165 / 222
4章:十八禁BLゲームの中に迷い込んだら、最愛の人が出来ました!
53
しおりを挟む美味しい昼食を食べて、寝室に向かう。ニコロも一緒にミサンガを編むみたい。リアも誘ってみたら「行きます!」と笑顔で言ってくれた。なので三人でもくもくとミサンガを編んでから中庭へと向かった。
ちなみにリアの作ったミサンガはとても複雑な作りだった……。楽しそうに編む姿を見て、教えて良かったなぁと思った。中庭にはリアも一緒に来てくれた。ニコロはもちろん一緒だ。
「あ、ここも暖かいんだ……」
中庭に到着して思わず呟く。おれがそう言うのが意外だったのか、ニコロとリアはじっとおれを見た。な、なんでこっちを見るんだろう……? そう思ってふたりを見ると、「気付いていませんでしたか?」とリアが首を傾げた。
「てっきり屋敷内だけだと思っていたからさ……」
「範囲がこの屋敷全て、ですので、門を出るまでとても快適な気温や湿度ですよ」
「マジか、魔石の屋敷すごい……」
ニコロとリアは顔を見合わせて、それからふたりして肩をすくめて「そうですね」と同時に言った。
まぁ、それはともかく、この中庭をぐるりと一周してみようっと。花壇に囲まれて綺麗だ。色んな種類の花が咲いている。植物は詳しくないからどれがどの花かはわからないけれど、こうやって見回るのは結構好きだ。
そんな感じで中庭を見回り、のんびりと散歩を楽しんでいるとリアが「そろそろ仕事に戻りますね」と行ってしまった。休憩中だったのか、付き合わせちゃったかな、とも思ったけど、彼女はぽんぽんとおれの頭を撫でてくれたから、とりあえず気にしないでおこう。
ぐるぐると中庭を歩いていると、ルードの姿が見えた。今日は早いみたい。
「ヒビキ、今時間良いかい?」
「お帰りなさい、ルード。大丈夫ですよ!」
「では、ちょっと付き合ってくれないか。宝石店から連絡があった」
指輪頼んだってついこの前じゃなかったっけ……? おれが目を瞬かせるとルードはおれに手を差し出す。その手を取っておれとルードが歩き出すと、「俺はどうしますか?」とニコロが聞いてきた。ルードは足を止めて考えるように視線を巡らせると、ニコロに向けて「今日はいい。あとは好きにしてくれ」と言った。
「かしこまりました、気を付けて行ってきてくださいねー」
「ああ、行ってくる」
「行ってきまーす」
ルードはワクワクしているのかちょっと早足だ。でもね、ルード、おれとルードの身長差で歩くのが早いと、おれは小走りになるんだ。くいっとルードの手を引っ張ると、それに気付いて歩くスピードを緩めてくれた。
「すまない、気が急いて」
「い、いえ……大丈夫です。でも、宝石店は逃げませんし、ゆっくり行きませんか?」
「……そうだな」
そう言ってルードは柔らかく微笑んだ。おれの歩調に合わせてくれて、本当にゆっくりとこの場所を散歩するかのように歩いていく。歩いて一時間もしないうちに宝石店についた。案外近いのか、近道があるのかはわからないけれど、ルードは迷わず宝石店に向かって行ったから、場所をきちんと把握できているんだろう。
ちなみにおれは地図を見ても迷うから、場所を覚えるまで姉と一緒に何度もその場所に行ったなぁ……。姉からは「なんでそんなに迷うの?」と呆れられた記憶がある。
「指輪がもう出来たんですか?」
「魔石に魔力を込めるだけ。どんな色になるのか楽しみだ」
ああ、魔石の用意が出来たのか。どんな色になるか――か。本当にどんな色になるんだろう。ちょっと楽しみになって来た。宝石店の中に入ると、すぐに店員さんがやって来て奥の部屋へと案内してくれた。
「お待ちしておりました。こちらが魔石となります」
そう言って取り出したのは小さな黒い魔石。これに魔力を込めれば良いのかな? とじっと見つめる。
「手を翳して魔力を込めていただくと、色が変化します」
おれとルードはそれぞれの魔石に手を翳して魔力を込める。一瞬部屋に光が満ちてすぐに消えた。見ると、魔石の色が本当に変わっていた。成功した……のかな? 翳していた手を引いてじっくりと見てみる。ルードのは彼の瞳と同じ空色になり、おれのは……ころころ色が変わる面白い魔石になった。……この色たち、見覚えあるぞ。おれに力を貸してくれる精霊さんの色だ。
「ヒビキらしい」
「ルードらしいですね」
それぞれの石を見た感想。同じようなことを思っていてふたりで笑い合ってしまった。それを微笑ましそうに見守る店員さん。
