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一章 黒髪令嬢の日常
22.人と犬
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……、
…………、
あ、気絶していました。
「ふぇあえ?」
あまりに痛すぎて、意識が消失していたようです。
ただ、見慣れた天井と景色がそこにありました。
服もボロボロのまま、
出血も滲む感じで継続中。
鈍い痛みも身体中を走り続けてます。
違うところは、白いベトベトが付着していないことと、
犬さんたちが私の体を舐め回しているということです。
噛み付くのではなく、舐める。
それは白いベトベトがもっと欲しいからかもしれません。
犬さんたちにとって、あれは依存性の強い薬みたいなもの。
そんな感じがします。
だけれども、彼らの舌遣いは激しいソレではありません。
食事をねだるというよりは寧ろ、
私の傷を癒そうとしてくれているような。
優しい感じです。
「まさか……私の気持ちが?」
犬さんたちは、どことなく申し訳なさそうに私を見てきます。
先程までの血走った、
ご馳走を見る目ではなく。
被害者に謝罪するような、そんな目。
犬さんなので、言葉は通じません。
マーテルロ家の血筋でも、秘術を使えるお父様でも彼らと会話をすることはできません。
感情を無視して、一方的に操るのみです。
でも、どうしてでしょうか。
彼らの気持ちが分かるような、そんな気がします。
若さ故、自身に特別な力があると信じたい、そんな病にかかっているのかもしれませんが。
だけれど、今の犬さんたちに私を攻撃する意思がないことは確かです。
ならば、都合よく考えましょう。
どう解釈したところで、現実は変わりません。
「大丈夫ですよ、こういうこと、慣れてますから」
私は犬さん達に言葉を渡します。
犬さんたちはそれに応えるように、
ある犬さんは顔を舐め、
ある犬さんは頭を擦り付け、
またある犬さんは体を預けてきました。
圧倒的もふもふ感。
人よりも犬さんの方が、私とは相性がいいのかもしれません。
同じような境遇だからか、私を意識的に虐げはしませんし、避けたりもしません。
黙って、態度で示してくれます。
私との関係性を、
敵意がないことを。
とっても、嬉しいです。
あぁ、目が熱いです。
ほっぺたも、耳も。
なんだか、涙が出てきます。
これが、嬉し泣き、というものなのでしょうか。
ボロボロと、
ポロポロと、
とめどなく溢れてきます。
あぁ、これならいっそ犬さんとして生まれていた方が、よっぽど良かったです。
言葉も使えず、
人に従属するしかない、
マーテルロ家の飼犬だったとしても。
だって、彼らにはちゃんと同じような境遇の仲間たちがいるのですから。
…………、
あ、気絶していました。
「ふぇあえ?」
あまりに痛すぎて、意識が消失していたようです。
ただ、見慣れた天井と景色がそこにありました。
服もボロボロのまま、
出血も滲む感じで継続中。
鈍い痛みも身体中を走り続けてます。
違うところは、白いベトベトが付着していないことと、
犬さんたちが私の体を舐め回しているということです。
噛み付くのではなく、舐める。
それは白いベトベトがもっと欲しいからかもしれません。
犬さんたちにとって、あれは依存性の強い薬みたいなもの。
そんな感じがします。
だけれども、彼らの舌遣いは激しいソレではありません。
食事をねだるというよりは寧ろ、
私の傷を癒そうとしてくれているような。
優しい感じです。
「まさか……私の気持ちが?」
犬さんたちは、どことなく申し訳なさそうに私を見てきます。
先程までの血走った、
ご馳走を見る目ではなく。
被害者に謝罪するような、そんな目。
犬さんなので、言葉は通じません。
マーテルロ家の血筋でも、秘術を使えるお父様でも彼らと会話をすることはできません。
感情を無視して、一方的に操るのみです。
でも、どうしてでしょうか。
彼らの気持ちが分かるような、そんな気がします。
若さ故、自身に特別な力があると信じたい、そんな病にかかっているのかもしれませんが。
だけれど、今の犬さんたちに私を攻撃する意思がないことは確かです。
ならば、都合よく考えましょう。
どう解釈したところで、現実は変わりません。
「大丈夫ですよ、こういうこと、慣れてますから」
私は犬さん達に言葉を渡します。
犬さんたちはそれに応えるように、
ある犬さんは顔を舐め、
ある犬さんは頭を擦り付け、
またある犬さんは体を預けてきました。
圧倒的もふもふ感。
人よりも犬さんの方が、私とは相性がいいのかもしれません。
同じような境遇だからか、私を意識的に虐げはしませんし、避けたりもしません。
黙って、態度で示してくれます。
私との関係性を、
敵意がないことを。
とっても、嬉しいです。
あぁ、目が熱いです。
ほっぺたも、耳も。
なんだか、涙が出てきます。
これが、嬉し泣き、というものなのでしょうか。
ボロボロと、
ポロポロと、
とめどなく溢れてきます。
あぁ、これならいっそ犬さんとして生まれていた方が、よっぽど良かったです。
言葉も使えず、
人に従属するしかない、
マーテルロ家の飼犬だったとしても。
だって、彼らにはちゃんと同じような境遇の仲間たちがいるのですから。
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