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二章
17.ごめんなさい
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その場所は領内の端に位置していた。
湿気の程度もさらに酷い、劣悪な環境。
霧と臭気の立ち込める、人が住みづらい環境。
「すみません、こちらに用事があるのですが、入っても?」
「パトリシア様? どうしてこんな場所に? ーーいえ、構いませんが、一体何をしに?」
入り口の門番らしい人物に声をかけてみる。
門番なのに、門番らしからぬ体型の男。
全体的に痩せ細り、非力な印象。
これでいざという時に戦えるのか、甚だ疑問である。
「それは内緒です。聞かない方が、お互いのためだと思います」
「それはどういう……い、いえ、問題ありません。どうぞ、お入りください。中は薄暗く、段差もあります。足元に注意してお進みください!」
「ありがとう」
彼女は短く言って、建物の中に入る。
中は門番の言う通り薄暗く、灯りが所々にしか照らされていない。
経費削減なのだろうーーまあ囚人、捕虜といった人間相手に余分な資金を割く必要はないと言う考えなのだろう。
ここは、隔離施設。
反乱分子や犯罪者、それに捕虜といった人間を閉じ込めておくための施設。
パトリシアも本土ににて似たような施設に入ったことがある。
だが、元々は身分の高い彼女であるため劣悪な環境とは程遠い、単なる綺麗な待合室のような空間だった。
「め、飯を……くれぇ」
飢えているもの。
「来るな、来るなっ、こっちへ来ないでくれぇ」
怯えているもの。
「ふぇ、ぇぇえ、ふぇえ、ふっ」
気が触れているもの。
「……、………、……」
沈黙しているもの。
種類豊かな人間たちが閉じ込められている。
この状態では、情報提供者の正気とやらも期待できない。
想像以上に酷い扱いをされているようだ。
だが、ここまで来た以上、会わずに帰ると言う選択肢もない。
それに、少なくともリリネットと会話をするよりは、良い気分転換になるだろう。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいーー」
奥の方から、小さな声で聞こえてくる。
震えた声で、怯えた声で。
何度も何度も謝罪の言葉を口にしている。
その言葉は、対象に届くことはなく、ただパトリシアの耳にだけ届く。
「ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいーー」
声の主の方へと足を進める。
謝罪の言葉は、止まることはなく聞こえ続ける。
いくら唱えたところで、何も起こるはずはないのに。
「貴方が噂の蛮族の少女、かしら? 思ってたよりも、随分と華奢で可愛らしいのね」
壁に向けて、謝り続けている少女に、パトリシアは声をかけた。
その少女の両手には見覚えのある白い布が巻かれている。
赤黒く汚れた、あの布が。
湿気の程度もさらに酷い、劣悪な環境。
霧と臭気の立ち込める、人が住みづらい環境。
「すみません、こちらに用事があるのですが、入っても?」
「パトリシア様? どうしてこんな場所に? ーーいえ、構いませんが、一体何をしに?」
入り口の門番らしい人物に声をかけてみる。
門番なのに、門番らしからぬ体型の男。
全体的に痩せ細り、非力な印象。
これでいざという時に戦えるのか、甚だ疑問である。
「それは内緒です。聞かない方が、お互いのためだと思います」
「それはどういう……い、いえ、問題ありません。どうぞ、お入りください。中は薄暗く、段差もあります。足元に注意してお進みください!」
「ありがとう」
彼女は短く言って、建物の中に入る。
中は門番の言う通り薄暗く、灯りが所々にしか照らされていない。
経費削減なのだろうーーまあ囚人、捕虜といった人間相手に余分な資金を割く必要はないと言う考えなのだろう。
ここは、隔離施設。
反乱分子や犯罪者、それに捕虜といった人間を閉じ込めておくための施設。
パトリシアも本土ににて似たような施設に入ったことがある。
だが、元々は身分の高い彼女であるため劣悪な環境とは程遠い、単なる綺麗な待合室のような空間だった。
「め、飯を……くれぇ」
飢えているもの。
「来るな、来るなっ、こっちへ来ないでくれぇ」
怯えているもの。
「ふぇ、ぇぇえ、ふぇえ、ふっ」
気が触れているもの。
「……、………、……」
沈黙しているもの。
種類豊かな人間たちが閉じ込められている。
この状態では、情報提供者の正気とやらも期待できない。
想像以上に酷い扱いをされているようだ。
だが、ここまで来た以上、会わずに帰ると言う選択肢もない。
それに、少なくともリリネットと会話をするよりは、良い気分転換になるだろう。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいーー」
奥の方から、小さな声で聞こえてくる。
震えた声で、怯えた声で。
何度も何度も謝罪の言葉を口にしている。
その言葉は、対象に届くことはなく、ただパトリシアの耳にだけ届く。
「ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいーー」
声の主の方へと足を進める。
謝罪の言葉は、止まることはなく聞こえ続ける。
いくら唱えたところで、何も起こるはずはないのに。
「貴方が噂の蛮族の少女、かしら? 思ってたよりも、随分と華奢で可愛らしいのね」
壁に向けて、謝り続けている少女に、パトリシアは声をかけた。
その少女の両手には見覚えのある白い布が巻かれている。
赤黒く汚れた、あの布が。
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******
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