虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

文字の大きさ
52 / 121
二章 誘拐と叛逆

50.強さの定義

しおりを挟む
強さとはなんでしょうか?
性能の良い武器を持つものでしょうか、
全てを薙ぎ払う筋力のことでしょうか、
その場を切り抜ける知恵のことでしょうか。

私は、どれでもないと思います。
強さとはーー

「俺たちが釘付にできたのは、囮だけだった、ということか」

隙間からでも分かる、圧倒的な数。
武装動物集団。
空中には、先ほどより多少減った鳥さんたち。
それに対して、視界を埋め尽くす程の、圧倒的物量。
最初に見た集団が可愛く見える程の、戦力差。

お猿さん、
狼さん、
虎さん、
黒豹さん、
鼠さん、
蛇さん、
その他にも、色々。
それぞれに武装し、
それぞれが敵意と害意を持って私たちを取り囲んでいます。

進む場所など、
動く場所などないくらいに、空間を占有する物量。
逃げる事は叶わず、
戦う気力は消え失せます。

これが、マーテルロ家。
7つの大勢力の一つ。

「おいおいおい、これは参ったな。流石に参った」

額に手を当て、可笑しそうに黒い先輩さんは笑います。
現実から目を背けるように。
考えるのを諦めるように。

「どうするんですか?轢き殺すにも、限度がありますよ!」

「この動物捕まえて、動物園でもやるか?」

「冗談言っている場合じゃないですよ!」

「けど、冗談言うくらいしかできることはないからな。後は命乞いの算段がせいぜいか。けどなぁ……」

ため息混じりに、彼は持っていた袋を見つめます。
その中には妹様の残りパーツが入っています。

「これが見つかったら、命乞いとかのレベルじゃあないからな」

「先輩、変なこと考えないでくださいよ」

「変なこと?そんなことは考えないさ、俺が考えているのは、いつだって俺のことだけだ」

「それを聞いて安心しました」

「安心するのは早いぜ。お前は決めないといけないからな、これから自分がどうするのか」

黒い先輩さんは、そう言って刃物を取り出します。

「作戦は失敗だ」

そのまま、自身の首筋に当てて、

「レオリーゼ。お前は好きに生きろ。いや、別に好きに死んでもいいけどな」

「先輩?」

彼は苦笑して、刃物を動かします。

「あ、俺が言うのもどうかと思うが」

肉が裂け、
血が噴き出る。

「嬢ちゃん、幸せにな」

と、命が終わるその時に、事もなげに言いました。
それが、名前も知らない黒い先輩さんの最後でした。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです

との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。 白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・  沈黙を続けていたルカが、 「新しく商会を作って、その先は?」 ーーーーーー 題名 少し改変しました

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?

ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」  華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。  目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。  ──あら、デジャヴ? 「……なるほど」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

処理中です...