27 / 29
付き合うのに好き以外の理由が必要ですか?
「じゃあさ、いいじゃん」
しおりを挟む「好きに操作していいから。あ、それは俺の別アカウントな」
柊人さんの許可を得て、スマホを操作して柊人さんの別アカウント経由での投稿を読む。内容はほぼ全て私とのデートの報告、私との付き合いの事、そして時々狂ったかのように私の名前を叫ぶ3人の投稿だった。
さらっと眺め、柊人さんへお返しする。
「もういいの?」
コクリと頷いて答える。すごく恥ずかしい。顔から火が出るとはこの事か、恥ずかし過ぎて読んでいられない……。
表立っては言えないようなプライベートな内容を、柊人さん・改さん・なのち3人以外が見れないように別の鍵付きアカウントを用意して会話していたという事かな。
さらっと目を通して分かった事は……、全部バレてた!!
私が鍵付きのアカウントを使って柊人さん・改さん・なのちさんのやり取りを覗き見しているのがバレてた!! めっちゃくちゃ恥ずかしいんですけどっ!!
罪悪感と羞恥心と、自分の考えの足りなさが混ぜ合わさってパーンッ! ってなりそう。
「そりゃね、あれだけ見えないいいねが来たら誰でも気付くよ。それも俺ら3人だけに起こる現象だもの。バグだとは思いにくいよね?
誰かが俺らの会話読んでるんだなってさ。もしかしたらって思ったけど、でもそれが冬花だって確信はなかったんだ。
そこでなのちさんの提案で確かめたんだ」
試すような事してゴメン。そう言って柊人さんが教えてくれたのは、何日か前の投稿についてだった。
橘をあぃす@デレP:美人な同級生が隣に座ってるとソワソワするよね
実際には美人な同級生なんておらず、女の人の隣に座るなんてしないし、そもそもこんなに可愛い彼女がいるのに、美人であろうが隣の女性に対してソワソワなんてしないと打ち明けられた。えへへ……。
って照れてる場合じゃなくてっ!!!
そうか、その投稿を見た直後に私が電話して、さも浮気を疑うかのような反応を見せてしまったからか。さすがに電話して来るとは思わなかったけど、って笑われても困る。
本気で大学まで行って問い詰めようかと思ってたんだからねっ!
「そっか、私は見事に引っかかっちゃったのか……」
「そうそう、だから知ってた。冬花が俺の投稿を読んでるの、知ってたんだ。俺には言わずこっそり読んでるって思うとすげぇ可愛いと思った。告白してくれた前から見てたんだってのは分かったけど、具体的にいつからかってのは分からなかった。
でも、俺の投稿を見て、それがキッカケで冬花が俺に告白してくれたんならさ、本当の俺を好きだって言ってくれているって事でしょ?
って、改さんとなのちさんに言われたんだよ」
本当の、柊人さん……?
「冬花の前ではさ、気取らず、キョドらず、自然体でいていいんだって思った。まぁまだ無理だけどね。冬花みたいな可愛い子が俺の彼女だって思っただけで緊張するしさ。
でも、これを言ったら嫌われるんじゃないか、こんな事したら別れようって言われるんじゃないかっていう不安が、ないとは言い切れないけど少なくなったんだよね。
冬花といると、緊張するけど安心もする。これからもっと緊張が少なくなっていって、もっともっと安心が大きくなっていくと思うんだ」
自分のした事はいけない事だと思う。人によっては気持ち悪いと思われるかも知れない。気味悪がられて、もう一緒にいられないと別れを切り出されても文句は言えない。
だけど、柊人さんはそんな私を可愛いと思ってくれていた。私が覗き見しているのを分かった上で、許してくれていた。見られている事で、安心していてくれていた……?
安心、安心か。そりゃあ私も柊人さんと一緒にいたらドキドキするし、安心もする。ホッとする。ずっと一緒にいたいなぁって、思う。けど、ダメだよ……。私が好きになったキッカケって、人に言えるものじゃないもん。今回のゲームセンターでの一件も、された私から見たら気持ち悪いし、不快だし、大好きな人を傷付けられたし、許す事なんて出来ないよ……。
「冬花、俺の事……、好き?」
「好きっ、大好きっ!!」
「じゃあさ、いいじゃん」
「……、いいの?」
「いいよ、だって冬花が俺のアカウント見てなかったらさ、こんな可愛い彼女出来なかったんだもん」
「っ、でも……」
「いいんだよ、俺は冬花が好きで、冬花は俺が好き。それだけでいいんだよ、付き合う理由なんて」
好きなのに理由って必要ですか? 私の問い掛けに対して、柊人さんは問い掛け返して来た。
付き合うのに好き以外の理由が必要ですか?
「好きぃ……、しゅうとさんすきぃぃぃ!!!」
堪えられなくなって、柊人さんに飛び付く。抱き着いて胸に縋り付く。許された。受け入れてくれた。私は柊人さんを好きでもいいんだ。隣にいてもいいんだ。大好きって、伝えてもいいんだ!!!
10
あなたにおすすめの小説
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる