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4章:十八禁BLゲームの中に迷い込んだら、最愛の人が出来ました!

愛する家族へ

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前略、保科ホシナ歌奏カナデさま



 メールに前略ってつけるの初めてだ。元気にしていますか、おれらは元気にしています。

 多分、これが最後のメールになると思う。八年も前の機種だから、もうガタがきていてさ。毎年満月の日に電話していたけど、メールに切り替えてもらったのは充電がなくなるスピードが半端なくて……すぐに溜まるんだけど、満月の日にしか使えないから……。

 メールならまだ大丈夫だと思ったんだけど、さすがにもうやばいみたい。打ってる最中に電池なくなり始めた!

 えっと、前のメールでどこまで話したっけ。ああ、そう。双子は無事に五歳になったよ。どっちも可愛くて、目の中に入れても痛くないってこういうことかっていつも思う。五年前に赤ちゃんを抱っこするのすっごく怖がっていたルードも、今じゃすっかり抱っこのプロになったよ。

 ルードパパ~って甘える子たちの可愛いこと可愛いこと。骨抜きってああいうことを言うんだなぁって思った。

 そうそう、ルードが正式に聖騎士団副団長に昇格したよ。逃げ回っていたんだけど、ついに捕まっちゃったみたい。おれも気付けば臨時騎士団員になっちゃったし。精霊の祝福のおかげで職には困らないから、このスキルで良かったなぁって思うんだ。

 普段は刺繍とかミサンガ作りしてるけど、要望があれば援助しに行くんだ。ブースターやヒーラーとして。あ、もちろん子どもたちの面倒も見てるよ?

 屋敷の人たちが率先して双子の面倒を見てくれるけど……。可愛いんだって。ルードとおれの子だから、すっごく。ふふ、もうひとり欲しいねってルードと話しているから、そのうち増えるかも。

 サディアスさんとニコロのことは話したっけ?

 八年前、おれとルードの爵位と、ニコロの『自由騎士』の称号を授かる式典の翌日に籍入れてね、まさか結婚して一年後に子どもが出来るとは思わなかったよ、おれ。サディアスさんもニコロもすっごい幸せそうでさ、もっと早くくっつけば良かったのにって思った。……それはまぁ、置いといて。

 リーフェとシャノンさんのところにも六年前に子どもが出来てね、すっかりリーフェが子煩悩になったよ。みんなうちの子たちと遊んでくれるから助かってる。

 あ、シリウスさんとアデルは国を出て旅を楽しむんだって。ハーレムメンバーは解散させちゃったみたい。なんでだと思う?

 平等に愛せなくなったから、だってさ。アデル、シリウスさんを選んだみたい。シリウスさん泣いて喜んでた。……魔王も人間だもんね。



 ……きっと、これが最後になると思うから、ちゃんと伝えなきゃって思ったんだ。

 おれがいま、どれくらい幸せなのか。色んなことがあったけど、好きな人ができて、恋人になって、家族になって……溢れるほどの幸福を感じていること。

 それはきっと、父さんや母さん、姉ちゃんがおれを愛してくれたから。

 両親に伝えて欲しい。おれを産んでくれてありがとう、愛してくれてありがとうって。なんでか姉ちゃんのメアドにしか送れないからさ、お願いするね。

 姉ちゃん、おれのことを心配してくれてありがとう。愛してくれてありがとう。姉ちゃんたちに愛されていたから、おれはこの世界で愛を返せたんだと思う。おれも、みんなのこと愛してる。

 この世界で愛する人に出会えて、家族になれたことを誇りに思うよ。だからどうか、姉ちゃんたちにも幸せになって欲しい。それが、おれの願い。

 最後になるけど、写真撮ったから送ってみるね。うまく添付されると良いんだけど。



 ――もしも、もしも生まれ変わるのなら、おれ、また父さんと母さんの子になって、姉ちゃんの弟になりたいなぁって言ったら引く?

 でもね、本心だよ。その時は、ルードも一緒に、最初から同じ世界で出会いたいなぁ。なんて、最後に惚気!

 バイバイ、姉ちゃん。おれは、この世界でルードと一緒に最期まで生き抜くよ。愛する人と一緒に、最期まで。願わくは、姉ちゃんたちもそうでありますように。草々



(添付された写真には双子を抱っこしているルードとそばにいるヒビキが写っている。もう一枚には幸せそうに微笑むサディアスとニコロ。その間には彼らの子が嬉しそうに笑っている。子どもたちだけの写真もあり、みんなが笑顔を浮かべていた)







「歌奏、どうしたの、そんなに嬉しそうにして」

「うちの弟がすっごく幸せなんだなーって思ってさ。ね、あなた。私、もうひとり子どもが欲しいな」



 ――響希が幸せそうで良かった。



 夫に甘えるように抱きつくと、彼は私を見てちゅっとキスをした。

 大丈夫よ、響希。私も、両親もみんな、幸せだから。響希に負けないくらい、幸せだから。

 あなたの幸せを、いつも願っている。だって響希は――愛する、私の弟だもの!









―Fin-




後書き

ずっとこの物語の最終話はどういう風にしようかと悩んでいたのですが、こういう形を取らせて頂きました。ヒビキにとって、最愛の家族はルードたちでもあり、日本の家族でもあるので……。姉は結婚していますが婿養子を取ったので苗字変わっていません。

現在ヒビキ24歳、ルード31歳。双子の子どもが5歳です。コウノトリ、来ました。ルードはちゃんと『パパ』をしています。

本編はこれで完結ですが、ルード×ヒビキの番外編が思いついたら投稿する予定です。

あとムーンライトノベルズさまには拍手設置していたので、拍手お礼SSもこちらに載せますね。拍手の置き場所がわからなくて……。

少しでも楽しんで頂ければ幸いです♪
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