嬢様、その写真は?」

「これか、これは次の私の婚約者だ。アルベルトがこちらの手中にある今、アルバート家とわざわざ婚姻関係を結ぶ必要はない、とのお父様の判断。その結果、次がこれだ」

「それは、その、えっと……」

言葉に詰まるメノウ。
言いたいことは分かる。
言葉が出ないのも分かる。
痛いほどに。
まあ、最終的につらく痛い思いをするのは、本当に私なのだが。

「お嬢様はそれでいいのですか?」

「仕方がないだろう。お父様には逆らえない」

さっき逆らったけど、駄目だったという事実は伏せておく。
彼女はあくまでラインバルト家の使用人であり、アリシアの使用人ではない。
その主人はあくまでも、ゴットファザその人なのだ。
無駄な心労かける必要はない。
思い、悩んだところで変わらないのならば、尚更だ。

「豚には豚の使い道がある。お父様には逆らえないが、この男は別だ。たぶん、うまくやれる。アルベルトの例もあるしな」

成功体験は自身につながる。
それが手痛い敗北に身を置く状況ならば、なおのこと。

「何、心配はいらない。君がお世話してくれている私というお嬢様、存外優秀なのだ」

「それは……もちろんでございます。アリシア様の有能さは華麗さは、この私が一番知っております。ーーだからこそ」

彼女の言葉を、私は遮る。
ここで唇で封をすると格好いいのだろうけれど、少女漫画に出てくるイケメンのようなこと、わたしにはできない。
ぎゅっと、子供っぽく彼女を抱きとめるのがせいぜいだ。
だけれど、それで十分だったらしい。
メノウも私の背に両手を回し、力を込める。

ぎゅっと、
強く、
優しく、
抱き合う。
百合百合しい、情景。
できることなら、第三者眼線で見たいものだ。
きっと、ほっこりすることこの上ない景色だろう。

「大丈夫だ。何度も言わせるな」

「分かりました。このメノウ、お嬢様のお言葉を信じます」

「それでいい」

抱きつきを解除し、そのまま彼女の頭をポンと撫でた。
これはイケメンの先輩のそれっぽ動作だな、と心中で笑いつつ。
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