虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

40.裂いて、刺して。

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黒かった先輩さんに、簡単な嘘をついて私は作業に戻ります。
頂いた刃物を握り直し、作業再開です。

ただ、あれですね。
このまま妹様に『む』だけ喋らせるのも味気ないです。
勢い余って終了してしまうかもしれませんし。

……でも、欲張りはいけません。
それで、私の嘘がバレてしまっては本末転倒、というやつです。

「むむー、むむー、むむー」

このままにしておきましょう。
私は彼女の腕に刃物を刺したり、引いたりします。
傷一つなかった、もちもちとした綺麗な肌が徐々に朱に染まっていきます。

「むー、むっむ、むむむー」

お腹にもやりましょう。
服を捲り上げ、可愛いおへその近くに刃物で傷をつけていきます。

ゆったり、
じっくり。
深くはつけません。
血が滲む程度、痛みを感じる程度。

縦に、
横に、
斜めに。

……何か絵を描きたくなりますね。
でも、それはお遊びが過ぎるというものです。

「布をください。あと、入れ物も。血は乾けば大丈夫だと思いますが、直接触れないようにお願いします。万が一、ということもありますので」

黒かった先輩さんに、注意をしつつ布を催促します。
彼は従順に従い、機械的に動きました。

「痛い、ですか」

布を妹様にあてがいながら、私は彼女の耳元で言います。
黒かった先輩さんに気づかれないように、
囁くように言います。

「むむっ」

「何言ってるのか、分かりません」

ざくり、
刃物も刺します。

「むむーっ」

痛みのせいか、じたばたしてます。
目もぎょろぎょろと動いています。
大変そうです。
辛そうです。
私もきっと、こんな感じだったのでしょうか。

「あまり動かないでください。致命傷になりますよ」

失血死してもらっては困ります。
もう少し、
いやもっと、
この時間と感覚を味わってもらわなければ。

あぁ、火とか調味料とかあれば良かったです。
そうすれば、妹様の気持ちが、もっと分かるかもしれませんのに。
人の体で、芸術を作ろうとしていた、妹様の気持ちが。
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