中の人にも色々事情があるんです!

瑪瑙 鼎

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最終話:ろぐあうとしました。

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『本当ですか、先生!?』
『先生、マジかよ!?』

「私」達は先生の許へ駆け寄り、真意を問い質した。「私」達に囲まれた先生は、縋るような目をする赤兎に厳しい顔を向け、冷静さを失わないように自らを抑えながら、説明を続けた。

『…ぬか喜びかも知れないし、実現するにしても5年はかかるみたい。けど、医学系の記事を調べていて、見つけたの。――― 昨年暮れ、日本の大学で、iPS細胞から作った神経幹細胞を脊髄へ移植する臨床治験が行われたそうよ!』



『…先生、何だ、その、iPS細胞って?』

 明らかに聞き慣れない単語を耳にした「私」マスターが、眉間に皴を寄せて尋ねる。「私」に尋ねられた先生は、体の前で両手を組んで力を籠める赤兎にもわかるよう、噛み砕いて説明した。

『先生も専門外だから上手く説明できないけど、元々細胞っていうのは、自分が何の細胞になるか決まっているみたいなのよ。筋肉なら筋肉、赤血球なら赤血球、骨なら骨細胞こつさいぼうという形でね。だから、失われた部位に別の細胞を持ってきても失われた細胞には変化しないから、回復しないの。特に神経細胞というのは再生しないものらしくって、だからこれまで、朝比奈さんみたいに神経を傷つけてしまうと、二度と治らないと言われていたの。
 だけど、iPS細胞っていうのは、その細胞達の役割が決まる前の細胞で、言い換えれば何にでもなれるらしいのよ!そのiPS細胞から神経幹細胞と呼ばれる神経の元になる細胞を作る事ができて、今回その移植手術が行われたの!』



『…つまり、その神経幹細胞が移植されれば、また神経が繋がって、手足が動くかも知れないって事…?』
『そう!』
『…私、また、走れるかも知れないって事?』
『そうよ、朝比奈さん!』



『――― それって、…アイツの手足も動くかも知れないって事か?』



 先生と赤兎との会話に女性の声が割り込み、皆が一斉に「私」へと目を向けた。だけど、「私」マスターは自分に注がれる視線に気づいた様子もなく、呆然とした表情で先生の顔を見つめている。焦点の合わない「私」の視界の中で、先生が柔らかく微笑み、力強く頷いた。

『…そうよ、イリスさん!あなたの妹さんも、治るかも知れないわ!』



『いつだ!?先生、いつ手術を受けられる!?』
『落ち着いて、イリスさん!まだ何年も先だと思う』

「私」は先生の許へ駆け寄ると先生の顔を睨みつけ、襟を掴んで激しく揺さぶりながら問い質した。「私」の殺気だった表情に、先生が両手を上げ、慌てて宥める。

『まだこれから何度も治験を繰り返して、効果や安全性が確認された後だし、あなた達と同じような脊髄損傷に苦しんでいる患者さんは、日本だけで10万人以上いるわ。この人達がどういう風に手術を受けられるようになるのか、先生にもわからないの』
『先生!私、その治験に参加したい!』
『先生、ウチも!…あ、その前に、アイツにちゃんと許可取っておかなきゃ!』

 先生の言葉に赤兎が勢いよく手を挙げ、それを見た「私」が慌てて追従する。まるでお菓子か遊戯をねだる子供の様な「私」達の素振りを見て、先生が困ったように微笑んだ。

『残念ながら今、治験者の募集はしていないみたいなの。それに、あなた達は未成年じゃない。流石に未成年の応募は、無理なんじゃないかなぁ…』
『そんな事言わずに、ちょっと調べてくれよ、先生!』
『お願いします、先生!』
『…わかったわ。直接連絡して教えてくれるかわからないけど、当たってみるわ』
『先生、私達にも何か手伝える事があったら、遠慮なく言ってね!?』
『俺も医療系の情報、色々探してみるよ』
『ありがとう。お願いするわ、ガーネットさん、ヤマトさん』

 焦れた「私」達二人の懇願に先生が根負けし、溜息をついて了承する。そして先生はヤマトとガーネットの申し出に礼を述べると、腰を折って前屈みになり、「私」達の前に人差し指を立てて前後に揺り動かした。

『…だから、二人とも諦めないで。未来を見据え、今をしっかり、希望をもって生きるのよ?』
『ああ、任せとけっ!先生!』
『はい!』

 先生の言葉に、「私」は慎ましい胸を叩いて威勢よく応じ、赤兎も力強く答える。

 ギルドホームの雰囲気はいつになく明るくなり、その晩「私」達は手足が治った後の色々な夢を、遅くまで語り合っていた。



 ***

『…何か、夢みたい…』
『ああ、ホントにな…』

 翌日。

 「私」マスターと赤兎の二人は、再びあの岬へ足を運んでいた。「私」は岬の中央に居座る岩を背にして佇み、岬の先端に立つ赤兎の背中を見つめる。上空には晴れやかな青空が広がり、穏やかな風に乗ってカモメの鳴き声が漂って来る。赤兎は「私」に背を向けたまま飽きもせず海を眺め続け、背中越しに「私」へと語り掛けた。

