中の人にも色々事情があるんです!

瑪瑙 鼎

文字の大きさ
6 / 18

6:エンカウントしました。

しおりを挟む
『嘘だろ…たかが素材一つに570万とか、ありえねぇ…』
『そもそも、廃人の皆さんに競り勝とうってのが、無謀な話よね』

 その夜、「私」はホームの一室で両膝を抱えて床に座り込み、膝の上に顔を伏せて蹲っていた。「私」の隣にはガーネットが腰を下ろし、自分の「いべんとり」の整理をしながら「私」マスターを宥めている。私はマスター達の会話を聞き流しながら昼間の出来事を思い出し、悲嘆に暮れていた。

 結局あの後、オークションで競り負けたマスターはその場で即座に「ろぐあうと」し、いつもの支度部屋へと飛ばされた私は急いで着替えを済ませ、繁華街へと駆け付けた。でも其処で目にしたのは、「くえすとくりあ」を諦め、繁華街から立ち去ろうとする赤兎の後姿。私は、「私」自分が仕出かした行為を悔やみ、申し訳なさのあまり彼を追うこともできず、遠ざかっていく赤髪に深く頭を下げる事しかできなかった。

 私はどうしたら、この過ちを償う事ができるのだろう。これが引き金となって、彼のマスターが引退したら、悔やんでも悔やみきれない。

『…にしても、先生、来るの遅いな。もう30分も経っちまった』
『イリス、貴方、自分のパンツに執着しすぎ』

 私の懊悩を余所に「私」マスターが暇そうに呟き、その間、床に体育座りしたままひたすら足を組み替える「私」を見て、ガーネットのマスターが呆れる。こういう時、私のマスターの視点が常にローアングルになっている事は、私は勿論、他のマスター達にも周知の事実だった。自身に注がれる軽蔑の目も気にせず、「私」は性懲りもなくミニスカートのまま開脚して前屈を始め、「私」の背中にガーネットの諦め気味の声が降りかかる。

『多分、クエストの手伝いで時間かかっているんじゃないかな。先生、顔が広いからね』

「先生」とはキャラクター名ではなく、マスター達の間で彼を指すニックネームだ。「先生」の本当のキャラクター名は、「姜尚」という。「りある」では結構有名な名前だそうでトレードマークは釣り竿らしく、先生も持ち歩いていた。ガーネットの発言を受け、ヤマトが言葉を引き継いだ。

『野良を探しても、丁度いいヒーラーが見つからないな…。今日はヒーラー無しで行くか…』
『もう時間ねぇから、それで好いよ。ヒーラー無しだと、何処がある?』
『うーん…レブナントの森、とか?』
『あそこ、ドロップが不味いんだけど、しゃぁねぇか…』

 ガーネット達との会話を受け、「私」マスターが頭を掻きながら渋々立ち上がる。そして「いべんとり」にチラと目を向け、慌ててしゃがみ込んだ。

『あ、やっべぇ!ポーション積んでねぇ!ヤマト、スマン!先行ってて!すぐに合流する!』
『わかった。狩場押さえておくよ』
『まったねぇ』

 ミニスカートのまま床に胡坐をかいた「私」をいて、ヤマトとガーネットが入口の扉を開け、外へと出て行く。「私」が「いべんとり」にポーションを詰め込んでいると、外に出たガーネット達の声が聞こえてきた。

『…あら?貴方、そんな所で何しているの?寝落ちかしら?…あ、動いた』
『オブジェクトに引っ掛かって、脱出できないんじゃないか?ガーネット、間にキャラ割り込ませてみ?』
『こう?…あ、出てきた出てきた。…げ、今度は私が引っ掛かった。ヤマト、私を此処から出してぇー』
『全く、しょうがないなぁ、もう』
『リア充どもがっ!家の前で夫婦めおと漫才やってんじゃねぇよっ!』

 玄関先で立ち昇る桃色の空気に、「私」マスターが「いべんとり」を睨みつけながら怒鳴り返す。外の会話を聞き流し、ポーションを山のように「いべんとり」に詰め込むと「私」は即座に立ち上がり、ホームの外へと飛び出した。

