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一章 黒髪令嬢の日常
5.浴室への道
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私は香り豊かな衣類のまま、自室へと引き返しました。
妹様は芸術活動の疲れで、お休みになられたので。
私の自由、再び、です。
ただ、この服についた匂いはいただけません。
それに、粉系の調味料も服にこべりついています。
これでは、私の楽園が汚されてしまいます。
まだ、私が使っていい時間ではないですが、仕方がありません。
優先順位の問題。
理由を説明すれば、きっと見つかっても、数回ぶたれるだけで済むかもしれません。
「では、行動開始です」
私はそろりそろりと浴室へと足を進めます。
廊下は広いですが、隠れる場所はありません。
視界に入ればお終いですし、今の私は匂いでも分かってしまいます。
犬さんや猫さんが室内にはいなくて助かりました。
今の私はいつも以上に襲われやすい状態にあるので。
そう考えると、浴室へ忍び込むという私の選択は正しかったですね。
起こりうる、別の不幸への対処も兼ねているのですから。
浴室に辿りつくと、仄かに湯気が見えました。
直前に誰かが使っていたのかもしれません。
私は注意深く近くを警戒します。
聴覚と視覚に感覚を集中させます。
ーーよし、誰もいないようですね。
足音もしません。
先に入った方はもう出たようです。
この時間だと、使用人の方の誰かでしょうか。
お父様やお母様は遅いし、
妹様はお休み中だし、
お兄様は朝派ですからね。
私は全速力で汚れた衣類を脱ぎます。
脱衣場の大鏡に私の体が映ります。
黒髪の女の子。
痣と火傷、
切り傷や瘡蓋。
ぼろぼろの、使い古されたお人形さん。
そんな比喩が似合うような姿。
それが私、です。
「でも、お人形さんなら髪の色は金か銀ですよね」
黒髪なんて、不吉ですし。
さしずめ私は呪いのお人形さんなのかもしれません。
力なく笑う姿を、大鏡はそのままに映しています。
妹様は芸術活動の疲れで、お休みになられたので。
私の自由、再び、です。
ただ、この服についた匂いはいただけません。
それに、粉系の調味料も服にこべりついています。
これでは、私の楽園が汚されてしまいます。
まだ、私が使っていい時間ではないですが、仕方がありません。
優先順位の問題。
理由を説明すれば、きっと見つかっても、数回ぶたれるだけで済むかもしれません。
「では、行動開始です」
私はそろりそろりと浴室へと足を進めます。
廊下は広いですが、隠れる場所はありません。
視界に入ればお終いですし、今の私は匂いでも分かってしまいます。
犬さんや猫さんが室内にはいなくて助かりました。
今の私はいつも以上に襲われやすい状態にあるので。
そう考えると、浴室へ忍び込むという私の選択は正しかったですね。
起こりうる、別の不幸への対処も兼ねているのですから。
浴室に辿りつくと、仄かに湯気が見えました。
直前に誰かが使っていたのかもしれません。
私は注意深く近くを警戒します。
聴覚と視覚に感覚を集中させます。
ーーよし、誰もいないようですね。
足音もしません。
先に入った方はもう出たようです。
この時間だと、使用人の方の誰かでしょうか。
お父様やお母様は遅いし、
妹様はお休み中だし、
お兄様は朝派ですからね。
私は全速力で汚れた衣類を脱ぎます。
脱衣場の大鏡に私の体が映ります。
黒髪の女の子。
痣と火傷、
切り傷や瘡蓋。
ぼろぼろの、使い古されたお人形さん。
そんな比喩が似合うような姿。
それが私、です。
「でも、お人形さんなら髪の色は金か銀ですよね」
黒髪なんて、不吉ですし。
さしずめ私は呪いのお人形さんなのかもしれません。
力なく笑う姿を、大鏡はそのままに映しています。
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