『1年前、初めてこのゲームに手を出した時、私はまだ何も将来が見えていなくて、とにかく何かに縋りつきたかった。どんな些細な事でも好い、どんな小さな歓びでも好い。この動かない手足でも届くものがあれば、私は迷わずそれに手を出し、のめり込みたかった。手足が動かないという現実から目を背け、心の中にわだかまる恐怖に蓋をして、何でも好いから夢中になりたかった。…だけど、その願いは1年間、叶わないままだった…』
『…』

 海を眺めていた赤兎が、「私」へと振り返った。彼の背後で燦然と輝く陽の光を浴び、赤い髪を瞬かせながら、「私」に微笑みかける。

『…だけど、その願いは、あなたに出逢えた事でついに叶った。うぅん、それどころか先生とも再会できて、あの時の過ちを詫びて仲直りし、また先生の教えを乞う事ができた。二度と動く事がないだろうと諦めていた手足だって、何年か先には動く希望があるって知る事ができた。この2年間、私の前に立ち塞がり周囲を覆っていた暗闇が、あなたのお陰で全て取り払われたんだ。イリスが私の手を引いて、色々な所に連れて行ってくれたから、私は前に進む事ができたんだ』
『…んなコト、俺、何もやってねぇよ…。最初にお前に声掛けたのだってガーネットだし、色々教えてくれたのだって先生だったしよ…』
『そんな事ないよ。確かにガーネットさんや先生にも沢山助けて貰った。だけど、最初にこのゲームの楽しさを教えてくれたのは、イリス、あなただよ?私にゲームの操作方法を教えてくれて、街の外に連れて行ってくれたのも、あなただよ?いつも手を繋いでくれて、私が変な所に踏み込んでモンスターに襲われた時にかばってくれたのも、イリス、全部あなただよ?』
『…』

 赤兎の言葉を聞いた「私」マスターは顔を赤らめ、下を向いてぼそぼそと言い逃れている。そんな「私」の耳に土を踏みしめる音が聞こえ、下を向いた「私」の視界の上部に、彼の靴先が現れた。

『…ねぇ、イリス。顔を上げてくれない?私、あなたにお願いがあるんだ』
『…な、何だよ…?』

 彼の柔らかな声を聞き、「私」マスターが顔を上げる。見上げた先には、太陽を背にして光り輝く彼の笑顔と、静かに「私」へと差し出された、両手で持った小さな箱。



『…イリス、私、あなたの事が大好き。――― 私と、結婚して下さい』

 その言葉と共に開かれた小さな箱の中には、かつて「えぬぴーしー」の私が彼の幸せを願って託した、一対の「親愛の指輪」が輝いていた。



『…お、おまっ!?馬っ鹿じゃねぇのっ!?』

 指輪を認めた途端、「私」マスターは体をのけ反らせ、目を見開いて彼を怒鳴りつけた。その「私」の顔は、私とマスター、二人がかりで体温上げているんじゃないかってくらい真っ赤で。慎ましい胸の内側にある心臓は外に飛び出すんじゃないかってくらい、バクバクしてて。「私」マスターは、彼の笑顔と指輪の間で視点を何度も行き来させながら、閉じる事の出来なくなった顎を駆使し、やっとの事で反論した。

『お、おおお俺は男で、お前は女だぞっ!?それなのに、何でこの俺がお前にプロポーズされなきゃなんねぇんだよっ!?』
『だって、ゲームキャラは私が男で、あなたが女だもん』
『っ!?』
『…ゲームの中だけで好いから…』
『…』

 彼女の言葉に、「私」マスターは酸欠になった金魚みたいに口をぱくぱくさせ、顔を真っ赤にして、彼の顔と指輪の間を何度も行き来する。

『…』

 やがて「私」マスターは赤い顔で俯くと、指輪を摘まみ上げようと右手を伸ばし、――― その手首を彼に掴まれる。



『――― 左手、出して』



『ーーーーーーーーーーーーーっ!?』

 あ、マスター、泣きそう。

 思わず私が素に戻ってしまうほど「私」マスターの顔が真っ赤になり、涙目になった。「私」マスターは右手首を掴まれたまま、彼に縋るような目を向けてプルプルと顔を震わせるが、彼はにこやかな笑顔を浮かべ、「私」マスターの懇願を拒絶する。

