虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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二章 誘拐と叛逆

51.殺意

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「先輩、先輩ーー先輩っ!」

レオリーゼさんは、黒い先輩さんに駆け寄り、生き絶えた体を揺さぶります。

「何死んでるんですか!私を置いて、勝手に!」

けれど、黒い先輩さんは動きません。

「この状況でどうしろと?好きに生きろとか、好きに死ねとか、アドバイスが雑過ぎなんですよ!」

裂かれた首から血だけが流れます。

「なら、好きにやってやりますーー」

たらたらと。

「お前が、お前がいけないんだ」

ダラダラと。

「黒髪の、悪魔ーー」

彼女は私の首を掴み、

「やはり呪われている。お前なんかに関わったから、先輩は死んだんだ。だからせめて、お前だけは殺す、確実に」

明確な殺意。
お兄様の嗜虐的な暴力とも
お父様の教育的な指導とも
妹様の芸術的な行動とも違う、

ただ殺すための動作。

「死ね」

呼吸が苦しいです。
意識、が、遠のき……

「死ね」

これは、本当に、不味い、です……
これ、で、お終い、でしょう、か……
嫌な、人生、でした、ね……

「死ねーー」

最後、まで、
誰か、に、
恨ま、れて、
疎まれ、て、
嫌われ、てーー

「違うな。死ぬのは貴様だよ」

短く言い放たれた言葉。
それは周囲を囲む、人語を解さない獣さんたちではなく、
当然、私に殺意を込めているレオリーゼさんでもなくーー

「とは言っても、まだ死なせんがな。貴様如き平民が、我がマーテルロ家に反逆するとは、愚の極致。だが、その動機と協力者の存在は気になる」

私の、お父様でした。
手にする細身の剣が彼女の胸を貫いています。

「お前は……マーテルロのっ」

「黙れ、貴様如きと話す言葉など、持ち合わせていない」

剣を引き抜き、持ち手の部分で彼女の額を殴打。
手慣れた動き。
短い嗚咽とともにレオリーゼさんは気を失い、倒れ込みます。

「久しぶりだな、我が娘よ。初めての家出の感想はどうだったかな?」

お父様は、倒れ伏す私に言います。
笑顔で、どこか満足そうに。


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