『二人ともお待たせ!さっさと行こうぜ!…ん?何やってんの?二人で』

「私」が目を向けた先には、こちらに振り返っているヤマトとガーネットの二人と、二人と対面する形で棒立ちしている、一人の赤髪のヒューマンの男が居た。硬直する私を余所に、「私」マスターが赤髪の男に訝し気な目を向ける。

『誰?そいつ。二人の知り合い?』
『うぅん、知らない人。初心者かな?何か、上手く操作できないっぽいんだよね。…ねぇ、貴方、私の声聞こえる?』
『もしかしたら、小学生とかで、コンソールの文字配列が分からないのかも。…君、俺達の話、わかる?”あ”とかでも好いから、文字打てる?』
『               あ         』

 ヤマトとガーネットのマスターが交互に赤兎に声を掛けるが、赤兎は相変わらず要領の得ない言葉を返す。彼の存在は「えぬぴーしー」の中では広く知られているが、「ぷれいやー」の間では全く知られておらず、「しんきぷれいやー」と思われているようだ。ちなみに、この「げーむ」の会話は音声入力と文字入力の2種類があり、「私」達三人は音声入力、赤兎だけが文字入力だった。

『…なぁ、狩り、どうすんの?行かんの?』
『ゴメンね、イリス。もう少し待ってもらってもいいかな』

 赤兎を気遣うガーネット達に対し、「私」マスターが眉を顰め、貧乏ゆすりを繰り返して、二人を急き立てた。ガーネットのマスターが振り返り、穏やかな口調で「私」を押し留める。

 お願い、マスター!それ以上、酷い事を言わないでっ!赤兎は、赤兎のマスターは、何か問題があって上手く動けないのっ!

 私は、マスターの放つ心無い発言を聞いてショックを受け、決して届かない事を知りながらも、必死にマスターへと訴える。

 彼は、もうずっと一人で居るんだよ?上手く体も動かず、言葉も話せず、マスター達のような仲間も作れずに、ただひたすら独りぼっちでこの世界を彷徨っている。そんなの、嫌じゃない!彼にもこの世界を楽しんで欲しいじゃない!幸せになって欲しいじゃない!マスター、何であなたは、それに気づいてくれないの!?

『…うーん。貴方、私の所まで移動できる?左手のコントローラの矢印押せば好いだけなんだけど…』
『            d    え       』
『ひょっとしたら、コントローラが壊れているんじゃないか?コレ』

 操作のままならない赤兎に対し、ガーネットとヤマトの二人が思い思いに意見を述べる。そんな三人の姿を「私」が腕を組み、貧乏ゆすりを繰り返しながら睨みつけていると、赤兎が時間を掛けてゆっくり言葉を絞り出した。



『        て                  う
             ご
 k   あ               な         』



『…え?貴方、もしかして手が動かないの!?』
『…』
『…』

 ガーネットが驚きの声を上げ、ヤマトが痛まし気に顔を歪める。赤兎が再び動きを止め、硬直している三人の姿を睨みつける「私」の片眉が跳ね上がった。数拍の間を経てガーネットのマスターが我に返り、慌てて取り繕う。

『…ぁ、えっと、ごめんなさいね?変な事聞いちゃって。え、えっと、手が動かないとなると…ええと…』



『 ――― おい』



『…イリス?』

 驚きの表情を浮かべて振り返ったガーネットを押し退け、「私」マスターが赤兎の前に立ちはだかった。「私」は相変わらず体の前で腕を組み、眉間に皴を寄せて、赤兎を見上げるように睨みつける。

『…どっちの手だ?』
『              え        』
『右と左、動かない手がどっちか、聞いてんの』
『       ひ              d          』
『ああ、もういいよ、喋んなくて』
『お、おい、イリス…』

 マスター!お願い、もう喋らないで!