 そして彼が「私」の手首を掴んだまま1分が経過し、2分が経過して。

『…』

 くっ、マスター、あなたもあざとすぎる。

 「私」マスターが涙目でおずおずと左手を差し出し、彼の左掌の上に乗せた。「私」の左手の先に、3本の指に支えられた指輪が現れ、「私」の左薬指をくぐり抜けながらゆっくりと近づいて来る。「私」マスターは動く指輪を目で追い続け、薬指に触れるたびに身を震わせ、指輪が根元に突き当たった途端、体がピクンと跳ねた。

『…アリガト…』
『…イリス、私にもめてくれる?』
『…え?…ぁ、うん…』

 ぼぉっとした表情で自分の左薬指を見つめていた「私」マスターは、赤兎の声で我に返ると、しおらしい動きで彼の左手を取り、指輪を摘まんだ。「私」マスターは顔を赤らめたまま彼と視線を合わそうともせず、彼の左薬指に沿ってゆっくりと進む指輪を見つめている。やがて指輪が薬指の根元に納まると、「私」は急いで両手を引っ込めて後ろ手に回し、真っ赤な顔で俯いた。

『…イリス』
『…ぇ?』

 顔から火を噴き上げ地面を凝視していた「私」は名を呼ばれ、顔を上げた。そこに映し出されたのは、青空と太陽を背にし、今まで以上に光り輝く、彼の笑顔。



『…私の名前、教えてあげる。――― 私、朝比奈 真里菜って言うんだ!』



「私」の青いスクリーンの前で、彼女が両手を広げ、くるくると楽しそうに踊り出した。

「りある」では動かない左足で軽やかにステップを踏み、左手から一筋の光を放ちながら。苦悩など微塵も感じさせず、歓びを振り撒きながら。彼が幸せに満ち足りた笑顔で、「私」に尋ねる。

『イリス、――― あなたの名前、教えてくれる?』

 彼の言葉を聞いた途端、「私」マスターは地面を蹴り、弾かれるように彼の許に駆け寄った。薬指の光る左手を彼の右手に重ね、輝きを放つ彼の左手と「私」の右手を合わせると、「私」マスター彼女の顔を見つめ、彼女の想いに応えるように告白する。



『…お、俺の名は、――― !』



 ***

「…イリスさん!」

 街の中心にある噴水の縁石に腰を下ろし空を眺めていた私は、声のした方へと目を向けた。振り返った視線の先には、「ろぐいん」中とは異なる茶髪をなびかせた長身の男性が駆け寄る姿が浮かび上がる。彼は息を弾ませ、座っている私の前に立つと、手を差し伸べながら笑顔で尋ねた。

「お待たせしました。結構待ちましたか?」
「うぅん、私も今来たところ」

 今で使った覚えのない返事に若干の気恥ずかしさと周囲に対する優越感を感じながら、私は彼の手を取り、立ち上がる。彼は身を翻して私と同じ方向へ体を向けると、私に左手を差し出した。私は薬指が輝く彼の左手を取り、しっかりと握り締めながら、顔を上げて問い掛けた。

「それで、今日のお誘いは、何かしら?」
「実はちょっと好い処を見つけまして。まずは其処に行きませんか?」
「ええ、好いわよ」

 右掌から伝わる彼の温もりが心地良くて。

 私は人混みを理由に彼との距離を詰め、二の腕から伝わる新たな心地良さに気を取られながら、噴水広場を後にした。



 赤兎に連れられ、私達が行き着いたのは、入り江に面した港の外れだった。頭からは何本もの桟橋が伸び幾隻かの船が係留されていたが、私達は一番奥の桟橋に足を踏み入れ、海へと向かう。奥の桟橋は周囲に比べてひと際長く、あまり使われていないのか船が一隻も繋がれておらず、私達の他には誰も居ない。赤兎は私を連れて桟橋の先端に立つと、私の肩を抱いて後ろへと振り向かせた。

「…どうです?この風景。岬ほどではないですが、素敵でしょう?」
「わぁ…」

 彼にいざなわれるまま背後へと振り返った私は、其処に広がる光景に思わず感嘆の声を上げた。

 その場所からは、港から何本も伸びる桟橋と係留された幾隻もの船が一望できた。港は、上空に広がる透き通った青と、海面に広がる深い蒼に挟まれ、石積みの灰色と木々の緑、木造の茶色が複雑に絡み合いながら遠くに行くほど細い線となっていく。そして細い線はその奥で息を吹き返し、高い崖に囲まれた岬を形成した後、力尽きたように潰え、その先には青と蒼の二色に彩られた水平線が見えた。上空に数羽のカモメが舞い、心地良い風と共に鳴き声が降り注ぐ。

「…本当は岬にお誘いしたいところですが、あそこは『えぬぴーしー』では進入できない街の外ですから…」
「仕方ないわよ、『うんえい』がそう定めているんだもの。それに、此処からの眺めも十分素敵よ」

