虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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四章 呪いと反乱

81.朽ちたる王と次なる者

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一部は火傷のようにただれ、
一部は毒に侵されたように紫色に彩られ、
一部は淡黄色の膿のようなものが溢れています。

一つの病、一つの呪いでここまでの惨状になるのでしょうか?
複数の『それら』が重ね束ねて連なった、そんな現状に思えてありません。

お父様のこれまでの業、
マーテルロ家の繁栄のために虐げてきた罪、
それに対する罰……と言いたいところですが、その実誤りです。

だって、お父様以外の領民たちも同様の症状にかかっているのですから。
それはお金持ちの人も、貧しい人も関係なしに。
表にいる人も裏にいる人も区別なしに。
災害のように、この奇病あるいは呪いに侵されているのです。
このままでは、私が国を滅ぼすよりも先に、この謎の現象で滅ぼされてしまいそうです。
自分の意志とは関係なく、勝手に、自動的に目的が達成されるというのはとても、とても不本意です。
特に、今の私としては。
望む結果だけを、違う手段でいきなり手渡されるというのは、なんというか、不愉快なのです。
傲慢なことは、理解しているつもりですけれど。

「とうとうお父様まで流行病にかかってしまいました」

「そのようですね」

別思考を走らせている私にペントレイアさんはすすり泣くような声で言います。

「このような状態では、マーテルロ家を指揮することなど、困難です」

「そうでしょうね」

私は短く答えます。
当たり前のことを、当たり前のように。

「これから先、この国の統治はどうすればーー」

「別の人がやるしかないでしょうね」

「とは言っても、ダービット様亡き今他に誰がーー」

「ここに1人、いるじゃないですか」

ペントレイアさんの言葉を、私は遮って言います。
人差し指ピンと立て、ゆっくりと部屋の隅へと向きを変えます。

マーテルロ家の血を引き継ぎ、
性別が男の方で、
年齢的に最も後継者としての可能性が高い人。

「お兄様、泣いている場合じゃありませんよ」

それは、私のお兄様。
アデル=マーテルロ。

才覚もありません。
知恵もありません。
向上心も小さいです。
器はもっと小さいです。
それでも、生まれた立場はご立派なのです。
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