100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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アルマニ領で領地経営

温泉ってやっぱり気持ちいいよね

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やっぱりステファンさんは超優秀な人だった。

昨日の朝、温泉の話しをしていたと思ったら、さっき事業計画を持って来たよ。

その中には利用可能な土地とそこに建てる施設の計画や収益に関する内容、工事に関する費用や雇用の計画、運営に関する費用や法整備など事細かに書かれていた。

えっ、なんで中学生なのにそんなのが分かるのだって?

俺の通っている中高一貫校って親に経営者が多いから、早いうちから決算書や事業計画を学ぶ授業があったんだ。

でもステファンさんの事業計画を理解出来たのは、脳内アシスタントさんのおかげだけどね。

正直なところ、アルマニ領って農業以外はあまり盛んじゃない。

前は交易の中心地だったそうだけど、10数年前の戦で全てを失い、交易の中心地も別の領地に移ってしまった。

だから農業以外の新しい産業を探していたみたいだ。

温泉のおかげで街が活性化してくれたら俺も嬉しい。

「本当にありがとうございます。
アリオ様からお預かりしましたこの領地ではございますが、わたしの力ではなんら成果を出せずに苦渋を舐める日々でした。

まさかアリオ様の忘れ形見であるヒロシ様が、この領地に活性化の起爆剤を授けて下さるとは。

これも全て神のお導きかと。」

神の導きであることは否定しないけよ。

狐の神様ミケツカミ様に呼ばれてこの世界に来たんだからね。



ステファンさんが涙を流しながら熱い想いを語る姿を見て、『温泉は自分が入りたかっただけ』なんて絶対言えない。

墓場まで持って行こうと誓うヒロシだった。


それから温泉場を作る場所の視察や源泉の改良などをしながら数日が経った。



「ヒロシ様、本日はイリヤ姫様が来られる予定の日になっております。

領境までお迎えに参りましょう。」

セバスさんが朝食の時に言う。

昨日も聞いたから覚えてるよ。

街が安定してるようだったら来たいって言ってたから手紙に『来ても大丈夫だよ』って書いて送っておいたんだ。

今回は短期の視察ってことで来るらしい。

朝食を食べてから玄関に向かうと、ステファンさんや領内の貴族の当主達が10人くらい待っている。

「ヒロシ様、お待ち致しておりました。

今マティスの部下がお迎えに出ております。

領境への到着はおよそ1時間後になるかと。

さあ、参りましょう。」

馬車3台に分乗して領境へ向かう。

ちょうど麦の刈り入れ寸前で金色の絨毯を敷き詰めたような幻想的な光景が広がっている。

今回の収穫量とかの話しを聞きながら進んで行くと、領境の検問所が見えてきた。

イリヤ様達の到着時間まで後30分ほどだと連絡が入る。

しばらく待っていたら物々しい警護に囲まれた馬車が数台見えてきた。

先頭で先導しているのはマティスさんだ。

あっ、窓からイリヤ様が手を振っている。

当然こちらも振り返す。

反対側から手を振っているのは…やっぱり王妃様も一緒だ。

「王妃様、遠路はるばるお疲れ様でした。

イリヤ様、ご無沙汰していました。お元気でしたか。」

イリヤ様とは、婚約発表があってから言葉遣いを改めることにした。

だって、敬語はよそよそしくて嫌だって言うんだから。

王妃様が一緒だったし、つい敬語を使ってしまったら、少しむくれられた。

「もお、ヒロシ様ったら。
あれだけ敬語は止めて欲しいって行ったのに…ですわ。」

周りにたくさん人がいることに気付いて少し恥ずかしそう。

そんな姿も可愛いけどね。

「まあまあ、仲がよろしくて結構なこと。

ヒロシ様、しばらくご厄介になるわね。よろしく。」

王妃様の登場で、一同跪いている。

「さあ、お疲れでしょうから、早速城にご案内致します。

皆さん行きましょうか。

あっそうだ、温泉も用意してありますよ。」

「まぁ、こちらでも温泉に入れますのね!

これは楽しみだわ。ねぇイリヤ。」

ふたりとも大興奮。

温泉が待ち切れないのか、馬車はいつもの倍近いスピードで走り、あっという間に城に着いた。

俺としては街の案内もしたかったんだけど、まぁ明日以降でいいか。

王妃様とイリヤ様がソワソワしているので温泉に案内する。

イリヤ様用の東屋に着くと、ふたりは用意しておいた湯浴み着に着替えて湯に浸かった。

この湯浴み着、街の中に温泉を引いたら必要になるだろうと思って、作っておいたんだ。

外国じゃ温泉に入る時に水着を着るって言うし、日本でも混浴なんかで湯浴み着を着るところも多いしね。

「まぁこのドレスシンプルだけど可愛いわね。

これを着て温泉に入るのね。

あら、このお湯王城のものよりも白いわね。お湯もサラサラだし。

王城の湯は肌に纏わりつく感じだけど、このお湯は身体に吸い込まれていく感じがするわ。」

上手い。どこかの温泉レポーター顔負けだ。

「では心ゆくまでご堪能下さい。

お出になられた後はコーヒー牛乳とフルーツ牛乳をご用意しておきますね。」

「まぁ、また新しい飲み物なのね!

ヒロシ様の用意する飲み物は本当に美味しいもの。

楽しみだわ。

イリヤ、あなた本当に良い旦那様を見つけたわね。」

「もおーお母様ったら!」

イリヤ様、嬉しそうに満面の笑みで膨らませているほっぺも可愛い。

「では。」

俺はそう言って東屋を出る。

後ろからは母娘水入らずでキャキャと姦しい声が聞こえているのを微笑ましく思いながら俺は城に戻った。

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