 有無を言わさぬ「私」マスターのあからさまな態度に赤兎のマスターが動揺し、ヤマトが「私」マスターを宥めようとする。私は自分の言うことを利かない体の中でしゃがみ込み、大粒の涙を流して泣きじゃくった。

 マスター!お願い!私に後悔させないで!あなたの下に生まれた事を!あなたがマスターである事を、後悔させないで!私は、マスターと共にこの世界で楽しく暮らしたいの!この世界で幸せになりたいの!だけど、だけど…これ以上マスターの言葉を聞いていたら、私はきっとマスターを嫌いになってしまう。マスターの下に生まれた事を後悔してしまう。…だから、お願い!これ以上、もう喋らないで!

『          ご           め           』
『だから、喋んなって』

 マスターぁぁぁぁっ! 

 赤兎が「私」の剣幕に恐れをなし必死に紡ぎ出した言葉を、「私」マスターが遮った。私の悲痛な叫びはマスターに決して届かず、「私」マスターは体の中で泣き喚く私を無視し、赤兎を睨みつけたまま、ぞんざいな言葉を吐きつける。



『――― ”歯車”』



『          え         』

 え?

 突然飛び出してきた脈絡のない単語に、私は勿論の事、赤兎もガーネットもヤマトも静まり返る。硬直する三人を前に、「私」マスターは赤兎を睨みつけたまま、言葉を続ける。

『画面の左下に、”歯車”のマーク、ねぇか?…ああ、喋んなくていいから。はい、か、いいえ、ジェスチャーで構わない』

 …こくこく。

 「私」マスターの発言を前に、赤兎は少しの間硬直していたが、やがて二度頷きを返す。彼の返事に「私」マスターは仏頂面のまま、ぶっきらぼうに答える。

『”歯車”のマークを押したら、”設定”が出んだろ?そしたら、”操作”を選んでくれ』

 こくこく。

『下に向かって矢印をずっと動かしていくと、一番下の方に”操作を右コントローラに集約する”、”文字入力を右コントローラに集約する”って、二つのチェック欄があんだろ?それ、両方チェック入れて』

 こくこく。

『そしたら、”更新”を押してみろ。…どうだ?』

 途端、変化は劇的だった。それまで直進と自己回転、不器用な2種類の行動しか取れなかった赤兎の移動が急に滑らかになり、緩やかなカーブを描いて自在に方向転換した。歩きながらジャンプもでき、文字入力の速度も向上し、文章を形作る。

『 す ご い す ご い 。 ち ゃ ん と 動 く 』
『そうか。そりゃ良かったな。右コントローラだけだから操作できるスキルが半減しちまうけど、大分マシになんだろ』
『 う ん 。 あ り が と う 』
『…凄いじゃないの、イリス。驚いたわ。こんな細かい設定、よく知ってたわね?』

 …ぁぁぁ…マスターぁぁ…マスターぁぁぁぁっ!

 私はマスターが示した予想外の気遣いに感極まり、体の中で再び泣き喚いた。後悔の代わりに歓びを籠め、マスターの下に生まれた事に感謝し、とめどもなく涙を流す。ガーネットが感嘆の声を上げ、「私」マスターを褒め称える。

 ガーネットの賞賛に、「私」マスターは三人から視線を外す。そして、そっぽを向いて唇を尖らせ、不貞腐れるように答えた。



『…俺さ、妹が居るんだ。――― 寝たきりの』



『『…え?』』
『 え 』

 「私」マスターの突然の告白に、三人は驚きの声を上げる。私も体の中で身を乗り出し、決して声が届かない事を知りながらも、それでもマスターへと詰め寄った。

 え?マスター、私、知らなかったよ?マスターに妹さんが居るだなんて、寝たきりだなんて、一言も聞いた事ないよ?

