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2章 第2の婚約者
41.むかしばなし
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バルバトロス=ステノンはかつて普通の人間だった。
領主の三男の、家柄に恵まれた程度の人間だった。
見た目がすごく可愛い程度の、ただの人間だった。
だけれど、突然不幸が起こる。
彼が領外の盗賊の一団に連れ去られたのだ。
三男とは言え、七大名家の序列三位の直系。
その人的価値は計り知れない。
身代金でいくらとれるか、その一団は皮算用をさぞ楽しんだに違いない。
誘拐自体は上手くいった。
そもそも、このステノン領において領主一族は神も同じ。
神の子を奪いさろうなど、
それを使って金を奪おうなど考えることすらない。
故に警備もされておらず、彼は普通に連れ去られ、普通に拷問された。
可愛い容姿が常に優位に働くとは限らない。
優れた容姿は他者に継続的に劣等感を沸かせるし、
不要な情動も抱かせる。
現当主バルバシリア=ステノンは、すぐに盗賊の一団を駆逐した。
それは彼が誘拐されたと分かってからすぐに行われた。
警備はされていないかったが、領民全員が協力者足りうるため、その虐殺はすぐに完了した。
だが、『すぐ』では遅かった。
人を壊すのに、時間は大してかからない。
保護されたバルバトロスは、ぼろぼろだった。
衣服は切り刻まれ、
髪の毛は乱れ、
顔は表情をなくし、
動くこともできない程に、
蹂躙されていた。
彼が何をされたかは想像に難くない。
そして、神格化された一族の一人とはいえ、ただの少年である彼が大人数十人に抵抗できたかと言えば、できるわけがない。
ただただ、されるがまま。
繰り返される苦痛と羞恥と絶望を味わうだけ。
保護されたバルバトロスを『直す』ため、バルバシリア=ステノンは手を尽くした。
やれることを全てやった。
彼の知りうる知識、
彼が使える技術。
その全てをバルバトロスに注ぎ込んだ。
空っぽになった、虚ろな人形になってしまった彼を人間にするために。
だけれど、バルバシリアはやりすぎた。
空っぽの器に注がれたものは、良くも悪くも満たされた。
自己防衛のための暴力能力、
政略戦争を勝ち残るための知力、
物理破壊から身を守るための再生能力、
壊れた感情を制御するためのセルフコントロール力。
そうして、改造に改良を重ねて、バルバトロス=ステノンは人としての生活を取り戻した。
かつてのように、日々をゆったりと楽しむ当主候補へと回復した。
だが、父親はそこで満足しなかった。
彼を強くするだけではまだ足りない。
国ごともっと強くする必要がある。
もっと強い国にして、息子を守る。
だが自身の能力よりも、
期待に応えて育った二人の息子よりも、
単純能力だけなら弟が優っていた。
遥かに、
比べる必要もない程に、
守る必要のない程に。
領主の三男の、家柄に恵まれた程度の人間だった。
見た目がすごく可愛い程度の、ただの人間だった。
だけれど、突然不幸が起こる。
彼が領外の盗賊の一団に連れ去られたのだ。
三男とは言え、七大名家の序列三位の直系。
その人的価値は計り知れない。
身代金でいくらとれるか、その一団は皮算用をさぞ楽しんだに違いない。
誘拐自体は上手くいった。
そもそも、このステノン領において領主一族は神も同じ。
神の子を奪いさろうなど、
それを使って金を奪おうなど考えることすらない。
故に警備もされておらず、彼は普通に連れ去られ、普通に拷問された。
可愛い容姿が常に優位に働くとは限らない。
優れた容姿は他者に継続的に劣等感を沸かせるし、
不要な情動も抱かせる。
現当主バルバシリア=ステノンは、すぐに盗賊の一団を駆逐した。
それは彼が誘拐されたと分かってからすぐに行われた。
警備はされていないかったが、領民全員が協力者足りうるため、その虐殺はすぐに完了した。
だが、『すぐ』では遅かった。
人を壊すのに、時間は大してかからない。
保護されたバルバトロスは、ぼろぼろだった。
衣服は切り刻まれ、
髪の毛は乱れ、
顔は表情をなくし、
動くこともできない程に、
蹂躙されていた。
彼が何をされたかは想像に難くない。
そして、神格化された一族の一人とはいえ、ただの少年である彼が大人数十人に抵抗できたかと言えば、できるわけがない。
ただただ、されるがまま。
繰り返される苦痛と羞恥と絶望を味わうだけ。
保護されたバルバトロスを『直す』ため、バルバシリア=ステノンは手を尽くした。
やれることを全てやった。
彼の知りうる知識、
彼が使える技術。
その全てをバルバトロスに注ぎ込んだ。
空っぽになった、虚ろな人形になってしまった彼を人間にするために。
だけれど、バルバシリアはやりすぎた。
空っぽの器に注がれたものは、良くも悪くも満たされた。
自己防衛のための暴力能力、
政略戦争を勝ち残るための知力、
物理破壊から身を守るための再生能力、
壊れた感情を制御するためのセルフコントロール力。
そうして、改造に改良を重ねて、バルバトロス=ステノンは人としての生活を取り戻した。
かつてのように、日々をゆったりと楽しむ当主候補へと回復した。
だが、父親はそこで満足しなかった。
彼を強くするだけではまだ足りない。
国ごともっと強くする必要がある。
もっと強い国にして、息子を守る。
だが自身の能力よりも、
期待に応えて育った二人の息子よりも、
単純能力だけなら弟が優っていた。
遥かに、
比べる必要もない程に、
守る必要のない程に。
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