虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

32.口封じ

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妹様も口封じも完了。
とりあえずは一安心です。
これで落ち着いて事に当たれます。
勝利条件達成に向けて動くことができます。

「このお嬢ちゃんは一体何者なんだ?出来損ない、とたしか言っていたが」

黒い先輩が疑問を話します。

「出来損ないです。一族の恥です。ただの保険、です。それ以上、それ以下でもないのですが……聞きたいですか?」

「むー、むっむむ、むっむむむむー!」

むーむー言っている妹様の腹に足を一撃。
ノイズキャンセル、です。
静かになしました。
自身が攻撃される仕組みを理解したのかもしれません。
ただ、フクロウさんのような鋭い眼光で私を睨んでいます。
『この野郎、戻ったら覚えてろ!』
そんな言葉を言いたいように思えます。
妹様が、あのお屋敷の床を踏むことはあるのでしょうか。
私には疑問でしたが。

「いや、別に細かい事はいい。ただ、色々と気になってな」

黒い先輩は、私と妹様を見比べます。
じっくりと、
ねっとりと。

「例えば、着ている服だ。お前の方が、そいつのよりボロっちい。出来損ないが何故そんな良い服を着て、メインの娘がボロを着ている?何故だ、普通は逆だろ?」

「普通は、そうかもしれませんね。ただ、私は生憎外の世界に詳しくありません。本の知識、窓がから覗く景色がせいぜいです。なので、お父様の言葉をお借りします」

嘘と真実を織り交ぜます。
混ぜ込みます。

紅茶にミルクを入れるように。
混ぜてしまえば、分かりません。

言葉は、
化学変化もしなければ、
そのまま宙に残ることもないです。

混ざり、虚空に消えてしまう。
残るのは、人の記憶。
誤認と誤解、錯覚が舞い踊る迷いの森。

「領主の一族たるもの、民衆の心を理解する必要がある。金持ちも、貧民も。兄は上流、貴様は下流の気持ちを理解せよ。そうすることで、両者の意見に理解を示すことができる。よりマーテルロ家を盤石にすることができるーーということらしいです」

これも半部嘘です。
お父様は貧民のことは気にしません。
理解する必要もない、行動原理、仕組みさえ知っていれば問題ないと。

「なるほどねぇ、やっぱり偉い人が考えることはわからねぇ」

じゃあ、次と黒い先輩は続けます。

「部屋のレベルもそういうことか?お前が書庫みたいな小汚い部屋、こいつがぬいぐるみだらけの可愛らしい部屋ってのも、その気持ちの問題か?」

「いえ、それは少し違いますね。ただの誘拐対策です。普通、2人も奪う誘拐犯はいませんからね。人質が増えればリスクもコストもかさみます。だから、より効果的な1人を選ぶ。父親にとって価値があるものを。交渉カードに適したものを」

「違いねぇ。今回のパターンは俺の経験の中でも初めてだ」

黒い先輩は、苦笑します。
私は、笑いません。
笑顔を振りまく必要はないのですから。
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