虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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四章 呪いと反乱

96.お兄様がーー

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「オルコット様、どちらにいらしたんですか?」

「いえ、少しお散歩に」

「こんな大変で危ない時にお散歩だなんて。自身のお立場と状況を考えてください」

作業を終えて屋敷に戻ると、なんだかざわざわとしていました。
不穏な雰囲気です。
この通り、ペントレイアさんにも小言を言われてしまいした。
まあ、気にはしませんけれど。

「何かあったのですか?」

「それが、アデル様が……」

「お兄様が、どうかされたのですか?」

私の言葉に、ペントレイアさんは一呼吸置いて答えてくれました。
そこには、戸惑いと心苦しさのような何かが見て取れました。

「例の病に、感染してしまいました」

「そうですか。それはそれは面白いかわいそうなことに」

「オルコット様?」

失礼しました。
言葉と本心が入れ替わっていたのかもしれません。
あるいは、滲み出たのかもしれません。

あの病、とうとうお兄様にもたどり着きましたか。
まあ、あの人はお父様の近くにいたでしょうから、当然と言えば当然の結果ですね。
風下の方角に感染者が多いこと、
動物さんに近しい者に感染者が多いこと。
その事実を把握していれば、そんな愚行はしないでしょうに。
強制でもされれば、別でしょうけれど。

でも、いささか早い気もします。
ひょっとしたら、既に感染していたのかもしれません。
たまたま、このタイミングで症状が表面化したというだけで。

さてさて、こうなると今後のマーテルロ家はどうなるのでしょうか。

「そういえば、この前のお話はどうなったのでしょうか?」

「お話というのは?」

「お父様の後を、誰が継ぐのか。これからのマーテルロ家を誰が統治するのか、そういうお話です。この前は途中退席してしまったので、お兄様とペントレイアさんの相談の結果がどうなったのか気になっていて」

「それは、その……」

「でも、今となっては聞く必要はないのかもしれませんね」

私はゆったりと、ゆっくりと彼に近づいて。

「………………ふっ」

吐息を悪戯っぽくふりかけて、

「お兄様はもう外に出られる体ではないのでしょうから」

と、囁くように言ってみました。
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