34 / 121
二章 誘拐と叛逆
32.口封じ
しおりを挟む
妹様も口封じも完了。
とりあえずは一安心です。
これで落ち着いて事に当たれます。
勝利条件達成に向けて動くことができます。
「このお嬢ちゃんは一体何者なんだ?出来損ない、とたしか言っていたが」
黒い先輩が疑問を話します。
「出来損ないです。一族の恥です。ただの保険、です。それ以上、それ以下でもないのですが……聞きたいですか?」
「むー、むっむむ、むっむむむむー!」
むーむー言っている妹様の腹に足を一撃。
ノイズキャンセル、です。
静かになしました。
自身が攻撃される仕組みを理解したのかもしれません。
ただ、フクロウさんのような鋭い眼光で私を睨んでいます。
『この野郎、戻ったら覚えてろ!』
そんな言葉を言いたいように思えます。
妹様が、あのお屋敷の床を踏むことはあるのでしょうか。
私には疑問でしたが。
「いや、別に細かい事はいい。ただ、色々と気になってな」
黒い先輩は、私と妹様を見比べます。
じっくりと、
ねっとりと。
「例えば、着ている服だ。お前の方が、そいつのよりボロっちい。出来損ないが何故そんな良い服を着て、メインの娘がボロを着ている?何故だ、普通は逆だろ?」
「普通は、そうかもしれませんね。ただ、私は生憎外の世界に詳しくありません。本の知識、窓がから覗く景色がせいぜいです。なので、お父様の言葉をお借りします」
嘘と真実を織り交ぜます。
混ぜ込みます。
紅茶にミルクを入れるように。
混ぜてしまえば、分かりません。
言葉は、
化学変化もしなければ、
そのまま宙に残ることもないです。
混ざり、虚空に消えてしまう。
残るのは、人の記憶。
誤認と誤解、錯覚が舞い踊る迷いの森。
「領主の一族たるもの、民衆の心を理解する必要がある。金持ちも、貧民も。兄は上流、貴様は下流の気持ちを理解せよ。そうすることで、両者の意見に理解を示すことができる。よりマーテルロ家を盤石にすることができるーーということらしいです」
これも半部嘘です。
お父様は貧民のことは気にしません。
理解する必要もない、行動原理、仕組みさえ知っていれば問題ないと。
「なるほどねぇ、やっぱり偉い人が考えることはわからねぇ」
じゃあ、次と黒い先輩は続けます。
「部屋のレベルもそういうことか?お前が書庫みたいな小汚い部屋、こいつがぬいぐるみだらけの可愛らしい部屋ってのも、その気持ちの問題か?」
「いえ、それは少し違いますね。ただの誘拐対策です。普通、2人も奪う誘拐犯はいませんからね。人質が増えればリスクもコストもかさみます。だから、より効果的な1人を選ぶ。父親にとって価値があるものを。交渉カードに適したものを」
「違いねぇ。今回のパターンは俺の経験の中でも初めてだ」
黒い先輩は、苦笑します。
私は、笑いません。
笑顔を振りまく必要はないのですから。
とりあえずは一安心です。
これで落ち着いて事に当たれます。
勝利条件達成に向けて動くことができます。
「このお嬢ちゃんは一体何者なんだ?出来損ない、とたしか言っていたが」
黒い先輩が疑問を話します。
「出来損ないです。一族の恥です。ただの保険、です。それ以上、それ以下でもないのですが……聞きたいですか?」
「むー、むっむむ、むっむむむむー!」
むーむー言っている妹様の腹に足を一撃。
ノイズキャンセル、です。
静かになしました。
自身が攻撃される仕組みを理解したのかもしれません。
ただ、フクロウさんのような鋭い眼光で私を睨んでいます。
『この野郎、戻ったら覚えてろ!』
そんな言葉を言いたいように思えます。
妹様が、あのお屋敷の床を踏むことはあるのでしょうか。
私には疑問でしたが。
「いや、別に細かい事はいい。ただ、色々と気になってな」
黒い先輩は、私と妹様を見比べます。
じっくりと、
ねっとりと。
「例えば、着ている服だ。お前の方が、そいつのよりボロっちい。出来損ないが何故そんな良い服を着て、メインの娘がボロを着ている?何故だ、普通は逆だろ?」
「普通は、そうかもしれませんね。ただ、私は生憎外の世界に詳しくありません。本の知識、窓がから覗く景色がせいぜいです。なので、お父様の言葉をお借りします」
嘘と真実を織り交ぜます。
混ぜ込みます。
紅茶にミルクを入れるように。
混ぜてしまえば、分かりません。
言葉は、
化学変化もしなければ、
そのまま宙に残ることもないです。
混ざり、虚空に消えてしまう。
残るのは、人の記憶。
誤認と誤解、錯覚が舞い踊る迷いの森。
「領主の一族たるもの、民衆の心を理解する必要がある。金持ちも、貧民も。兄は上流、貴様は下流の気持ちを理解せよ。そうすることで、両者の意見に理解を示すことができる。よりマーテルロ家を盤石にすることができるーーということらしいです」
これも半部嘘です。
お父様は貧民のことは気にしません。
理解する必要もない、行動原理、仕組みさえ知っていれば問題ないと。
「なるほどねぇ、やっぱり偉い人が考えることはわからねぇ」
じゃあ、次と黒い先輩は続けます。
「部屋のレベルもそういうことか?お前が書庫みたいな小汚い部屋、こいつがぬいぐるみだらけの可愛らしい部屋ってのも、その気持ちの問題か?」
「いえ、それは少し違いますね。ただの誘拐対策です。普通、2人も奪う誘拐犯はいませんからね。人質が増えればリスクもコストもかさみます。だから、より効果的な1人を選ぶ。父親にとって価値があるものを。交渉カードに適したものを」
「違いねぇ。今回のパターンは俺の経験の中でも初めてだ」
黒い先輩は、苦笑します。
私は、笑いません。
笑顔を振りまく必要はないのですから。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる