虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

44.予想外

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世の中、予定通りにはいきません。
努力はします。
策も練ります。
けれど、所詮は子供の浅知恵。
いつも上手くいく、というはずがないのです。

だから、今回もーー

「早く、そいつから離れろっ!」

私の肩を掴み、黒い後輩さんは強引に妹様から引き剥がしにかかります。
借り受けた刃物は妹様の首元に残ったまま、
私の残りの握力では回収するのはいささか困難です、諦めましょう。

それに、目的は果たしました。
口封じと、
ちょっとした復讐。
自分の手で、
自分の力で。
妹様に、やってやりました。

少しばかりの達成感と、
身体を包む疲労感。
別段スッキリとかはありません。
よく復讐は虚しいだけといいますが、まあ、その通りなのでしょう。
これだけを人生の目的にしたら、
この程度のことを人生の目標にしたら、
きっと勿体ない。
今までの我慢が、
これまでの時間が、
無駄になる。

「ーーおい、お前、まさか……」

黒い後輩さんは、驚いたように妹様の死体に触れます。
ずたずたに、
ぼろぼろになった彼女を、
見て、
触れ、
また見て。
死んでいることを確認したようです。
状況的に、そこまで確認する必要もないと思いますが。

首に刃物が残っていて、
本人は指一本、どころか声も出さない。
ならば、必然的に、分かるはずですけど。

「何してんだよっ!」

黒い後輩さんは、激昂したように私に詰め寄ります。
この前の落ち着いた感じが嘘のようです。
首元を掴み、
私の顔を見つめます。
何故だか、震えていてます。
身体が、
唇が。

「何、勝手に殺してんだよっ!それよか、なんで君が家族を殺してんの?まだ、子供でしょ?いくら一族の恥とか、恨みとかあっても、君みたいな子が手を汚していい理由にはならないっ!武器を取っていい理由には、ならないっ!」

声も震えています。

「どうして?何で?どうして?」

ですが、怒っている理由はそこなのですか。
なるほど、この人はやはりひよっ子です。
どうしようもなく。

ただ、言葉とともに首を支点にブンブン私の身体を動かすのはやめて欲しいです。
少し痛いし、それ以上にーー

あ、やばっ

「え?その髪ーー」

ぱさり、と軽めの音と共に落下しました。
私の金の被り物が。

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