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終章
112.不在の神への祈り
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「やめて、ください」
私は言いました。
聞き届けられることはないだろうと、
言うだけ無駄だと理解はしていましたが。
痛みに耐え、声を振り絞りました。
「ん?何か言ったか?」
どすん、
腹部に躊躇いもなく蹴りを入れられます。
「……っかっはあ」
意味を成さない言葉の羅列が口から溢れます。
「なんだ?お兄様と肌を交えるのは嫌かぁ?」
私の黒髪を持ち手に、強引に眼前に引っ張られます。
醜く、歪んだ笑顔が視界にうつります。
この状況、お兄様も笑っていられる状況ではないと思うのですが。
私を犯している暇など、本来はないはずなのですが。
ただーー
「今や領主同然の俺を拒むのか?領主の言葉に意見するのか?あぁ?」
お兄様は、お父様とペントレイアさんが戦闘不能であることにより、事実上マーテルロの頂点の存在。
その事実で酔ってしまって、正確な状況判断ができる状態ではないようです。
……まあ、元より愚か者なので、それを抜きにしたところで、
「私なんて、食べても、美味しく、ないです、よ」
「美味いかどうかは、俺が決める。そうだ、俺が決める。何もかも、俺が決められるんだ、自分の意思、俺の意思でーーふっ、ふふっ、はははは」
狂ったように笑うお兄様。
本当に、
かつ完全に狂ってしまったのかもしれません。
言語による説得も不可。
戦闘による制圧も不可。
となると、もう私にできることは何もありません。
昔のように、耐えることぐらい。
「どうした?怖いのかぁ?」
「神さまにでも、助けてくれるように祈るんだな。ーーまあ、お前を助ける神なんて、いるわけがないが」
それもそうです。
神さま含め、私をなにも助けない。
だから私はこう成るしかなかった。
成り果てるしか、なかった。
だけど、どうせこれで最後なら。
「ーー誰か、助け、てっ!」
もう一度、何かを信じてみるのもいいかもしれない。
気紛れに、
魔が差して。
適当な理由をつけて、私は願ったのです。
適当な理由をつけて、私は祈ったのです。
私は言いました。
聞き届けられることはないだろうと、
言うだけ無駄だと理解はしていましたが。
痛みに耐え、声を振り絞りました。
「ん?何か言ったか?」
どすん、
腹部に躊躇いもなく蹴りを入れられます。
「……っかっはあ」
意味を成さない言葉の羅列が口から溢れます。
「なんだ?お兄様と肌を交えるのは嫌かぁ?」
私の黒髪を持ち手に、強引に眼前に引っ張られます。
醜く、歪んだ笑顔が視界にうつります。
この状況、お兄様も笑っていられる状況ではないと思うのですが。
私を犯している暇など、本来はないはずなのですが。
ただーー
「今や領主同然の俺を拒むのか?領主の言葉に意見するのか?あぁ?」
お兄様は、お父様とペントレイアさんが戦闘不能であることにより、事実上マーテルロの頂点の存在。
その事実で酔ってしまって、正確な状況判断ができる状態ではないようです。
……まあ、元より愚か者なので、それを抜きにしたところで、
「私なんて、食べても、美味しく、ないです、よ」
「美味いかどうかは、俺が決める。そうだ、俺が決める。何もかも、俺が決められるんだ、自分の意思、俺の意思でーーふっ、ふふっ、はははは」
狂ったように笑うお兄様。
本当に、
かつ完全に狂ってしまったのかもしれません。
言語による説得も不可。
戦闘による制圧も不可。
となると、もう私にできることは何もありません。
昔のように、耐えることぐらい。
「どうした?怖いのかぁ?」
「神さまにでも、助けてくれるように祈るんだな。ーーまあ、お前を助ける神なんて、いるわけがないが」
それもそうです。
神さま含め、私をなにも助けない。
だから私はこう成るしかなかった。
成り果てるしか、なかった。
だけど、どうせこれで最後なら。
「ーー誰か、助け、てっ!」
もう一度、何かを信じてみるのもいいかもしれない。
気紛れに、
魔が差して。
適当な理由をつけて、私は願ったのです。
適当な理由をつけて、私は祈ったのです。
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