51 / 121
二章 誘拐と叛逆
49.人質の価値
しおりを挟む
「おらーーよっと!」
黒い先輩さんは掛け声とともに、妹様の右足を投擲しました。
先とは異なり、空中、それも鳥さん目掛けて。
右足はくるくると旋回し、複数の鳥さんを巻き込んで直撃。
見事な投擲技術です。
「重いし、血生臭いが、投げれなくはーーないな。残り弾数は少ないから節約していくが」
残る鳥さんの一群を眺めつつ、呟きます。
囮の左足と、
投擲の右足で幾分数は減りました。
だけれど、まだ『群』と呼称できるほどの数はいます。
それに、追手は鳥さんだけではありません。
地上部隊と、まだ直面はしていませんが本隊もいるはずです。
はてさて、どうやって逃げ切るのでしょうか。
「何だ、不安そうな顔だな」
「それは……まあ」
「安心しろ……とまでは言わないが、心配は不要だ」
窓的な部分から、外を覗きつつ彼は言います。
「地上の獣はさっきの拠点に釘付けだろう。足はあるのに本体が見つかってないからな。頭部が見つからない限り、探し続けるだろうよ。無駄に、無意味に」
妹様のパーツを置いていたのはそういうことですか。
確かに、人は足を切り落としただけでは死にません。
同様に、腕を切り落とされただけでも死にません。
流石に首を切断されれば死にますが。
妹様のーー私も含めてですが、その存在理由はマーテルロ家のため。
それを達成するためには、極論生きてさえすればいい。
手がなくても、
足がなくても、
愚かでも、
呪われていても、
大きな問題ではない。
取り戻す価値はある。
死んでいない限りは、
マーテルロの血が流れている限りは。
「こっちを追いかけている部隊も数に限りがある。囮のパーツで分散し、投擲で駆除していけば数は減る。鳥の武装は地上部隊のそれよりは攻撃的じゃない。このまま追跡され続けるのは不味いが、致命的じゃあねぇ。最悪には程遠い」
そう皮肉っぽく笑いかけます。
きっと、この手のピンチの経験が豊富なのでしょう。
今回のも、過去のピンチの一つと同列に扱っているのでしょう。
今まで大丈夫だった。
だから、今回もなんとかなる。
けっこうやばいけど、振り返ればどうということはなかった、過去の一つとして扱っているのでしょう。
ーーだけれど、現実は甘くないです。
「先輩……どうしましょう」
そんな言葉とともに、謎の箱が急停止します。
ああ、嫌な予感しかしませんね。
黒い先輩さんは掛け声とともに、妹様の右足を投擲しました。
先とは異なり、空中、それも鳥さん目掛けて。
右足はくるくると旋回し、複数の鳥さんを巻き込んで直撃。
見事な投擲技術です。
「重いし、血生臭いが、投げれなくはーーないな。残り弾数は少ないから節約していくが」
残る鳥さんの一群を眺めつつ、呟きます。
囮の左足と、
投擲の右足で幾分数は減りました。
だけれど、まだ『群』と呼称できるほどの数はいます。
それに、追手は鳥さんだけではありません。
地上部隊と、まだ直面はしていませんが本隊もいるはずです。
はてさて、どうやって逃げ切るのでしょうか。
「何だ、不安そうな顔だな」
「それは……まあ」
「安心しろ……とまでは言わないが、心配は不要だ」
窓的な部分から、外を覗きつつ彼は言います。
「地上の獣はさっきの拠点に釘付けだろう。足はあるのに本体が見つかってないからな。頭部が見つからない限り、探し続けるだろうよ。無駄に、無意味に」
妹様のパーツを置いていたのはそういうことですか。
確かに、人は足を切り落としただけでは死にません。
同様に、腕を切り落とされただけでも死にません。
流石に首を切断されれば死にますが。
妹様のーー私も含めてですが、その存在理由はマーテルロ家のため。
それを達成するためには、極論生きてさえすればいい。
手がなくても、
足がなくても、
愚かでも、
呪われていても、
大きな問題ではない。
取り戻す価値はある。
死んでいない限りは、
マーテルロの血が流れている限りは。
「こっちを追いかけている部隊も数に限りがある。囮のパーツで分散し、投擲で駆除していけば数は減る。鳥の武装は地上部隊のそれよりは攻撃的じゃない。このまま追跡され続けるのは不味いが、致命的じゃあねぇ。最悪には程遠い」
そう皮肉っぽく笑いかけます。
きっと、この手のピンチの経験が豊富なのでしょう。
今回のも、過去のピンチの一つと同列に扱っているのでしょう。
今まで大丈夫だった。
だから、今回もなんとかなる。
けっこうやばいけど、振り返ればどうということはなかった、過去の一つとして扱っているのでしょう。
ーーだけれど、現実は甘くないです。
「先輩……どうしましょう」
そんな言葉とともに、謎の箱が急停止します。
ああ、嫌な予感しかしませんね。
0
あなたにおすすめの小説
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる