虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

41.拘束解除

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一枚、
また一枚と赤い布が増えていきます。
妹様の血を吸った、
妹様印の匂い袋が量産されていきます。

「おい、一体何枚作るつもりだ?」

「あればあるほど良いので、沢山です」

私は作業を続けつつ、答えました。

「ただ、布も当分は大丈夫そうなので、とりあえずはそちら様がやるべきことはないですね。私1人で作業できますので、どこかでくつろいでいてください」

人質に有るまじき態度と言葉、とは思います。
だけれど、この異常な状態(私以外において、ですけれど)においては受け流されてしまいます。
違和感が、異常によって見えなくなります。

「安心してください。私は逃げも隠れもしません。私としても、お父様のところに戻るのは本意ではないので。戻ったら、どんなお仕置きをされるかわかったものではありませんし。ーー不安でしたら、扉に鍵でもかけておいてください」

これはまあ……本心ですね。
今やっている妹様への行為もそうですが、
誘拐なんてされた日には相当なことをされると思います。
お兄様でさえ、そうでしたから。

「分かったーーだが殺すなよ。必要最低限に留めてくれ。お前だって、本当は、本来は辛いはずなんだ。この特殊な状況で、お前はいつも以上におかしくなっている。それは自覚した方がいい。でないと、後悔することになる」

誘拐している側の言葉ではないがな、と黒かった先輩さんは締めくくりました。
そして、私と妹様を残し、扉を閉めて出ていきます。

呆れ果てる愚かさです。
どうして、人の言葉を簡単に信じてしまうのでしょう。
どうして、見張り1人も置こうとしないのでしょう。
まさか、これまでの私とのやりとりで『信頼関係』というものが構築できたと思ってしまったのでしょうか。
貴方も人の事は言えません。
普通にひよっ子だと思います。

「さて、2人きりになれましたね」

私は妹様に笑顔のようなものを向けます。
併せて、口の拘束を外します。
ある程度の外傷は負わせたので、そこまで騒ぐことはないでしょう。
私という存在に対しても、恐怖感は抱いているはずですし。
それに、いくら妹様でも、この状況におけるパワーバランスは理解できていると思います。
フォルテシア=マーテルロと、オルコット=マーテルロの立場。

叛逆と隷属。
命乞いと反抗。
どちらを選択するのが、自身にとって最適なのかくらいは。

「……一体、あんた、誰? てか、何で私がフォルテシアであんたがオルコットなの? オルコットは私だよ!」

憎しみと不安、そして疑問が混じった声。
あぁ、そうでしたね。
今の私はオルコット=マーテルロである前にオルコットでした。
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