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Main story
一から始める幼馴染生活!
しおりを挟む「おまっ、ばっ、おっま! えっ!? ……バカ!!」
「何それ、いっちゃんの真似?」
なおもバシャバシャと掛け湯する羽那子。
暗くて見えないとはいえ、一応目は逸らせておく。
「って、あん時起きてたのかよ!?」
「はいはい失礼しますよ~」
羽那子が立ち上がる気配を感じたが、何を失礼するのかよく理解出来ない。
「ほら、詰めて詰めて」
「はぁ!? お前入るつもり!? 何やってんだよマジで!!」
羽那子の顔がずいっと近付いて来て、思わず仰け反る。
その隙に羽那子はさささっと浴槽に浸かってしまった。
俺の対面に向かい合って座る羽那子。
うっすらと顔が確認出来るが、お湯に浸かっている身体に関しては見えない。
「……何で入って来たんだよ」
バクバクと心臓の音がうるさい。追い炊きしてなくて良かった。
この状況で浴槽を出て羽那子から逃げるという選択肢を選べないでいる。
例え裸を見なくても、同い年の女の子とこんな状況になったなら色々と反応してしまうという事だ。
言わせんな恥ずかしい。……マジで恥ずかしくてどうしていいか分からん。
「だって今いっちゃんが私の家でお風呂入ってるんだもん」
「じゃあ伊千香と一緒に入れば良かっただろうに」
「それを理由にいっくんと一緒に入ればいいじゃんって言われたんだもん」
いや、それは俺にバラしたらダメなんじゃないのか?
「昔はよく二人でお風呂に入ってたんだよ、覚えてないでしょ?」
「……覚えてないよ」
本当は知らない、が俺としての正解だ。
そんな経験を、俺はしていない。
伊千郎という人間は経験したのかもしれないが、俺個人としてはその経験を経ていない。
が、ここは覚えていないという事にしておく。
「一緒にお風呂入ったり、一緒のベッドで寝たり。
一緒に遊んで、一緒に笑って、一緒に泣いて。
今までの思い出がなくなっちゃったならさ、今からもう一度経験し直せばいいんだよ」
幼馴染として経験して来た今までの事を。
もう一度俺と経験していこうと、羽那子はそう言っているのだろうか。
「そういう良い言葉は風呂場で言うもんじゃないと思うぞ」
「えーいいじゃん。電気消してるからあたしを待ってたのかと思ったんだけど」
よくねぇよ。
ってか父さんも母さんも気付かなかったのか? 止めろよ。
「背中流してあげようか?」
「お断りします」
「えー何で? 昔よくやったよ? 洗いっこ」
止めてくれ! これ以上俺のピュアハートを揺さぶらないで!!
すぐに立てる状況にないので、恥を忍んで頼み込み、先に羽那子に出てもらう事に。
「でも真っ暗じゃ髪洗うの怖いよ」
「俺、浴槽の蓋、閉める。電気、点ける。俺、見えない」
「あーなるほどー」
別に見えてもいっか、という言葉は聞こえなかった事にして、俺は浴槽に耳まで浸かって風呂の蓋を閉める。
鼻と口さえ湯の外に出しておけば生き残れる。
「ふんふふんふふーん♪」
羽那子の鼻歌と、シャワーの滴る音。泡を立てる音。
羽那子の入浴シーンを、隠れて見ているようにも取れる今の俺の状況……。
早くしてくれ羽那子。思ったより心臓に悪い。
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