 背後で赤兎が頭を下げるが、岬に行けないのは彼のせいではない。私は彼を宥めながら地平線を目で追って遠くにそそり立つ岬を眺めた後、視線を落とし、自身の左薬指に輝く指輪を見つめ呟いた。

「…マスター達、上手くやっていけると好いね…」

「わーるど」では常に連れ添っている私達のマスターだが、「りある」ではまだ顔を合わせていないらしい。私は岬であった出来事を思い出しながら海を眺め、マスター達の幸せを願う。すると、私の背後に立つ彼の言葉が、私の頭上に降り注いだ。

「…あの岬で私のマスターがあなたのマスターを選んだのは、マスターの意思です。――― 僕の意思では、ありません」



「…え?」

 彼の言葉に思わず振り返ると、彼が桟橋の先端に佇み、私の目を見つめていた。先ほどまでその顔に浮かんでいた穏やかな笑みは消え去り、彼の周囲に張り詰めた空気が漂い、その瞳が発する真摯な光に私の目が奪われる。

「イリスさん」
「…赤兎?」



「…僕は、僕の意思で、あなたを選びたい。あなたのマスターではなく、あなたを幸せにしたい。――― あなたの一生を、僕に下さい」

 その言葉と共に彼から差し出された小さな箱の中には、自分の薬指に光る指輪とは異なる、もう一対の指輪が光り輝いていた。



「ちょちょちょちょっと待ってっ!?いや、待ってって、駄目じゃなくて、好いけど、ちょっと待って!」

 夜討ち朝駆け、二連続で同一人物からプロポーズされるとか、普通予想しないでしょっ!?動揺のあまり、答えを先に口走っちゃったじゃないのっ!

 私は顔を真っ赤にして体の前で両手を左右に振り、彼の傷ついた表情を見て、慌ててもう一度両手を左右に振る。だから、そう言う意味じゃないからっ!

「あ、いや、駄目じゃないからっ!OK!OK!大丈夫っ!バッチコーイ!I’m coming!じゃなくてっ!ああああああああっ!」

 落ち着きなさいって、私。吸ってぇ吐いてぇ、吸ってぇ吐いてぇ…。

「…」

 くっ、私も人の事言えない。あざとすぎる。

 私が口を噤み、上目遣いで左手を差し出すと、彼が自分の掌の上に載せた。左手の先に再び指輪が現れ、私の薬指を通って少しずつ進んで来る。



 昨日と同じ人が、違う指輪で、もう一度私に契りを求めてくる。

 私の左薬指が、同じ人の手によって、もう一度縛られる。



 キン。

 二度目の契りが一度目の契りと交わり、澄んだ音が薬指に広がる。私は左手を胸元に引き寄せると、薬指に重なる二つの指輪を右手指でなぞり、二重の証を肌で感じ取った。

「僕にも、お願いします」
「…はい」

 彼が、自分の左手と小箱を私の許に差し出した。私は小箱からもう一つの指輪を取り出すと、彼の左手に手を添え、薬指に指輪を通していく。指輪は私より大きく長い薬指を進み、やがて私と同じように一つ目の指輪と交わって小さな音を奏でた。

「…あ!」

 指輪の交換が終わった途端、彼が私の手を取って引き、私は彼の胸元へと引き寄せられた。思わず顔を上げると、彼の顔が瞬く間に私へと迫り、私の唇が彼によって塞がれる。口から流れ込んだ濃密な匂いが私の頭を駆け抜け、背中に稲妻が走る。

「…これは、マスター達の分」
「んんっ!?…ん…」

 口の中が彼によって占領され、甘ったるい感触が私の思考を溶かしていく。

「…これは、僕達の分」
「…ん…ん…」

 彼が私の唇を奪ったまま何度か呟きを発し、その度に私の体が身震いする。「げーむ」の「しよう」によって手を出せないマスター達に代わり、彼が二人分の想いを私に注ぎ込み、対価として私の心を奪っていく。

「…んぁ…赤…兎…」

 私は彼によって火をくべられ、次第に塗り潰される思考の片隅で、うんえいに感謝する。

 ――― マスターの許に生まれた事を。

 ――― マスターと同じ人を好きになった事を。

 ――― 「ろぐいん」中も「ろぐあうと」後も、好きな人と一緒に居られる事を。

 私は自分の想いにマスターの想いを乗せ、身と心を灼きながら繰り返し彼を求めた。青空が広がり、カモメの鳴き声だけが聞こえる誰も居ない桟橋で、私達は一点で重なり合い、いつまでも離れようとしない。重なり合う唇の端から漏れ出た感情が言葉を形作り、密着した私達の周りを漂った。

「…赤兎…大…好き…」



 ――― そうして「ろぐあうと」の時間が過ぎ、明日もまた、「ろぐいん」の鐘が鳴る ―――



 <完>
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