「私が魔力を込めたものをヒビキに、ヒビキのものを私の指輪に仕上げて欲しい」
「かしこまりました。職人と掛け合い全力を尽くします」
「ああ。頼む。……それでは、ヒビキ、行こうか」
「あ、はい!」
店員さんに「ありがとうございました」と見送られておれらは宝石店を後にした。まさかあんな風になるとは思わなかった。七色に光る指輪を身につけるのかなルード。
「ヒビキはやはり愛されているな、精霊に」
「え?」
「普通なら私のように一色だけ、その者が得意な魔法に近い色が出る」
私の込めた石は水色だったろう? と微笑むルードに、さっきの魔石を思い出しておれはルードの腕に自分の腕を絡めた。――とても綺麗な、透き通るような空色。魔法の属性というよりは、あれはルードの心の色なんじゃないかと思うくらい、清く澄んでいた。
「良く知っていますね」
「本に書いてあった」
……そう言えばルードは読書家だった。魔石についての本を読んだのかな。おれ、まだあの屋敷の本も全部読めていないんだよなぁ……。
「あっ! そう言えばルード、今度の休みはいつですか?」
「休み? どこかに出掛けたくなった? もぎ取ってこようか?」
「いえ、ルードの都合に合わせるので……。その、あの部屋に家具が欲しくて。一緒に見に行きたいなぁと思って……」
「……それは……、デートのお誘い、と見ても良いのかな?」
いたずらっぽく笑うルードに、おれは目を数回瞬かせて、それから満面の笑みを浮かべて「もちろんです」と答えた。
ルードは嬉しそうに目元を細めておれを見て、それから上機嫌そうに口端を上げた。……おれがどこかに行きたいって言うのが珍しいからだろうか。
「じゃあ、すぐに休みをもぎ取って来るから」
「もぎ取らなくても良いので、仕事は優先してください……」
多分、あの中で一番大変なのはヘクターさんなんじゃないかなぁとこっそり思う。おれがそう言うとちょっと残念そうに肩を落とすルード。そう言うところ、可愛いよなぁ。
「それに、日にちがわかればその日が楽しみに出来ますし」
こういうのもデートの醍醐味なんじゃないかって思うけど、そもそもルード以外の恋人が居たことがないから全て想像だ。でも、絶対ワクワクするしドキドキすると思う。だって、誕生日の時がそうだったから。
あの一週間の休みの日、王都観光出来るのも楽しみだったけれど……一番はルードをずっと独り占めできるのが嬉しかったのかもしれない。……おれって思っていたより独占欲あったのかな。
「……なるほど。では、明後日にしよう。明日、明後日の分の書類まで片付けるから」
「え、大丈夫なんですか、それ……? 無理や無茶はしちゃダメですよ!」
「平気平気。ああ、でも……もしも体調が崩れたらヒビキに看病して欲しいな」
「そりゃおれで良ければしますけど……、看病レベルはかなり低いので覚悟していてくださいね……!」
元気なのが一番だけどさ。万が一ルードの体調が崩れたらちゃんと看病出来るように、リーフェたちに聞いたほうが良いのかもしれない……。
「とは言え、私はここ数年風邪のひとつも引いたことないんだけどね……」
「それは素晴らしいことなのでは……?」
なんで残念そうに言うんだろう……。髪の毛切った後は眠そうにしていただけだったもんなぁ……。具合が悪そうなルードの想像がつかない……。
7
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
魔王に転生したら幼馴染が勇者になって僕を倒しに来ました。
なつか
BL
ある日、目を開けると魔王になっていた。
この世界の魔王は必ずいつか勇者に倒されるらしい。でも、争いごとは嫌いだし、平和に暮らしたい!
そう思って魔界作りをがんばっていたのに、突然やってきた勇者にあっさりと敗北。
死ぬ直前に過去を思い出して、勇者が大好きだった幼馴染だったことに気が付いたけど、もうどうしようもない。
次、生まれ変わるとしたらもう魔王は嫌だな、と思いながら再び目を覚ますと、なぜかベッドにつながれていた――。
6話完結の短編です。前半は受けの魔王視点。後半は攻めの勇者視点。
性描写は最終話のみに入ります。
※注意
・攻めは過去に女性と関係を持っていますが、詳細な描写はありません。
・多少の流血表現があるため、「残酷な描写あり」タグを保険としてつけています。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる