虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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三章 領主と領民

55.何て日でしょう

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「お父様、あの、その……」

お父様に手を引かれ、私フォルテシアは屋敷の廊下を歩いています。
強引ではありますが、昔のように簀巻きにして引き摺られること思えば、かなり平和的エスコートです。

ちなみに、呪いの証たる黒髪は金色の被り物で覆い隠されています。
これまで使っていた愛用のものではなく、お父様からの贈り物です。
いや、贈り物というよりは支給品、という表現の方が正しい気がします。
有無を言わさず、強引に装着されたので。
まあ、これに関しては嫌いでないので別に構わないのですけど。
痛くないですし。
乗っかっているのではなく、何か仕掛けのようなものでがっちりと固定されているので、多少乱暴なことをされても大丈夫です。
きっと、誰かにバレてしまうことはないでしょう。
私が自身の意思でバラさない限りは。

状況を振り返りつつ、歩いているとお父様は見慣れない大きな扉の前で立ち止まります。
私がお屋敷内で入った記憶のない場所です。
お父様は迷いなく、その扉を開けます。

そこにはお兄様と数人の使用人の方がいました。
見慣れない方ばかりです。
たぶん、お兄様やお父様の専属の方々でしょう。
私が見知っているのは、妹様の専属の方々とせいぜい料理人のチャンドラさんぐらいのものです。

「な、フォルテシア?どうしてお前が」

お兄様は、私を視界に捉えると目を丸くして驚いています。
お兄様はお食事中のようです。
豪華なお料理の数々が机に沢山並んでいます。
本で見たことしかない、精巧かつ高級感ある品々。
私の食事内容とは違うのだろうとは思っていましたが、これ程の差異があるとは驚きです。

「今日からこいつはフォルテシアではない」

私の驚きは続きます。
お父様はいきなり私の存在を全否定したのですから。
慣れているので、特段傷つきはしませんけれど、改めて言われるとびっくりはします。

「オルコット=マーテルロとして扱う」

まだまだ続く私の驚き。
今日はなんて日なんでしょう!
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