193 / 222
web拍手再録(現代シリーズ)
拍手お礼SS クリスマス編(2019/12/23~2019/12/31)
しおりを挟む
~もしも迷い込んだのがヒビキではなくルードだったら~
異世界→日本
・クリスマス編
「クリスマスだから彼氏と出掛けてくるね。響希はルードと一緒に居てあげてね! あ、ケーキは買ってきてあるから、ちゃんと食べるんだよ!」
と、言い残して姉は嬉々として玄関から去っていった。残されたのは姉を見送るために玄関口まで来ていたおれと、リビングのこたつでぬくぬくとしているルードだけだ。
このルードという人は、姉の大好きなゲームからやってきたらしい。らしい、と言うのはおれが実際にそのゲームをやっていないのと、彼が日本語を完璧に話しているから違和感があんまり……いや、よく考えたら紺色の髪って確かにゲームキャラ……?
「ヒビキ、ヒビキ」
「はいはい、なんですかー?」
「この世界は素晴らしいな!」
リビングまで戻るとルードがおれをこたつに呼んだ。彼の視線はテレビに釘付けで、ニュースでクリスマスツリーのライトアップがされている場面だった。
ルードの世界にはクリスマスはないし、こうやってツリーにイルミネーションをすることもないらしいのでとても珍しいらしい。
「魔法がなくてもあのように輝けるとは……」
目をキラキラと輝かせて呟く彼に、おれはちょっとだけ口角を上げた。彼の世界がどんな世界なのかは知らないけれど、剣と魔法のファンタジーということは姉から聞いて知っている。……BLゲームということも聞いているけど、そこはまぁ、置いといて。
推しであるルードよりも現実世界の彼氏を選ぶあたり、姉は割りとドライなのかもしれない……?
「今日はクリスマスディナーなので、いつもよりちょっとご馳走ですよ~」
「いつもの食事も美味いと思うが?」
「姉に言ってください、泣いて喜びます」
海外に単身赴任することになった父に、生活面で不安だから一緒に行くと宣言してついていった母。その当時十八歳だった姉が大学に通いながらおれの面倒をみると言ってくれたので、前とあまり変わらない生活が出来ている。
そりゃもちろん、手伝えることはするけどさ。
「あとケーキもあるから食べるように、って」
「ケーキを食べる日なのか?」
「あー……、日本では恋人の日って感じですけどね。友達と騒いだりする日ってイメージもあるかな」
姉が作っていった料理を温めるためにキッチンに向かい、ルードの問いに答える。ルードは「ほう」と感心したように呟き、こたつから抜け出してきたと思うとおれの隣に立った。
「確かにご馳走だ」
ふっと微笑んで今日のメニューを眺める。ローストチキンにサラダ、パエリア、ビーフシチュー。食欲旺盛なおれには嬉しいボリュームたっぷりなメニューだ。
姉の趣味が料理だからか、こういう行事の時には豪勢なメニューになる。
「ルードはイルミネーション見てみたいですか?」
「ああ、とても綺麗だったからな」
「じゃあこれ食べたら腹ごなしがてら見に行きましょう」
おれがそう言うとルードは目を瞬かせて首を傾げた。その目はテレビを見ていた時よりもキラキラと輝いていて、ちょっと驚いた。それから力強くうなずくルードを見て、そんなにイルミネーションを見てみたかったのかと驚いた。
とりあえず食事をして、それからすぐに出掛けることになった。もちろん姉の作った料理はうまかった。ふたりで残さず食べたから、帰ってきた時きっと嬉しそうに笑うだろう。「そんなに美味しかったの?」って。
「あ。剣は持って行っちゃダメですよ!」
「……む。ああ、そうだったな……」
防寒具を着込んでいるとルードが剣を持ちそうになっていた。慌てて声を掛けると残念そうに剣を置いて大人しく姉が買ってきたコートを着て、どこのモデルですか? って聞きたくなるくらい似合っていた。流石だ、姉よ。
駅前のイルミネーションだったら近いし、まぁなんとかなるだろう。そう考えてルードを家から連れ出した。ずっと家の中にいるのもそろそろ飽きているだろうしさ。
家から十分もしないところにある駅では今年も凝ったイルミネーションをしていて、クリスマスツリーと大きな靴下、サンタさんとトナカイ、それからきっらきらに輝くツリーの星。見ごたえのあるイルミネーションだと思う。
それを見たルードは大きく目を見開いて、それからふっと微笑んだ。おれへと視線を向けると「すごく綺麗だ」と声を弾ませる。
「ヒビキ」
「はい?」
「この光景を見せてくれてありがとう。テレビで見るのとは全然違う」
「……気に入りましたか?」
「ああ、とても。だが冷えるな、家へ戻ろう。風邪をひいたら大変だ」
そう言って手を差し出すルードに、思わずその手を取ってしまったおれ。
……クリスマスだし、周りはカップルだらけだし、おれらのことなんて気にしないだろうし……、よく冷える日だというのにルードの手は温かったから、このままでもいいかなー、なんて思ったんだ。
ちなみにケーキは家についてから速攻で食べた。姉が今年のクリスマス、かなり力を入れていることがわかるくらい美味しいケーキで、ルード効果だと思うと弟としてちょっと複雑だったのは内緒だ。
異世界→日本
・クリスマス編
「クリスマスだから彼氏と出掛けてくるね。響希はルードと一緒に居てあげてね! あ、ケーキは買ってきてあるから、ちゃんと食べるんだよ!」
と、言い残して姉は嬉々として玄関から去っていった。残されたのは姉を見送るために玄関口まで来ていたおれと、リビングのこたつでぬくぬくとしているルードだけだ。
このルードという人は、姉の大好きなゲームからやってきたらしい。らしい、と言うのはおれが実際にそのゲームをやっていないのと、彼が日本語を完璧に話しているから違和感があんまり……いや、よく考えたら紺色の髪って確かにゲームキャラ……?
