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7.やっとの自己紹介
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目の前で大粒の涙を流す女の子に動揺が隠せない。
「えっと。とりあえず名前を教えて貰えると嬉しいな。私は宮代柚希。落ち着いてからで大丈夫だから、ゆっくり、ね?」
3人がけのソファに隣同士に座り涙を流しながらこくこくと頷く彼女は、共に召喚された女子高生ちゃんである。
涙が止まらないのか喋ろうにも引きつった音のみで声は出ず、どうしたものかとこっそりため息をつく。
昨日の夜はどうやら疲れていたらしく、私はいつの間にやらぐっすり寝入っていた。
朝にはペルルが起こしに来てくれて、部屋で朝食を取り用意されたティーセットでゆっくりお茶を楽しむ。何年ぶりかの優雅な朝に自然と笑みが浮かぶ。
のんびりと過ぎる時間を楽しんでいるとノックの音が響き、ペルルが確認に向かう姿を視界の端で捉えた。
「!?お待ちください!!」
外の人物と話をしようとしたペルルの叫び声に驚き扉を見ると、明るい茶色の弾丸が一直線に私へ突き刺さる。
思わず抱きとめると涙で目を真っ赤にした女子高生ちゃんだった。
え?と動揺し固まりつつ、後ろであわあわしているクラージュとペルルに何事?と視線で問いかけるも2人とも困ったように首を振るだけである。
とりあえず何とか落ち着かせてソファまで移動してきたのがついさっき。
やっと名乗ることが出来た。
クラージュは彼女についてきた護衛の騎士から事情を聞いてくれているらしい。
ペルルに入れてもらった紅茶を勧めながら女子高生ちゃんの様子を伺う。
あらあら、泣き腫らしちゃって目が真っ赤。可哀想に…
よしよしと頭を撫でてやるとしばらくして落ち着いたのかゆっくりと口を開いた。
「あの、私、西条奏って言います。奏って呼んでください。宮代さん、本当にごめんなさい。なんかよく分からないんですが私のせいで宮代さんまで巻き込んでしまったって聞いて、私、あの…助けて貰ったのにこんなことに…どうしたらいいのか…」
あわあわ、きょときょとと視線が泳ぎぎゅっと下唇を噛みながら何かを耐えるようなその姿はなかなかに痛々しい。
「奏ちゃんね。私の事も柚希で大丈夫だよ。ほら、私なんてゆっくりお茶を楽しんでたくらいだから、そんなに泣かないで。それより奏ちゃん、なんか理不尽なこと言われたり嫌なことされたりしてない?大丈夫???」
「はい。私は聖女だか、候補だかなんかだからって妙に丁寧に色々手配してもらってます。皆さんよそよそしいけど特に嫌な思いはしてないです。…けど!柚希さんは大丈夫ですか???クリスがなんか酷いこと言ってたし、もう会えないんじゃないかって思って私…」
奏にとって共に召喚された私が心の支えなのか、1人になる恐怖を思い出したのか再び表情が歪む。
まぁ、まだ女子高生だもんね。17,8で急に知らない世界です、帰れませんって言われて心細くない訳が無い。
第二王子への苛立ちが募り私も表情が歪む。怒りにだけど。
「クリスってのが誰なのかピンと来てなくて申し訳ないんだけど、第二王子様のことかな?今のところ助けてくれる人達が居るから私の事は大丈夫。奏ちゃんは自分の身の安全を第一に考えてね。」
クリス、というのはやはり第二王子の事でクリストフ・ロジュエイの事らしい。
俺の聖女と甘く囁かれ、クリスと呼ぶことを約束させられたそうだ。
最初からアクセル全開ね…
重い男は嫌われるぞ?
「えっと。とりあえず名前を教えて貰えると嬉しいな。私は宮代柚希。落ち着いてからで大丈夫だから、ゆっくり、ね?」
3人がけのソファに隣同士に座り涙を流しながらこくこくと頷く彼女は、共に召喚された女子高生ちゃんである。
涙が止まらないのか喋ろうにも引きつった音のみで声は出ず、どうしたものかとこっそりため息をつく。
昨日の夜はどうやら疲れていたらしく、私はいつの間にやらぐっすり寝入っていた。
朝にはペルルが起こしに来てくれて、部屋で朝食を取り用意されたティーセットでゆっくりお茶を楽しむ。何年ぶりかの優雅な朝に自然と笑みが浮かぶ。
のんびりと過ぎる時間を楽しんでいるとノックの音が響き、ペルルが確認に向かう姿を視界の端で捉えた。
「!?お待ちください!!」
外の人物と話をしようとしたペルルの叫び声に驚き扉を見ると、明るい茶色の弾丸が一直線に私へ突き刺さる。
思わず抱きとめると涙で目を真っ赤にした女子高生ちゃんだった。
え?と動揺し固まりつつ、後ろであわあわしているクラージュとペルルに何事?と視線で問いかけるも2人とも困ったように首を振るだけである。
とりあえず何とか落ち着かせてソファまで移動してきたのがついさっき。
やっと名乗ることが出来た。
クラージュは彼女についてきた護衛の騎士から事情を聞いてくれているらしい。
ペルルに入れてもらった紅茶を勧めながら女子高生ちゃんの様子を伺う。
あらあら、泣き腫らしちゃって目が真っ赤。可哀想に…
よしよしと頭を撫でてやるとしばらくして落ち着いたのかゆっくりと口を開いた。
「あの、私、西条奏って言います。奏って呼んでください。宮代さん、本当にごめんなさい。なんかよく分からないんですが私のせいで宮代さんまで巻き込んでしまったって聞いて、私、あの…助けて貰ったのにこんなことに…どうしたらいいのか…」
あわあわ、きょときょとと視線が泳ぎぎゅっと下唇を噛みながら何かを耐えるようなその姿はなかなかに痛々しい。
「奏ちゃんね。私の事も柚希で大丈夫だよ。ほら、私なんてゆっくりお茶を楽しんでたくらいだから、そんなに泣かないで。それより奏ちゃん、なんか理不尽なこと言われたり嫌なことされたりしてない?大丈夫???」
「はい。私は聖女だか、候補だかなんかだからって妙に丁寧に色々手配してもらってます。皆さんよそよそしいけど特に嫌な思いはしてないです。…けど!柚希さんは大丈夫ですか???クリスがなんか酷いこと言ってたし、もう会えないんじゃないかって思って私…」
奏にとって共に召喚された私が心の支えなのか、1人になる恐怖を思い出したのか再び表情が歪む。
まぁ、まだ女子高生だもんね。17,8で急に知らない世界です、帰れませんって言われて心細くない訳が無い。
第二王子への苛立ちが募り私も表情が歪む。怒りにだけど。
「クリスってのが誰なのかピンと来てなくて申し訳ないんだけど、第二王子様のことかな?今のところ助けてくれる人達が居るから私の事は大丈夫。奏ちゃんは自分の身の安全を第一に考えてね。」
クリス、というのはやはり第二王子の事でクリストフ・ロジュエイの事らしい。
俺の聖女と甘く囁かれ、クリスと呼ぶことを約束させられたそうだ。
最初からアクセル全開ね…
重い男は嫌われるぞ?
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