『…意思疎通は問題ないんだけど、首から下が駄目でさ。いつも暇そうにしているんだよね』
『『『…』』』
『…で、アイツが何か暇潰しできるものがないかって探してて、たまたまこのゲームの事知ってさ。身障者向け機能があるって聞いて、調べたんだ。…結局、最低片手が動かないと無理だってわかったから、意味なかったけどな。…このゲームにハマったのも、それが切っ掛けなんだ』
『…イリス、パンツ見せなくて好いから』

 「私」マスターは三人から視線を外してそっぽを向き、ミニスカートの裾を両手で掴んで上げ下げを繰り返しながら、ぶっきらぼうに答える。…あの…マスター、それやっても誰もウケないから。場も和まないから。ただただ、私が悶死するだけだから。驚きと歓びと羞恥に心を掻き乱され、顔から火を噴き上げる私をそのままに、「私」マスターは皆に下着を見せびらかしながら独語する。

『父ちゃんと母ちゃんは仕事と家事と介護に追われててさ、俺も学校から帰ってきたら妹の面倒見て、アイツが寝静まってからこのゲームやってるんだよね。…このゲーム面白いけど、アイツが出来ないと思うと、少し後ろめたくもある』
『…そんな事ないよ、イリス。貴方、十分に頑張ってるし、立派だと思うよ』
『 う ん 。 そ れ に 私 も イ リ ス さ ん に 救 わ れ た 』

 唇を尖らせる「私」マスターにガーネットが笑みを浮かべ、赤兎が告白する。

『 私 、 1 年 近 く 独 り ぼ っ ち だ っ た 。 で も 今 日 イ リ ス さ ん と 出 会 え て 、 こ の ゲ ー ム や っ て い て 良 か っ た と 思 う 。 ――― イ リ ス さ ん 、 私 と 友 達 に な っ て く れ ま せ ん か ? 』



『…別に好いけど…』

 赤兎の告白を受けた「私」マスターはバツの悪そうな表情を浮かべ、そっぽを向いてスカートをたくし上げたまま、渋々了承する。そしてスカートの裾を掴んでいた右手を頭の上に回すと、ガシガシと頭を掻き、御礼を口にしようとする赤兎を遮って、声を荒げた。

『…ああ、もう!ガラじゃねぇんだよ、こういうの!…っと、今日はもう、狩り行ってる時間ねぇな…』

 そう答えながら一瞬明後日の方向を向いた「私」は、再び赤兎へと目を向ける。

『あんた、ええと、…あかうさぎ、って読むのか?』
『 せ き と 』
『赤兎、今レベル幾つだ?』
『 3 』
『低っ!』

 「私」マスターは赤兎の答えに無遠慮な反応を示すと、内心傷ついているであろう彼に、手を差し伸べる。

『もう小一時間くらいしか時間ねぇけど、つき合ってやるよ。この辺で行きたいトコ、あるか?』
『 あ り が と う 。 ど こ も 行 っ た 事 な い 』
『どんだけ引き籠もってんだよ』

 赤兎の答えを聞いた「私」マスターは呆れながら、彼が伸ばしてきた右手を取り、そのまま不貞腐れたような表情で彼を引っ張った。背後から、ガーネット達の含み笑いが聞こえてくる。

『声聞こえてんぞっ!リア充どもっ!』
『今日は貴方もリア充しているじゃない』
『俺は男なんだよ!その俺が、何で男と手を繋がなきゃなんねぇんだよ!』
『 イ リ ス 、 私 女 だ よ ? 』
『あら、丁度良かったじゃない、イリス』
『五月蝿ぇ!』

 「私」マスターはいつもよりひと際大きな声を上げ、肩を怒らせながら三人を引き連れ、大股で先へと進んで行く。



 ――― マスター、あなたが私のマスターで、本当に良かった。

 ――― ぶっきらぼうだし、助平だし、ところ構わずパンツ見せびらかす変態だけど。

 ――― それでも、私はマスターの事が、大好きです!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに

有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。 選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。 地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。 失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。 「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」 彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。 そして、私は彼の正妃として王都へ……

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ
恋愛
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――  子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。  彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。 「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」  四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。  そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。  文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!? じれじれ両片思いです。 ※他サイトでも掲載しています。 イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

処理中です...