「ヒビキ、ヒビキ」
「はいはい、なんですかー?」
「この世界は素晴らしいな!」
リビングまで戻るとルードがおれをこたつに呼んだ。彼の視線はテレビに釘付けで、ニュースでクリスマスツリーのライトアップがされている場面だった。
ルードの世界にはクリスマスはないし、こうやってツリーにイルミネーションをすることもないらしいのでとても珍しいらしい。
「魔法がなくてもあのように輝けるとは……」
目をキラキラと輝かせて呟く彼に、おれはちょっとだけ口角を上げた。彼の世界がどんな世界なのかは知らないけれど、剣と魔法のファンタジーということは姉から聞いて知っている。……BLゲームということも聞いているけど、そこはまぁ、置いといて。
推しであるルードよりも現実世界の彼氏を選ぶあたり、姉は割りとドライなのかもしれない……?
「今日はクリスマスディナーなので、いつもよりちょっとご馳走ですよ~」
「いつもの食事も美味いと思うが?」
「姉に言ってください、泣いて喜びます」
海外に単身赴任することになった父に、生活面で不安だから一緒に行くと宣言してついていった母。その当時十八歳だった姉が大学に通いながらおれの面倒をみると言ってくれたので、前とあまり変わらない生活が出来ている。
そりゃもちろん、手伝えることはするけどさ。
「あとケーキもあるから食べるように、って」
「ケーキを食べる日なのか?」
「あー……、日本では恋人の日って感じですけどね。友達と騒いだりする日ってイメージもあるかな」
姉が作っていった料理を温めるためにキッチンに向かい、ルードの問いに答える。ルードは「ほう」と感心したように呟き、こたつから抜け出してきたと思うとおれの隣に立った。
「確かにご馳走だ」
ふっと微笑んで今日のメニューを眺める。ローストチキンにサラダ、パエリア、ビーフシチュー。食欲旺盛なおれには嬉しいボリュームたっぷりなメニューだ。
姉の趣味が料理だからか、こういう行事の時には豪勢なメニューになる。
「ルードはイルミネーション見てみたいですか?」
「ああ、とても綺麗だったからな」
「じゃあこれ食べたら腹ごなしがてら見に行きましょう」
おれがそう言うとルードは目を瞬かせて首を傾げた。その目はテレビを見ていた時よりもキラキラと輝いていて、ちょっと驚いた。それから力強くうなずくルードを見て、そんなにイルミネーションを見てみたかったのかと驚いた。
とりあえず食事をして、それからすぐに出掛けることになった。もちろん姉の作った料理はうまかった。ふたりで残さず食べたから、帰ってきた時きっと嬉しそうに笑うだろう。「そんなに美味しかったの?」って。
「あ。剣は持って行っちゃダメですよ!」
「……む。ああ、そうだったな……」
防寒具を着込んでいるとルードが剣を持ちそうになっていた。慌てて声を掛けると残念そうに剣を置いて大人しく姉が買ってきたコートを着て、どこのモデルですか? って聞きたくなるくらい似合っていた。流石だ、姉よ。
駅前のイルミネーションだったら近いし、まぁなんとかなるだろう。そう考えてルードを家から連れ出した。ずっと家の中にいるのもそろそろ飽きているだろうしさ。
家から十分もしないところにある駅では今年も凝ったイルミネーションをしていて、クリスマスツリーと大きな靴下、サンタさんとトナカイ、それからきっらきらに輝くツリーの星。見ごたえのあるイルミネーションだと思う。
それを見たルードは大きく目を見開いて、それからふっと微笑んだ。おれへと視線を向けると「すごく綺麗だ」と声を弾ませる。
「ヒビキ」
「はい?」
「この光景を見せてくれてありがとう。テレビで見るのとは全然違う」
「……気に入りましたか?」
「ああ、とても。だが冷えるな、家へ戻ろう。風邪をひいたら大変だ」
そう言って手を差し出すルードに、思わずその手を取ってしまったおれ。
……クリスマスだし、周りはカップルだらけだし、おれらのことなんて気にしないだろうし……、よく冷える日だというのにルードの手は温かったから、このままでもいいかなー、なんて思ったんだ。
ちなみにケーキは家についてから速攻で食べた。姉が今年のクリスマス、かなり力を入れていることがわかるくらい美味しいケーキで、ルード効果だと思うと弟としてちょっと複雑だったのは内緒だ。
6
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
魔王に転生したら幼馴染が勇者になって僕を倒しに来ました。
なつか
BL
ある日、目を開けると魔王になっていた。
この世界の魔王は必ずいつか勇者に倒されるらしい。でも、争いごとは嫌いだし、平和に暮らしたい!
そう思って魔界作りをがんばっていたのに、突然やってきた勇者にあっさりと敗北。
死ぬ直前に過去を思い出して、勇者が大好きだった幼馴染だったことに気が付いたけど、もうどうしようもない。
次、生まれ変わるとしたらもう魔王は嫌だな、と思いながら再び目を覚ますと、なぜかベッドにつながれていた――。
6話完結の短編です。前半は受けの魔王視点。後半は攻めの勇者視点。
性描写は最終話のみに入ります。
※注意
・攻めは過去に女性と関係を持っていますが、詳細な描写はありません。
・多少の流血表現があるため、「残酷な描写あり」タグを保険としてつけています。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる