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1章:十八禁BLゲームの中に迷い込みました!
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しおりを挟む「それでは、書庫に戻ったら少しスキルの説明をしましょう、ざっくりとですが」
「お願いします」
窓を閉めて、リーフェと鳥小屋を後にした。それから書庫に戻って、彼女が一冊の本を取り出しておれに渡す。絵本のようだ。表紙は可愛らしいイラストで、タイトルがざっくりスキルと書かれていて、大丈夫かこの本と思ってしまったのは内緒だ。
「大丈夫ですよ、この国の貴族の子ならこの本でスキルを学びますから」
おれの心の中を読んだのか、表情から読み取ったのかはわからないけれど、眉を下げて肩をすくめるリーフェに「そっか」とだけ返す。
では早速読み始めよう。パラパラとページを捲って読み進めていく。うーん、確かに子ども向け。……あれ、また文字を読むスピードが早くなってないか? 文字に慣れてきたんだろうか。
一通り読んで、パタンと絵本を閉じる。それからリーフェへ顔を向ける。
「どうでした?」
「……うん、ざっくりとしてた。でもなんとなくわかったよ。スキルは主に攻撃系、防御系、それらに該当しないものと三つあることが。あ、でも……スキルってどうやって調べるの?」
「教会で調べてもらえますよ。ちなみに私のスキルは防御系、鋼の檻、です」
「鋼の檻?」
「はい、こうやって――……」
リーフェが手のひらを上にすると淡い光が集まって、そこから小さなものが出てきた。鋼で出来た檻のようだ。
「もっと大きいものも出せますけれど、それはまたの機会に」
「すごいね! なにもないところから鋼の檻!」
パチパチと拍手をするとリーフェは照れたように頬を染める。スキルってこんなことも出来るんだ、すごい!
目をキラキラと輝かせたおれに、彼女は優しい口調で言葉を発する。
「ちなみにルードさまは攻撃系のスキルを持っています。ヒビキさまは……今度調べてみますか?」
「んー……、ルードに聞いてからにするよ」
攻撃系のスキルってどんなのだろう。頼めば見せてくれるかな? 今度頼んでみよう。そして、この世界の住人じゃないおれはスキルを持っているんだろうか。……持っていないような気はするけれど、ちょっと気になる。
「攻撃系、防御系、最後のひとつはなにに属するのかな?」
「敢えて言うのならば――そうですね、補助系でしょうか」
「補助?」
「ええ、例えばリアの『刺繍』スキルは、攻撃でも防御でもありません。ですが、その刺繍に魔力を込めることでより強い護符を作ることだって出来るんです」
「ああ、なるほど。それは確かに補助だね」
RPGだと炎の威力を抑えたり氷の威力を抑えたりするヤツ。それにしても護符って作れるのか。……作り方を今度聞いてみよう。
「スキルについては未だにわからないことが多いので、研究者たちが熱心に調べているんですよ」
「へえ……」
どこの世界にもそう言う研究者がいるんだな……。どんな人たちが調べているんだろう。やはり白衣を着て調べ物をしている? 研究者のイメージが白衣と眼鏡なんだよなぁ。偏見もいいとこだけど。
「教会も研究所も王都にありますので、行こうと思えば行けますね」
「屋敷から出るなって言われてるよ、おれ」
「……ルードさまって結構過保護だったんですね……」
ワープポイントがあるのにルードはそれを言わなかった。確実におれをここに残すためだろう。別に逃げはしないんだけどなぁ。行くあてもないのに知らない世界をウロウロしたくない。
感心したように呟くリーフェに眉を下げて同意のうなずきを返す。
「だけど、今度街に連れて行って欲しいってルードに頼んであるんだ」
「まぁ、デートですね!」
今度はリーフェが目をキラキラと輝かせた。
……デート?
いや、待て。ただ男同士で出掛けるのがデート? おれが頼んだ時ルードはどんなことを言っていたっけ。
『準備があるから少し遅くなるかもしれないが』
確かそんなことを言っていた。街に行く準備ってどんな準備なんだ。変装でもするつもりなんだろうか……。
「そんなに難しく考えなくてもいいんですよ」
「……おれってそんなに顔に出る……?」
リーフェはただ無言で微笑んだ。……肯定と取るぞ。はぁ、とひとつ溜息を吐いてから、スキルの他にも聞きたかったことを思い出して彼女に尋ねる。
「魔法の種類ってどんなものがあるの?」
「生活魔法、攻撃魔法、防御魔法、補助魔法、治癒魔法の五つです」
「防御魔法と補助魔法の区別はどうやって?」
「防御魔法は自分を守るのです。なので、対象は自分ひとりだけ。補助魔法は複数人に掛けられます」
「なるほど……?」
防御と補助は一緒じゃダメだったのか? なんて思いつつも、リーフェの説明を聞いて自分なりに魔法のイメージが出来た。
「治癒魔法はやっぱり神官が使えるの?」
「……それが……」
リーフェは困ったように微笑む。そして、どう伝えようかと悩んでいるみたいだった。一分くらいは唸っていたかもしれない。だけど、ばっと勢い良く顔を上げて人差し指を立てた。
「基本的に治癒魔法は誰でも使えるのです!」
「…………はい?」
「ですが、個人で使える治癒魔法は範囲が狭く、それを広げるために教会へ弟子入りする人も……」
「……え、ちょっと待って。誰でも使える? こういう系統って選ばれた人しか使えないんじゃないの!?」
治癒魔法が誰でも使えるってどういうこと!? 白魔導師とか神官とか医者とかが使える魔法じゃないの!? 光属性とか聖属性の人が使うイメージが強いんだけど……この世界だと全然違うってこと?
「選ばれた人しか使えないとなると……、攻撃魔法のほうが多いかもしれません。それぞれの属性の精霊に好かれないといけないので……」
「治癒魔法は?」
「治癒を司る精霊は優しいのです。だから、誰でも使えると言う話ですね」
「……あ、そ、そうなんだ……」
ダメだ混乱してきたぞ。深く考えちゃいけないことなのか、これは?
ああ、だけど怪我した時に使えるのは便利かもしれない。絆創膏とかなさそうだし。文明レベルがさっぱりわからないな、この世界。外に出ていないからかもしれないけれど。
……やっぱり街に行く準備っていうのが気になる。ルードはなにを用意するつもりなのだろう。下着を用意してくれるならありがたいけど。股間がスースーしたまま行くのもちょっと……アレだし、さ。
それに貴重な彼の休みをおれの街観光で潰していいんだろうか。むしろそっちのほうが不安になってきた。休みたいんじゃないかなぁって。いや、ルードのことだからちゃんと街に連れて行ってくれはするだろうけど!
「もっと細かく書いたスキルの本もありますけれど、読みますか?」
「……今は遠慮しとく。あ、最初に読んだ絵本ってどの辺にあるかな? あと、冒険録も読んでみたい」
「かしこまりました、少々お待ちください」
リーフェは本棚に向かうとあっという間に本を抜き取って戻ってきた。
……ここの屋敷の人たちは本の位置を全部暗記しているんだろうか……。
本を受け取りながらそんなことを考えた。
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